2023/07/11 20:48:43
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今回、書くか書かないか迷いました。
妹に母さんの様子を見て来てもいいと許可を貰っていたので出張のついでに様子を見に行く。と言っても家の外から様子を探るだけなので母さんと子供を見れる可能性は極めて低い。弟や母さんに見つかった時にすぐに逃げれる様にスニーカーに履き替え、荷物はコインロッカーへ。「母さんはまだしも、尚兄に会ったら小銭をぶちまけるか、尚兄にぶつけてダッシュで逃げる!!」と言われたので大量の小銭をポケットに入れた。
そして実家に着く。
人の気配はなく、『売物件』と書いた不動産屋のノボリが立っていた。庭にあった木も綺麗に伐られていた。急に実家が売りに出されていると言う現実に気持ちの整理が付かずただ呆然と立っているだけで時間は過ぎる。「あっ、○○さんとこの…。息子さん?」と呼ばれた。隣のおばさんだ。現実に戻され会釈をすると「えーーーと、尚くんとミオちゃんのお兄さんで…。」そこから次がでない。
「…長男のりょうたです。」と言うと「そうそう!りょうた君、久しぶりね~。今日はお母さんに言われて様子を見に来たの?」家が売りに出されてたのは初耳だったが話を合わせた。「お母さんも気の毒ねぇ。離婚後に妊娠しちゃうし…。尚くんは引きこもりになっちゃうし…。ミオちゃんはグレて家出しちゃうしねぇ~。」
「はあ…。」
「お母さんも清楚でセレブな感じだったのに、金髪で化粧も濃くて下品でまるで別人みたいになっちゃうし…。」と言われて返事に困った。
「産まれそうだからってタクシー代立て替えたままかえってこなくてね…。」と愚痴を言ってきた。5千円貸したらしいので俺はおばさんに一万円札を母さんの代わりに払った。
そして自分は母と弟にはずっと会ってなく久し振りに実家に立ち寄ったと話した。おばさんの話では母さんと弟は挨拶もせず、夜逃げするかのように姿を消したらしい。
「お腹も大きいのに毎回違う男の人を連れ込んでてね。家の前に車を停めて中で男の人と…って目撃した人もいるし。変なうわさも出て居辛くなったのかもね。」
「エリートの旦那さんと優等生な尚君とお人形みたいな綺麗なミオちゃんと絵に描いたような素敵な家庭で羨ましかったけど、こうなっちゃうんだったら平凡が一番よね。」とおばさんは嬉しそうに言った。
「妹は結婚して幸せに暮らしてますよ。」と言ったが「あ、そう」と興味は無さそうだった。「家も古いし不動産屋が売れないから近々更地にするみたいよ。」と言って自宅に入っていった。
俺と妹は母さんと弟の番号を消してしまったので連絡も出来ない。
俺はなにか知ってるかと親父に電話した。何回か掛けるが繋がらずやっと6回目で「…りょうたか?」と出てくれた。「今、実家に立ち寄ったんだけど、売家になってて、父さん、なにか知らない?」と聞くと「知らん。俺にはもう関係ない。」と冷たい返事がきて俺はイラっとなって「尚は息子だろ!関係ないってなんだよ!いつか会って親子関係やり直したい言ってたじゃないか!」と言うと「うるさいなぁ!アイツだって俺の子だって証拠は無いだろ!!」と怒鳴り声とガシャンとガラスが割れる音がした。妹が実の子ではなかったことを引きずっているのか…。「もう俺はアイツらもお前らも、もう関係ない!!お前も兄妹で気持ち悪いし俺の周りにはロクな奴がいない!」と言われた。不倫していたのを棚にあげて被害者ぶる親父にイラついたが、「判った。もう連絡しない。だから新しい家族は大事にしてやって…。」と言うと「そんなのいねーよ…。もう…。」と切れてしまった。
俺は次に叔母さんに電話した。事情を説明し、母さんに連絡をお願いしたが、母さんの電話は繋がらなかった。そして実家をあとにする。生まれ育った場所が無くなるのは寂しく画像に残したいと思ったが何か縁起が悪そうな気がしたので止めておいた。
俺は駅の待ち合いで、どう妹に説明しようか迷っていると電話が、妹からだった「りょう君、母さんや尚兄からは逃げれた?」
俺が見付かった前提だ…。
「実は…。」家が売られてて母さんと尚は行方不明だと話した。妹の反応は「うん。そうなんだ…。で、りょう君、今日はなに食べたいw?」意外にもあっさりしていた。
帰ると深夜だったが妹は俺の好物ばかりを作ってくれて出迎えてくれた。今日の出来事を話した。「そうなんだ…。りょう君大変だったね。声が暗かったから心配しちゃった。」
「母さん達どうしてるんだろう…。」
「まあ、家売る余裕があるから死んではないと思うけど。一緒にいるか…。もしかしたら尚兄は母さんに捨てられて別々かもよw。母さんは男に依存するタイプだから他に男作ってそっちに鞍替えしたりしてw。」妹には母さんが妊娠中も出産後も色んな男性と交際があった事は言ってないのだが…。妹は俺の顔を見て「ガチか?」と言った。「あの家は尚兄の『城』だから尚兄が自ら売る訳無いし、ババアはバカだから自分では何も出来ないから誰かが教えないと絶対無理。ババアは肉体関係になったらコロっと依存して影響するからねw。」
「あと親父…。一人みたいだった。」親父の事も話した。再婚相手とは離婚してそうで生活も荒れてるっぽいこと、もう連絡するなと言われたことを言うと「…まあ、アタシの事もあったから誰も信じられなくなっちゃったんだね。でもしょうがないよ。もともと不倫からの再婚なんだし、相手も他の男と同時進行もあり得たし。それを、りょう君にあたるなんて最悪!。」と俺の代わりに怒ってくれた。。
「ごめん…。妊婦さんにこんな話しか出来なくて。」「別にぜんぜん気にしてないから平気だけど、でも家が無くなっちゃうのは残念だね。あそこにはりょう君との想い出も沢山あったから」と平気そうだったので安心した。
「俺の卒業アルバム、処分されてないだろうな~。」家を出る時、置きっぱなしで。そこまで思い入れは無いがちょっと寂しい。家を出た時点で既に捨てられた可能性もあるが…。
「りょう君の卒アルだったら小中高とアタシ持ってるから大丈夫だよw。」と妹は得意気に言った。
母さんと尚の捜索願の判断は叔母さんに委ねた。結局、母さんが子供を産んだぐらいの情報しか得られなかった。