お洒落なbarに行き、いい人がいれば身を任せようかと思ったりした。
数人の常連が声を掛けてきたが私の心は動かなかった。
若いボーイをからかい店長と話してるうちに4時になっていた。
チェックを済ませ、ふらつく足取りでビルを出るとタクシーが人待ち顔で並んでいた。
先頭までふわふわ歩き上機嫌で乗る。
行先を告げると滑るようにタクシーは走り出した。
『♪♪♪~』
携帯をバックから出すのに手惑う。
「もしもし」
呂律の廻らない舌で話した。
「今どこ?」
「呑んで帰るとこだよー」
「今からこれるか?」
回らない頭で考えたりしたが、感情が先走る。
タクシーの運転手に変更を告げると、運転手は含み笑いで「はい」とだけ言った。
まさか、今の電話の男が兄だとは露知らず。
兄からの誘いは珍しい。
嬉しさのあまり、私こそ含み笑いしそうだった。
兄のマンションに着いた。
部屋に入ると兄は相変わらずラフな格好でいた。
「かなり呑んでる?」
「かなりねートイレ借ります」
「トイレ汚いから掃除しようかー?」
「いいって!」
兄がイライラした感じで私を呼び戻す。
「友達と行ってたのか?」
「1人で、いい人いないかと思って」
「いた?」
「いない」
「暑いからパンスト脱ぐわー」
スカートをまくり、パンストに手をかけスルスルと下ろした。
「なぁ?」
そう言うと、兄は私をベットに押し倒した。