2018/07/28 15:57:06
(GAXuovua)
続きです。
今年のGWにその街を訪ねた時の話に戻ります。
若い頃、30年位前にそこで過ごした事を懐かしく思い出しながら、私は街中を一人で歩いていたのです。
その街には私がいた当時からの友人が今でも住んでいて、彼とは18年前に会ったきりだったので、私は友人の家を久しぶりに訪ねてみようと思っていたのでした。
友人の家を訪ねる前、喫茶店に入り一休みする事にした私だったのです。
私が入った喫茶店はかつて真由美と初めて二人だけで話して、お互いの愛を告白し合った、そして、最後に二人で会って別れる事にした喫茶店ではない別の喫茶店なのでした。
真由美との思い出がある喫茶店はすでにずいぶんと前に閉店されたようで、今はもう存在していないのです。
喫茶店に入った私は喫煙可能なテーブル席に座り、注文したホットコーヒーを口にしながら、タバコを吸っていました。
30年位前は現在と違って、喫煙者が肩身の狭い思いをするような世の中ではなかったのですから、時代の流れを感じていた私だったのです。
そうしているうちに私が座っている席の隣のテーブル、同じ喫煙席に一人の中年の女性がやって来て座ったのでした。
その女性はホットコーヒーを注文すると、ハンドバッグからタバコを取り出して、私と同じように喫煙し始めたのです。
私は何気なくタバコを吸っている女性の方へ目を向けたのですが、私にはその女性の横顔に見覚えがあるような気がしたのでした。
(…!?)
最初はわからなかったのですが、ほんの僅かな時間が過ぎた後、私は驚き、
(まさか…?)
と思ったのです。
その女性はなんとかつての恋人、真由美だったのでした。
30年も経っているので、若い頃に比べて、ずいぶんとおばさんっぽくなってはいたものの、その横顔には昔の面影が色濃く残っていて、真由美である事は間違いないと確信した私だったのです。
私は若い頃に交際していた女性、自身にとって初めて男と女として結ばれた忘れられない女性である真由美が別れてから30年後の今、中年の女性になって自分のすぐそばにいる事にかなりの動揺を覚えてしまったのでした。
いくら若い頃に恋人同士だったとは言え、今の真由美はすでに人妻に母親になっているのですから、私は大きな気まずさを覚え、一刻も早くその場を立ち去りたい気持ちになったのです。
私は真由美に気づかれないうちに早目にコーヒーを飲んで、席を立つ事にしたのでした。
かなり焦った気持ちで出来るだけ早くコーヒーを飲み終えて、伝票を手にした私は席を立ったのですが、その時、
「あの… すいません…」
と隣の席に座っていた真由美がいきなり声を掛けて来たのです。
一瞬、私は心臓が止まってしまうのではないか?と思ったほどの強い衝撃を受けたのでした。
恐る恐る、声のした方へ目を向けると、真由美は私の顔をじっと見つめて、
「後藤さんやないんですか…?」
と訊いて来たのです。
正面から見た真由美の顔は50代の女性になっていた為、目尻と頬に少しばかり皺が出来ていて、肌も若い頃のような艶やかさがなくなっていましたが、30年前と大きな違いはなく年齢の割には若々しくて、私を見つめていたその目は昔のように色っぽさを湛えていたのでした。
「そ… そうですけど…」
私はそう答えたままで緊張の余り、金縛りにあったかのように全身が硬直して、その場に立ち竦んでしまったのです。
「やっぱり、そやったんですね…」
真由美は微笑を浮かべて、嬉しそうな目をしてそう言ったのでした。
「く… 黒田さん…」
私は真由美の喜びの感情を含んだ色気のある目に吸い込まれて行くような気がして、体から振り絞るように声を出したのですが、最初、かつて恋人同士だった時のようにうっかり「真由美」と呼び捨てにしそうになり、慌てて名前ではなく、すでに“旧姓”になっている筈の彼女の名字に“さん付け”をして呼んだのです。
真由美は呆然として佇んでいる私に
「憶えてくれてはったんですね… ほんまに久しぶり… 30年ぶりになるやろか… 今、どこに住んではるんですか…?」
と訊いて来たのでした。
「えっ… ああ… 郷里(くに)の方に住んでます… 20年前から…」
とややしどろもどろの喋り方で、答えた私だったのです。
「ほな、今日は家族旅行でこっちに来はったん…?」
そう訊いた真由美の目が急に淋し気なものに変わったのがわかりましたが、私は
「いや… 一人です…」
と答えると、彼女は
「奥さんや子どもさんは一緒やないんですね…」
と言ったのでした。
真由美は私の事を既婚者だと思っているようだったので、私が
「えっ… いや… 私は独り者ですし…」
と言うと、淋し気な色合いだった彼女の目は突然、驚いたものになり、
「えっ…! 後藤さん、お独りなんですか…?」
と言った真由美だったのです。
「ええ… ずっと独りです…」
私が正直にそう言うと、真由美の目は今度は嬉しそうなものに変わって、彼女は
「そ… そやったんですか… あっ… あたし、てっきり… 後藤さん、結婚してはるもんやと思てました…」
と言って、うつむいたのでした。
(…!)
