私の方が若干早あがりだったけど、わざとダラダラし彼の勤務終了に合わせた。
うまい具合に雨模様になり、車で送っていくという口実もできて良かった。
私はその日はそんなに遅くはなれなかったけど、まだ家族の夕飯までには間がある。
車を桜道という散策ロードに走らせた。
車一台の幅の一方通行の道なのだが、シーズンは桜のアーチができる。
道を抜けるととなり町の頂上付近と繋がっていた。
その道は所々に見晴台が設置されている。
無機質なコンクリートでできた建物で二階部分だけあり下はきゃたみたいな形状になっている。
そこなら雨を凌げるし、こんな時刻にハイカーはほとんどいないから二人になるには適していた。
お店で買ったジュースかなんかを飲みながらコンクリートで出来た冷たい長椅子に座った。
一人なら不気味でも人目を忍ぶ間柄の人間にはロマンチックに思えなくもない。
最初は二人ともぎこちなかったけど、私がじーっと彼からの言葉を期待して見つめると、その顔はズルいと言った。
つい理性もふっとんでしまうように刺さるらしい。
彼はそんな目をした私が悪いと言いながら横から私を抱き寄せた。
「本気なの…」
彼は答える代わりに唇を奪ってきた。
凄く久しぶりのキスで、主人とおざなりのセックスをする前のお約束のキスとは全然違うと思った。
一回唇を合わせたせいで気持ちも落ち着き、私達はお互いの思いを打ち明けあい、その合間に唇を合わせた。
いったいなんて心地いい時間なのか…
それでも時は無情に流れる。
私達は名残り惜しむように唇を合わせなかなか切り上げられなかった。
「二人で旅行しよう…」
私は彼に提案した。
その日も彼の下半身事情を考えると寸止めでかわいそうだったけど、やっぱり最初は想い出になるように抱かれたい。
彼もそういう気持ちをわかってくれ、私達は次の週末に出掛ける約束をした。
私は彼に胸を握らせ、今夜は私を思ってしてと言った。
他の女でされるなんて嫌だった。
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