僕には誰よりも母の事をよく理解している自負がある。
母が8年前に離婚して、その半年後に再婚したい相手がいると7歳年下の男を連れてきた時もそうだった。僕は当時まだ中学生だったけれど、直感ですぐわかった。この男が母の離婚の原因だと。そしてその男は母のカラダだけではなく、まだ小学生だった僕の妹に興味があった事も。
その予感は的中した。
男は毎日のように46歳だった母を寝室へ連れ込み、また母もそれに応えた。
「ほら、気持ちいいか!」
「前の旦那のチンポより、俺のが欲しいんだろ!」
《あああ~気持ちいい!》
《そうなの、そうだから、もっと突いてぇ!!》
寝室から聞こえてくる二人の会話がとても生々しく、最初のころは耳を澄ましてたころもあったけど、数ヶ月後には僕はいつしかヘッドホンをつけて音楽を聴きながら寝るのが当たり前になっていた。
そんなある日、妹が僕に聞いてきた。
「ねえ、お兄ちゃん、マーヤのキティーさんのパンツしらない?」
「メゾピアノのパンツもないの…」
僕はすぐにピンときた。
もし妹の勘違いでなければ、あの男しかいない。
普通に考えれば、小4だった妹と一緒にお風呂に入ること自体おかしい。
僕は思い切って母に相談した。
あの男が僕の妹を変な目で見ているかもしれないことを。
でも、母は男に依存しているのか、疑うことすらしなかった…
その後も母と男の夜の生活は続き、1年近くたったある日、僕はついに男の尻尾をつかんだ。
お風呂場に置いてある洗濯物の中から妹のパンツを取り出し、ポケットに入れる瞬間を見た。
僕は中学生ながらにして勇気をふりしぼって言った。
「何してるの?」
「それ、マーヤのパンツだよ」
《お、おう、ナルキか…》
《これはな、下着と衣類で洗濯物を分けようと思ってな…》
「マーヤのパンツだけ?」
「どう考えても変!母さんに聞いてみるよ」
すると男は急に開き直ったように、
《言えるもんなら言ってみろよ!》
《お前たち学校に行けなくなるぞ!》
《ナルキだって来年は高校受験だろ》
僕は初めて大人の怖さを知った。
何も言い返せなかった…
それ以来、妹のパンツが無くなることは起こらなくなった。
でも、そのかわり僕と母への扱いが明らかに変わっていった。