しばらくうつむいたままでいた真由美が顔を上げた時、彼女の頬はやや赤らんでいて、私を見たその目が喜びに満ち溢れていたものであるのがよくわかり、私は思ってもみなかった真由美の意外な反応に思わず、ドキッとしたのです。
その後、真由美は私の顔を真顔で見つめて、
「あっ… あの… あたしも… 独りなんです… ずっと…」
と言ったのでした。
「えっ…!?」
私は真由美の口から出た予想外の言葉に唖然として、思わず、絶句してしまい、彼女の言った事が俄には信じられない気がしたのです。
真由美と別れてから3年後に彼女の家の前まで行った時、玄関の表札から真由美の名前がなくなっていて、その18年後の9年前、彼女の家の前に真由美の息子だと思われる高校生くらいの男の子がいたのを私は確かに目にしたのですから。
私は真由美が嘘を言っているのではないか?と思いましたが、その半面、彼女の言っている事は本当で、もしかすると、私はこれまで長年に渡ってとんでもない勘違いをしていたのではないか?とも…
思い切って、私は
「黒田さん、結婚されて子どもさんがいらっしゃるんじゃないんですか…?」
と訊いたのでした。
すると、真由美は
「えっ…!? いえ、あたし、ずっと独りで、子どももいませんけど…」
と私の発言が意外だと言わんばかりに、ちょっと驚いたように目を円くして答えたのです。
私は再び席に座ると、敢えて踏み込んで、真由美の家の表札から彼女の名前が消えていた事、家の前に男の子がいた事を問い質したのでした。
「ああ… あたし、もうずいぶん前に実家を出てずっと一人暮らししてて、家(うち)を出てから表札からあたしの名前、外してもろたんで… 後藤さん、それで、あたしが結婚したと勘違いしはったんやね…」
真由美は笑いながら、そう答えたのです。
そして、
「9年前に後藤さんが見はった家(うち)の前にいた男の子、多分、従妹の子どもや思うわ… あの頃、従妹が息子さん連れて時々、家に来てはったから…」
と言ったのでした。
私は思ってもみなかった真由美の発言に、ただただ驚くばかりだったのです。
全ては私の勘違い、一方的な思い込みに過ぎなかった事がわかり、そんな自分がなんだか恥ずかしく思えたのですが、それと共に…
私の中で長年、封印していたもの…
かつて30年前、真由美と恋人同士だった若い頃に抱いていた想い…
彼女に対する恋愛感情…
そして、情欲の念…
自分の心の中で真由美を欲する気持ちが30年の時を経て甦り、次第に頭をもたげて来るのを感じた私なのでした。
私を見つめている真由美の目に引き込まれて行くように、私も彼女の顔をじっと見つめて、お互いの顔を見つめ合っているうちに、自分の顔が段々と火照って来るのがわかり、心臓の鼓動が急激に速まって行くのを感じたのです。
真由美の白い頬もますます赤らんで来て、彼女の目は完全に愛しい異性を見る時のものになったのでした。
「そ… そうだったのか… いや… おれはてっきり“君”が結婚して家を出たものだとばっかり思ってた… あの時、9年前に見た男の子は君の子どもじゃなく、君の従妹さんの息子さんだったのか…」
私は真由美が独身の女性なのを知って、彼女が30年前に私と別れて以来、ずっと独りでいた事に大きな喜びを感じてそう言ったのですが、思わず、恋人同士だった時のように真由美を“君”と呼んでしまっていたのです。
「あたしも厚典さん、結婚してはるんや思てた… “あれから”ずっと独りでいはったんやね… あたしと一緒で…」
真由美も私を後藤さんではなく、恋人時代のように“厚典さん”と呼んで、喜びに満ち溢れた目でそう言ったのでした。
