2026/09/09 11:28:27
(/bLAao5L)
20年くらい前の話だが、当時大学生なりたての俺は、渋谷のテレクラに通いつめていた。
高校はそれなりに女友達がいたが、付き合う関係はなく、残念ながら童貞のまま卒業してしまった。
大学で頑張ろうとするも、クラス制ではなく、さらにはサークルも入らなかった俺は、童貞を捨てるどころか女友達も出来ない状態だった。
そこで光明を見出したのはテレクラだった。
ガラケー時代、出会い系はあったもののあまりに乱立し過ぎていたため、詐欺サイトか見破れなかった俺は、テレクラの確実性を信じた。
しかし、大学の講義をサボって朝から入り浸るも、掛かってくるのは暇な人妻のおしゃべり、時折あるのは援交の誘い。
この際援交でもいいかと思ったが、テレクラに通っている割には援交で童貞を捨てるのはなんか嫌だというピュアな心を持っていた。
もはや数時間いてAV観て帰るという無駄な事を何回も繰り返した結果、ついにチャンスが巡ってきた。
その日も朝からテレクラに入店し、何本か人妻の冷やかし電話や、援交の誘いを流しつつ、今日もダメかなぁと思っていたところに、コールが鳴り、すぐに取った。
少し暗めの声の女の人だった。
「こんにちは」
「こんにちは。声、若いね。大学生?」
「そう。18歳」
「大学は?こんな時間からテレクラいるのダメだよ」
「はは。まぁ、講義なくて暇だったから。お姉さんは?」
「私はOL。今日、休みで。ねぇ、今日はどんな目的?」
エッチ目的であったものの、やはりここは抑えつつ
「まぁ、なんか遊べる人いたらなぁと思って。お姉さんは?」
するとお姉さんは一瞬黙った後、熱を帯びた声で
「お姉さんね、エッチな気分なの」
俺の心臓が跳ね上がった。
こんな展開は初めてだった。
しかし、何故か電話エッチ希望なのかと勘違いし
「ま、待って。今、脱ぐから」
と言ってしまった。
しかし、お姉さんは
「ねぇ、会えない?」
頭が真っ白になった。
会えないということは、ついに。
「えっ、あ、会えるけど」
突然の展開に混乱しながらも、頭の中では色々考えていた。
冷やかし?援交?美人局?
過去のテレクラ経験がネガティブな思考を巡らせていた。
「お、おれ、したことなくて」
何故か童貞をカミングアウトしてしまった。
「そうなんだ。でもイケるでしょ?」
「う、うん。イケるけど」
「嫌なの?」
「嫌じゃなくて、あの、突然で」
「だよね。でもお姉さん、エッチしたいの」
女性のエッチしたいという言葉だけで、俺は我慢汁が滲み出た。
「お、俺もしたいけど⋯⋯どこへ行けばいい?」
「綾瀬駅分かる?」
「わ、わかる」
「そこで待ち合わせしよ」
「うん」
「携帯の番号教えて?」
「は、はい」
俺はお姉さんに携帯の番号を教えた。
「かけ直すから、一回切るね」
電話が切られ、しばし待つと携帯が鳴った。
「も、もしもし」
「あっ、さっきの。何時くらいに来れる?」
「えっと、今渋谷だから1時間くらいかな」
「わかった。着いたら電話頂戴。待ってるね」
電話を切ると俺はダッシュでテレクラを出た。
早足で駅に向かい、山手線に飛び乗る。
途中、ガムを何枚も噛み、口臭対策をする。
電車を乗り換え、そして綾瀬駅に着いた。
綾瀬駅に着くと、すぐにお姉さんに電話する。
「あ、あの、着きました」
「ありがと。今向かってるね。駅の東口のロータリーで待ってて。あと、どんな服装?」
俺はお姉さんに服装を教え、言われた通りロータリーで待っていた。
その間、頭が冷静になり、こんな上手い話があるのか、美人局じゃないのか、怖い人だったらどうするのか、こんな簡単に童貞捨てちゃっていいのか、親にどんな顔で会えばいいのか等など。
そうすると興奮よりも、恐怖が勝ってきて、俺はやっぱりおかしい、こんな上手い話はない、帰ろうと決意する。
が、こんなチャンス二度とないんじゃないか、このまま帰ったら童貞はいつ捨てられるのかという思考もまた捨てきれなかった。
そして
「10分待とう。来なかったら帰ろう」
と時間を決め、そわそわ腕時計で時間を確認し始めた。
5分経つと冷静になり、やっぱり冷やかしか、残念だったなと何故かスッキリした気持ちになっていた。
そして、10分になろうかというとき、こちらに女性が歩いてきた。
その女性を見て、直感した。
心臓がバクバク鳴り始め、膝が笑い始めた。
それでも深呼吸をして、その女性を待つ。
女性は俺に
「こんにちは。待ち合わせしてる⋯⋯」
「あっ、よ、よろしくお願いします」
俺はお辞儀をしていた。