チキン
結局、僕たちはいっしょにシャワーを浴びました。でもムカついたので、姉の頭にずっーとシャンプーをかけ続けてやりました。悪戯をしながら、姉の裸をじっと見ました。
姉のお腹は、まだそんなに目立ちませんでした。『「あいこ」より皮下脂肪が厚いかな?』ぐらいでした。ホントに妊娠してるのかと思いました。
「…姉ちゃん、」
「ナニ? 出勤前だからヤラせないわよ!」
僕のエンドレスシャンプーを必死に流しながら、姉が即答しました。
「…どうすんだよ、お腹の子…、」
「産むよっ!」
姉がちょっと食い気味に、また即答しました。僕は『もっとちゃんと考えろよ…』と思いました。でも、姉は本気みたいでした。
「…誰の子なんだよ?」
「教えな~~~い。」
ホントはバカだから、誰が父親なのか解らなくなってるんじゃないかと思いました。
「教えたら、あんた『あいこ』に教えるでしょ? まぁ、教えなくても、吐かされるだろね?」
サラッと…、サラ~ッと今、バカがとっても、とっても怖い事を言いました。僕の頭の中にズズズーッと、『「あいこ」クイズ』の文字が浮かび上がりました。
正解を決して答えてはいけない、無限地獄の代名詞。終わりの無い恐怖のクイズ。ハッキリ言ってしまえば『拷問』。それを僕たちはいつからか、『「あいこ」クイズ』と呼ぶようになりました。
『あいこ』クイズ・初級
Q・どちらかを選択して下さい。1・『あいこ』に鳩尾を殴られる。2・『あいこ』にこめかみを蹴られる。
シンキングタイムは無制限ですが、だんだんと強くなる蹴りがほぼ1秒毎に入ります。
A・「これ、落してませんか?」と言って、3万円を渡す(模範解答)。1万円では不正解。「これで許して下さい」でも不正解。
「でさあ~~~、『あいこ』にバラしたらさあ~~~、『あいこ』、何するか分かんないじゃん? ワカンナイじゃ~~~あん!?」
バカはまた、『山崎邦正』を放り込んできました。僕はそのギャグとは関係なく、首筋辺りに寒気がして、腕にゾゾゾッと鳥肌が立ちました。
姉の口ぶりから、父親の男は多分、姉の妊娠を知らんぷりしてるんだと思いました。じゃなかったら、こんな大事な事をバカ任せにしてないと思います。もし僕の想像通りだったら、父親はかなりいい加減で最低のヤツです。
もし、ホントにマジで、父親がそんな男だったら…、『あいこ』と顔を合わせてしまった時………。
僕の肛門がキューッと小さくなる感じがして、強烈に痛くなりました。バカはバカなりに、冷静で的確な判断をしたんだなと思いました。
「…産んでどうするの?」
「産んで~~~?、あたしはお母さん。あんたは叔父さん!」
バカがテンション上げて笑いました。僕は『そ~じゃないだろ!』、『そんなことじゃないよ…』と思いました。
僕は正直、女性の気持ちが全く解りません。バカの気持ちは知りたくもありません。でも…、この後どうなるか解らなくても、女性は子供が産めるのでしょうか?
それでも産むのが当たり前なんでしょうか?
バカが子供を産んでも、大丈夫なんでしょうか?
バカがバカを増殖させても、この国では犯罪にならないんでしょうか?