私は時間が30年前にタイムスリップしたような感覚に陥って、完全に真由美と恋人同士だった時の気持ちに戻っていたのです。
かつての恋人、初体験の女性と30年ぶりに再会した私は真由美と見つめ合っているうちに、彼女を思いっ切り抱き締めたい衝動に駆られたのでした。
それからしばらくの間、私も真由美も何を言ったらいいのかがわからず、無言でいたのですが、お互いに相手の顔から目を逸らさないでじっと見つめ合っていたのです。
「今日、これからどっか行かはるん…?」
私たち二人の間に生じた沈黙を破ったのは真由美の方で、彼女の質問に私は
「いや… 別に行くとこはないけど…」
と答えたのでした。
「ほな、これからどっか行かへん…? 久しぶりに会うたんやから…」
と言って、私をデートに誘った真由美の目は期待感に満ちていて、私は喜びで一杯の気持ちで
「じゃあ、どっか行こうか…」
と彼女の申し出を快く承諾したのです。
当初は友人の家を訪ねるつもりでしたが、もうそんな事などどうでも良くなった私で、真由美と30年ぶりにデートする事にしたのでした。
喫茶店を出た私と真由美は最寄りの駅から電車に乗り、そこから二駅の所にある公園に赴いたのです。
そこはかつて私と真由美が何度もデートした場所で、その日はGWだったので、公園内には大勢の人で溢れ返っていました。
「久しぶりだな… 昔、君と何度もやって来たけど、あの頃と変わってないな…」
公園内を真由美と二人で歩きながら、私がそう言うと、彼女も
「そやね… あの頃、あなたと二人でこうして何べんも来たわね…」
と感慨深そうに言ったのです。
しばらく歩いた後、空いているベンチがあったので、私と真由美はそこに腰掛けたのでした。
私がタバコを吸い始めると、真由美もタバコを取り出してライターで火を点け、吸い始めたのです
「君もタバコを吸うようになったんだな…」
喫茶店でタバコを吸う真由美を初めて目にした時には意外な気がした私で、昔はタバコを吸わなかった彼女が30年後の今は喫煙者になっていたので、私がそう言うと、
「うん… あなたとつき合うてた頃は吸うてへんかったけど、家(うち)を出て一人暮らしするようになってから吸うようになったわ…」
と答えた真由美なのでした。
「そうか… あの頃の君はタバコを吸ってなかったんで、喫茶店でタバコを吸う君を見た時はちょっと意外な気がしたよ…」
私がそう言うと、真由美は
「タバコ吸うあたし、嫌…?」
と言って、私の顔を彼女特有の色っぽい目で見つめたのです。
「いや… そんな事はないよ… ただ、タバコを吸う君を見てたら、昔のイメージと違って、ずいぶん大人っぽい雰囲気の女性になったなって… まあ、あれから30年も経つんだから、当然だけど… おれもこんなおっさんになってしまったし…」
と私が言うと、真由美は
「あたしもこんなおばちゃんになってもうたわ… あれから30年も経つんやから、しゃあないけど…」
と笑みを浮かべて言ったのでした。
若い頃と同じ人懐こそうな真由美の笑みに釣られて、私も笑みを浮かべてしまったのです。
「なんで結婚しはらへんの…?」
真由美はタバコを吸いながら、シリアスな表情で遠くの方を見つめて急にそう言ったのでした。
唐突な質問に私はやや戸惑いながらも、
「結婚したい女性(ひと)がいなかったからだ…」
と答えたのです。
「あたしと別れてからええ女性(ひと)と出会わへんかったん…?」
真由美は更に突っ込んだ質問をして来て、私は
「ああ… 君と別れてから何人かの女性とつき合ったけど、でも、結婚したいという気にはならなかった…」
