今年で30歳になる私が、親戚の養子になる事を決めたのは、20代最後の昨年末。
それまで「お姉ちゃん」と呼んで慕っていた母の妹は、若々しくて、15歳しか離れていない。
子供の頃から姉妹みたいな関係が変わったのは、彼女の不妊症が原因だった。
資産家の家に嫁いだ叔母は、20年近く治療を続けたが、医者から断念する事を勧められた。
絶望に追い打ちをかけたのが、叔父の病気だった。
命の危険もある病気で、病院を変えながら治療法を探していたが、手術できる病院を見つけたのは、コロナ禍で医療が逼迫しそうな時期だった。
そんな二人に、
「娘になって欲しい」
と懇願された私は、弟との関係に限界を感じ、セフレとも結婚する気が起きずに、フラフラした生活を送っていた。
私なりに葛藤はあったが、ナンネの荒唐無稽な投稿を読んでる内に、気持ちも変わった。
二人が望んでいるのは、娘ではなく「後継ぎ」
私も、子供は産みたいが、面倒な「結婚」はしたくない。
そこで思い付いたのが「代理出産」だった。
どうせ本当の娘にもなれないし、家族に言っても反対されるだけ。
何より、子宝に恵まれなかった叔母にとっては、姪の私が代わりに出産するなど、受け入れられるはずもない。
人工受精という選択肢は、家族や親戚の絆に、深い溝を生むと思った私と叔父は、秘かに子作りを企てる事になった。
その代償は、二人の遺産。
養子になれば、二人の遺産を相続できる。
叔父の子供を宿す事が出来れば、事実上血筋も絶えない。
迷っている時間は無かった。
叔父が、親戚の経営する病院に入院できる見込みが出来たのは良かったが、20年も子作りに励んだ夫婦の代わりに、子供を作る自信はない。
元々、オナニーも殆どしないほど、セックスに無頓着だった私は、子作りと割り切ったセックスをしている。
先日、入院予定日が延期された。
病床が空かなかった。
その連絡を持ってきた叔父と私は、私の部屋で子作りに励んだ。
今年、30歳の誕生日には、正式に入籍して、私は二人の娘になる。
もしかしたら、父になった叔父は、それまで生きているか分からないが、今は残された時間で励むしかない。
父は、私の子宮に渾身の思いで精液を注ぐと、膣に栓をするようにタンポンを挿入した。
「お父さん、お疲れ様」
と言って、私は父の萎えたペニスを口にくわえて労った。
私はタンポンを指で押さえながら、卵子に元気な精子が群がる様子をイメージしていた。
緊急事態宣言の出ている中で、私は母親になる将来を、楽しみにしている。