全裸で床に座る女たちの前に、
同じく全裸で仁王立ちする何人かの男たちが取り囲む。
女たちの顔面に突き出される天狗の鼻たちは、
それぞれに個性があって、
色、形、長さ、太さ、反り、カリと、
何ひとつ同じものはない。
たとえば品評会の薔薇の花は、
同じように見えてもどれもそれぞれ異なっていて、
自分が一番美しいのよと言わんばかりに、
咲き誇っている。
そんな品評会のように男たちは女たちに向かって、
自分のものが一番と女に対して無言の主張を行っている。
女たちはゆるりと手を伸ばし、
一本一本二触れながら、
その熱さ、硬さ、しなやかさを確かめて、
自分の一番好みのものを選ぶ権利を持っている。
必要であれば口に含んでも味見をしてもかまわない。
男たちは自分を選んで欲しいと思いながら、
ただそこに立っているしか無い。
この形が好き。
この反りが好き。
この色は素晴らしい。
女たちは勝手なことを言う。
男のものの品評会。
そこには愛も情緒もなにもなく、
ただ女たちの興味本位の対象となっているだけ。
しかし女たちの中に混ざって座っている
あなたがするりと手を伸ばし、
色んなものがあるけれど、
やっぱりあなたのがいいわ、と、
私を選んでくれたならきっと、
そこに愛も情緒もあるからこそ、
他にもっと大きくて硬くて強そうなのがあっても、
私を選んでくれるのだ。
淑女のための品評会。
私はしっかり勝ち抜いて、あなたの中に勝ち誇って収まりたい。