と正直にそう言ったのでした。
「そう…」
私の返答に真由美はそっけない感じでつぶやくようにそう言った後、
「あたしもあなたと別れてからつき合うてた男性(ひと)、何人かいたけど、結婚したい思う男性はいーへんかった…」
と言ったのです。
真由美が私と同じ理由でずっと独身でいたのを意外に思った私でしたが、それと同時に彼女が私と別れて以来、独りでいた事が嬉しく感じられたのでした。
「君もそうだったのか…」
私がそう言うと、真由美は
「あたしら、おんなじやね…」
と言ったのです。
考えてみれば、私と真由美は若かった頃、31年前に初めて同士、童貞と処女で体を許し合って結ばれて肉体的に大人の男と女になったわけですから、お互いにとって相手は生涯、忘れる事が出来ない初体験の異性という間柄の男女なのでした。
私が真由美と別れた後に交際した女性たちは何れも精神的に本当の充実感を覚える事が出来ず、また、肉体的にもセックスで満足の行く最高の悦びを感じられなくて、大きな物足りなさ、虚しさを覚えていたのです。
その女性たちとの交際→別れを繰り返す度に私はいつも彼女の事、かつての恋人、初体験の女性である真由美を思い出してしまっていたのでした。
(あの時、なんで真由美と別れてしまったんだろう…)
私は心の中でそうつぶやきながら、取り返しのつかない大きな後悔の念を抱いていたのです。
失ってから初めて知った自分にとって大切なもの…
私にとって真由美は最高の女性、理想の女性であった事に改めて気づいたのでした。
(あの頃に戻れたら… もう一度、真由美とやり直せたら…)
何度、そう思った事でしょうか…
(もう二度とあの頃には戻れない… もう真由美には会えない…)
そう思うと、私の心は例えようもないほどの大きな悲しさに覆い尽くされたのです。
そのように一度は諦めていた私でしたが、しかし、今、自分の目の前には30年ぶりに再会した真由美が…
30年前の若いカップルから熟年の男女になっているとは言え、かつての恋人と再び巡り合い、もう一度、やり直せる絶好のチャンスが私と真由美、お互いの間に到来していたのでした。
私たち二人にとってその日の再会は運命的なものだったのかもしれないのです。
「あたし、今日、あなたに会えてほんまに嬉しい…」
真由美は私の顔を喜びに満ち溢れた目で見つめて、そう言ったのでした。
「おれも今日、真由美に会えて本当に嬉しい…」
私は30年ぶりで彼女の事を恋人同士だった時の呼称で、“真由美”と呼び捨てにしてそう答えたのです。
「あたし、今でもあなたが… 厚典さんが好き…」
「おれも今でも君が… 真由美が好きだ…」
真由美と私はお互いの顔をじっと見つめ合って、相手への想いを口にし合ったのでした。
30年ぶりに再会したかつての恋人同士、私と真由美。
もはや私たち二人を“阻む物”は何もない、いや、そんな物は最初から存在していなかったのです。
お互いに今でも独身で、相手を想っている事を確信し合った私と真由美の行き着く先は一つしかなかったのでした。
30年ぶりにお互いの間で燃え上がった恋心、そして、情欲の念。
その時の私と真由美は若い頃、30年前にタイムスリップしたような感覚に陥っていたのです。
私はすぐにでも真由美を抱き締めてキスしたい衝動に駆られ、
「どこか別の場所に行かないか…?」
と言って彼女を促すと、真由美は同意して私たち二人はベンチから立ち上がり、その場を後にして歩き始めたのでした。
GWの時期で公園内はどこも大勢の人だかりだったので、私たち二人は公園を出て、その近所の人気が少ない川沿いの歩道へと歩を進めたのです。
