金曜の夜、23時40分。
歓楽街から徒歩で20分ほど歩いた県道の田舎道。
家は疎らに点在するものの人気はない。
車だって滅多に通らない、桃畑に挟まれた道。
何軒か直売の店があるが閉まっていて自販機が煌々と桃の鬱蒼としたジャングルを薄白くてらしている。
俺は、この先にクヌギやミズナラの多い山があり、そこでクワガタを捕ってペットショップに卸しては、1シーズン10万ほど小遣いを稼ぐ。
…その、予定だった。
丁度、桃畑の中程の直売店の軒下の長いベンチに白い服の、どうみても若い女性が突っ伏している。
自販機の灯りで薄明かりに白い服は、良く見えた。
いつも、もう少し先の直売店で山に入る時用のポカリを二本買うのが通例で、白い服の女性が気になり、ここでポカリはないがアクエリアスがあったのでガラガラガランと二本買う。
それまで突っ伏していた女性がおぼろ気に顔をあげ
「ごっめーん…ねちゃったぁ~ひっく!!よっぱらってるよぉ!!」
って、完全に人違い。
「大丈夫ですか?」と歩みよると
「なんだー知らない人だぁ~あはははっ」
この女性は、別世界にいるらしい。
さらに歩みよると私のアクエリアスをブンドって「イヒッ」と不快な笑みを残し、わたしの目の前でがぶ飲みしはじめた!!
完全に酔っぱらいの行動である。
「ぷあぁぁ!!これ、んまーい!!なんて酒ぇ~?」
「いやいや、酒じゃねーし!」
私の会心のツッコミは…
「なぁーんだぁ…」
の一言で一蹴される。
続いてゴクゴク、私の…私の…アクエリアスを一気に飲みほすと酔っぱらい子は木製のベンチに座して
「着いたら、おこしてぇねぇ…」
どうやら、この酔っぱらい子には、空飛ぶベンチか?或いは自動で走るベンチに思えたのだろうか?
再び、眠り始めた酔っぱらい子に「これわぁ…ベンチですよぉ…」と、ささやかに囁いてみる。
無論、反応はない。
しかし、着いたらとは?
何処へ到着させればよいのか…皆目、検討がつかない。
かくなる上は!!
と、我、愛車に運びこんで取り合えず発進した。
10m先で車を止めた。
車の後ろに人がいたとすれば…
止まっていた車が動き始めたと思った瞬間に停止し、突然、助手席側のドアが開き、同時に女性が身をのりだして「うおぉぉおえっ!!ぐげげげえっ」
嘔吐した瞬間を目撃しただろう。
私は…
書くのが飽きてしまった。
続きは後で。
ごはんをたべる。