後に筆下ろしをしてもらった相手でもある友達の母親のお話しです。
人生初絡みから遡ること2年半。
友達の家の合鍵をとあることから手に入れた俺。
当時アラフォーだった美優の容姿は、いとうあさこさんを更に地味にしたような感じに、のんびりした穏やかさを持っている人でした。
華やかさは皆無で目立たず、口数も少ない。
外出着も普段着も地味なものばかりで大きく肌を晒すこともありませんでした。
飼い犬の散歩は朝と夕方に美優の日課です。
前から遭遇することが時々あって挨拶は僕から俯きがちに歩く美優にしていました。
精悍さがあり見た目怖いドーベルマンのジョンですが僕には懐いていて吠えることはありません。
ある日、家から結構離れたいつも人影薄い公園でジョンを見かけました。
公園といっても高速道路沿いの小高い空き地?という感じで、遊具もほとんどなく古くて臭い小さな公衆便所と水道があるだけの暗めな印象のある公園です。
ジョンは鉄棒に繋がれておとなしくしています。
僕を見て喜ぶジョン。
誰もいない広場ですので、ひときわ異臭を放つ公衆便所の中の様子を伺って見ました。
高速道路の走行音の中、時折聞こえるブーンブーンという音。
音を辿ると女子トイレです。
むせるようなアンモニア臭の便所ですから、滅多に使う人はいないと思われるようなところです。
思い切って女子トイレ側に忍び足でドキドキしながら入ってみました。
ブーンブーンの音は更に強くなり途切れ途切れの、ハァハァという吐息と深く鼻から臭い空気を吸い込む音が聞こえてきてました。