しばらく歩いた後、近くに誰もいない場所にやって来た私と真由美は歩道の側にある木の下に赴き、そこで足を止めたのでした。
「真由美ぃ…」
「あなたぁ…」
木陰で私と真由美は真正面から向かい合って、お互いの顔をじっと見つめて愛する相手を呼び合うと、この時を待っていたと言わんばかりに抱き合ったのでした。
「ああ… あなたぁ…っ! 厚典さぁん…っ! ああ… あたし、あなたにずっと… ずっと会いたかった… 会いとうて会いとうて仕方なかった… ああ… 夢見てるみたいやわ… あたし、今、ほんまに幸せ… ああ… 厚典さぁん…っ!」
「おお… 真由美ぃ…っ! おれも君にずっと… ずっと会いたかった… 会いたくて会いたくて仕方なかった… おれも今、最高に幸せだ… おお… 真由美ぃ…っ!」
真由美と私はお互いに両腕で相手の体を強く抱き締めて、喜びを口にし合ったのです。
そして、私と真由美は磁石で吸い寄せられて行くかのように顔を近づけて唇を合わせ、激しく濃厚にキスし始めたのでした。
「うっ… ううっ… うっ… うぐっ… うっ… むうっ… おっ… おお…」
私と真由美はお互いに相手の唇を飲み込んでしまわんばかりに強く吸い付き合って、吸盤のようにピッタリと一つに合わさった唇と唇の間から吐息交じりの声を漏らしながら、息が詰まりそうなほどに激しい濃厚なキスを繰り返したのです。
若い恋人同士だった時以来、30年ぶりで抱擁とキスを行なった私と真由美。
私は言葉では表せないとてつもないほどの大きな幸せを全身で感じて、真由美と別れてからのこの30年間、彼女以外の女性と結婚しなくて本当に良かったと思ったのでした。
真由美と30年ぶりに恋人同士として愛し合ってキスしている事に大きな喜びを感じて、生きている実感を強く覚えていた私だったのです。
30年ぶりに経験した真由美とのキスは若い頃のそれと違い、彼女の舌使いのテクニックが昔より上達していて、ちょっと驚いたのと共に少しばかり嫉妬の感情を覚えたのですが、私も真由美に負けじとばかりに自分の舌を彼女の舌にネトネトと絡ませたのでした。
そうして真由美と抱き合ってキスしているうちに、私の中で情欲の念が次第に肥大化して行き、それに伴ってペニスが勃起して、私はすぐにでも全裸になって彼女とセックスしたくなったのです。
しばらくキスした後、唇を離した私と真由美でしたが、私を見つめる彼女の目は官能の色に満ち溢れたものと化していて、私と同じく真由美もセックスを強く望んでいる事がよくわかったのでした。
真由美とセックスしたくて仕方がなかった私は
「これからあそこのホテルへ行くか…?」
と川の対岸にあるラヴホテルへ目を遣って、彼女に問うたのです。
そのホテルは30~31年前、私と真由美が何度か入った事がある私たち二人にとっての思い出の場所だったのですが、彼女は
「もうちょっと我慢して… 久しぶりやから、あたしの部屋でしたい…」
と答え、自分の住むマンションの部屋で体を交えるように要求したのでした。
彼女の部屋でセックスする事にした私と真由美はすぐにやって来た道を引き返して、一直線に駅へと向かったのです。
私は一分一秒でも早く真由美の住むマンションの部屋に辿り着いて、彼女と体を交えたくて仕方がなく、全身に漲っている溢れんばかりの情欲の念を抑えながら、歩いていたのでした。
公園内を通って駅に到着して電車に乗り、二駅先の駅で降りてその街に戻ると、彼女の案内に従って私と真由美はこれから二人だけの世界で愛し合う場所、かつての恋人、否、30年ぶりに恋人に戻った女性の住むマンションへと歩を進めたのです。
続く。