スカートに指を潜らせなくても、ねっとりとした蜜汁は激しい勢いで溢れている。いつもそう。車に乗り込んだ瞬間、得も言われぬ香りが鼻腔を愛撫する。触ってもいないのに「濡れてるね」と訊いたときの、あの驚いた表情。それ以来、恥じらうどころか「見て…」と、白濁蜜が染み出た花芯を写真に撮って寄越してくる。
1年近いメール交淫を経て体を繋げたのは、偶然にも4月1日。うそのように好相性で、ふたりで歓喜し、人妻であることも忘れ、何度も何度も、花芯の奥に自分の遺伝子を叩きつけた。生殖機能が不完全な者同士という利もある。ただそれ以上に、ねっとりとした蜜と花芯周囲の匂いに、劣情は極まり、さらに歓喜しあった。
一方的に別れを告げたのは私からだった。SEXだけの関係を超えて、好きになってしまったから。会えない苛立ちをぶつけるうち、交際を重いものにしてしまった。仕事が休みの週末、私が寄越すメールは重かったという。夫がいる身。昼寝する夫に隠れ、文字と写真で情交を交わしたこともあった。しかし、夫の前では貞淑を貫く以上、おいそれと活動できないつらさを、私はくみ取れずにいた。
日は流れても、思いは募る。どうにもならなくなり、メールした。すると、平日に代休が取れるとの返事。休日出勤を無理に押し込み、会う約束をした。再開した文字と写真の交淫。焚きつけられた花芯は以前と何も変わらず、白い蜜を染み出させ「掻き回して」と言わしめた。
当日。予定より1時間遅れて再会した。ホテルに向かうまでの他愛のない会話。以前なら、蜜の匂いを感じ取り、クロッチに指を這わせるところだが、妙な緊張感が支配して、動かせない。助手席はずっと、向こうの景色を眺めている。部屋につき、ベッドになだれ込んだ。もともとハスキーな声が、逢瀬が始まると上ずり、少女のように鳴き出す。たまらなくなり、スカートのすそをたくし上げ、クロッチに。
「ひゃぁぁあ」と声を上げ、布越しに伝わる指の感触に顔をひきつらせた。すかさず舌を絡め、根元から吸い上げる。ふたりの中では、それを「スイッチ」と呼んでいた。1分ほど、優しく吸い込み、再び指を這わすと、クロッチの大部分が蜜で色濃くなり、花芯の頂は、蜜が溢れ、照明でキラキラと光っていた。もう、当て布に蜜を吸い取る能力はない。舌を這わせ、軽く蜜を吸い上げると、軽く痙攣するように臀部を震わせた。
下着をはぎとり、まずはびっしりと生えそろった長い陰毛の中に鼻を突きあてた。私がこのにおいを好きなのは知っている。わざと呼吸を大きくする私。快感は足先まで伝わり、やがて腰が浮き上がった。
久々のアプローチは、クリトリスから。「うっ…くぅぅう」。猫なで声を上げるたび蜜が湧き出るのを下唇で確認し、滑りに導いてもらいながら、舌先をゆっくり、下へ。「はっ、ふっっっ」と鼻息を荒げるのに合わせて、花芯を何度も往復。小さいながらもぷっくりと膨らんだクリトリスをピンポイントに吸い上げた。
「はぁぁぁぁぁあ、いっっっく…」と言い残し、大きく波打つ体を羽交い絞めにして、さらに刺激を続ける。「イッてもやめないで続けて」。それが私とのルールだから。エクスタシィにはまり込んだ花芯からはさらに蜜が湧き、蜜を追って早めた舌の動きで、ピチャッ、チウッと蜜をなめずる音が部屋中に響いた。
部屋の有線からは「♪長い間 待たせてごめん」と、あの歌が流れてきた。偶然にもほどがある。歌詞の意味を振り返るふたりの劣情は、高まる一方だった。