僕はバカ姉の弟なりに、すごく心配になりました。『ちゃんと生まれてくるのか?』とか、『生まれてもバカがうつって、大変なコトにならないのか?』とか、『バカにならないように、ちゃんと育つのか?』とか、『バカ以上のバカに、育ったりしないのか?』とか、考えると不安なコトだらけでした。
「はいっ! ぼーっと突っ立ってないで、ともゆきっ!」
相変わらずマイペースの姉が、僕にスポンジを渡して背中を向けました。洗った髪をまとめ上げると、手の平跡だらけの背中が出ました。6Pの跡が残った背中です。『この手の跡の中に、父親がいるんじゃ…』と思うと、僕のチンポがムクムクと反応しました。
『節操ねえな~~~!』
と、『あいこ』が僕のチンポをけなす声が頭の中で響きました。よくよく考えると、この背中を見てチンポを勃起させてしまったのが、間違いの始まりでした。僕は深い自己嫌悪に陥りました。ボディーソープを泡立てて、掻き消すように背中を擦りました。
「ともゆきぃ………、」
「………な、何だよ。」
「あんたさぁ~、初めてで~、『あいこ』をイカせるなんて~、ヤルじゃん!」
いきなり姉が、夕べの僕のセックスを誉めてきました。記憶してる限りで僕がコイツに誉められたのは、小1か小2の時、すごいデカイ鼻クソを掘った時だけだったのでビックリしました。
すると、姉が振り向いて僕の半立ちを軽く握りました。僕はすぐさま、見境無しの勃起をしました。
「ちゃんと役に立ってさぁ…、エラいね? この子。」
「…や、止めてよ。」
「あたしも嫌だったけど~~~、近親相姦しちゃった甲斐があったってもんよねぇ?」
また意味不明の『姉貴風』を吹かして、ボディーソープでヌルヌルしたチンポをシコシコしました。勃起が発射態勢に入りかけたので、バカの腕を掴んで止めました。
「止めてってばっ!」
「何よ~、あたしが激励してやってんじゃな~い。」
「何の激励だよっ!?」
「あんたさぁ~、あたしがきっかけ作って上げたんだからさぁ~、ちゃんと『あいこ』と付き合いなよ~!」
その瞬間、頭が真っ白になりました。その突然の言葉の意味を理解しようとしたら、僕の思考は自動停止しました。あまりに危険な現実を再認識させられたので、脳が危険回避のために現実逃避に入りました。
白い…どこまでも白い、空も地面も区別がつかないだだっ広い場所に、ポツンと僕一人が立っています。遥か遠くの方から『付き合いなよ~、付き合いなよ~』と声が聞こえてきました。
僕はその声が、コダマのように繰り返すのを聞いていると、『ああ…、付き合わなくちゃいけないんだな』という感じが心の中に広がって行きました。でも、同時に『ともゆき~、よせ~っ!』とか、『ともゆき~、やめろ~っ!』とかの何十万、何百万の叫び声が、警報のように響き渡りました。
「ちゃんと、聞いてんの~~~っ!?」
バカ姉の声が、僕を現実世界に引き戻しました。僕は『ああ、うん』などと生返事をしてごまかしました。でも、バカはうやむやにすまいと鋭く突っ込んで、僕を畳み掛けました。
「あんたさぁ~、まさか…、ヤリ逃げしたりしないよね~?」
断っておきますけど、勃起してしまったのは確かに僕の責任ですけど、セックス自体については、僕は被害者です。自発的ではありません。強制されたんです。だから『ヤリ逃げ』は成立しないと思います。それを言うなら『ヤラレ逃げ』です。
「や…、ヤリ逃げって何だよっ!」
「自分勝手に射精したら、後は他人の振りするコト~!」
他人の振りなんて…、そんな危険なマネをして『あいこ』が見逃してくれるワケがありません。僕は…、もう…、ヤバすぎるワナにかかっている現実を認めるしかありませんでした。
「そ、そんなコト…、できるワケない…だろ?」
「そ~よね~? 『あいこ』を初めてイカせた男としてさぁ、最後まで、責任持たなきゃ~ねぇ~?」
『最後まで』、この言葉の持つ意味を、この時僕はまだキチッと理解していませんでした。困惑する中2の僕をよそに、高1の姉がドテッと座り、パカッと足を広げました。
「それだったら、時々、あたしが練習台になって上げてもいいけどぉ~。」
ツルツルだった土手にうっすら陰毛が伸びてました。ジョリッとしたマンコを見て、僕のチンポは完全臨戦態勢になってしまいました。