2018/03/08 03:31:13
(8Zn5RX7d)
季節は12月になっていた。
忘れるために、毎日クタクタになるまで泳いで、何も考えないで居たかった。
考えると彼のことばっかり出てくるからだ。
勉強も手に付かず、やる気も起きず、渋谷をウロウロしてると彼と出逢ったパチ屋が目に入った。
居るかな…会いたい…でもダメだ。
俺はアイツには迷惑な存在だ。もうあの悲しそうな目、どうして良いか解らない顔は見たくない。
そんな葛藤と戦って居た。結局店に入ってしまった。
彼が居そうな列に目をやる…彼が居た。
心臓が爆発しそうになるくらい、大きく脈打ってるのが解る、店内の暖房も有り、汗が大量出る。
俺は遠くから彼を見ていた。俺ストーカーじゃん。等考えて居た。その時不意に後ろからポンポンと叩かれ我に返った。店員が立っていた。なんだろ?と思っていたら、
『お客さま、高校生ですか?身分証明有りますか?』と声を掛けられた。
あ…俺学校の制服のままじゃん…ヤッバ、どうしようとか悩んでたら、後ろから『おせーよ。』と聞こえて振り返るとヤマトが立っていた。
『とりあえず黙ってろ。』
そう言われ、黙っていると、彼は店員に
『あーすみません。こいつ弟なんです。ちょっと荷物を取りに来て貰って…』
みたいな感じでその場はしのぎました。
店を出ると彼は俺を引っ張って、
『そんな格好で来んなよ。そうじゃなくても童顔なのに…』
俺『ごめん』
彼『んじゃ、帰るわ』
俺『ごめん』
彼『お前も帰るんだよ。つーか近所じゃん。』
俺『え…でも…』
彼『お前さ、本当自分勝手で自己中だよな…』
俺『うん。ごめん。』
彼『言いたいことは沢山有るから、とりあえず帰ろ。』
俺たちは電車に乗って帰った。車内では一言も話さず、俺は嬉しい気持ちと悲しい気持ちと色んな気持ちがごちゃ混ぜになっていた。
駅に着くと彼は
『俺んち来いよ。お前に話したいことが有る。』
俺は黙ってついて行った。着くと俺は
『今日はありがとう。』と言い帰ろうとした。
彼は急に俺に掴みかかって来て、俺が反応する前に殴ってきた。俺は倒れて彼は俺の上に馬乗りで何度と俺を殴ってきた。
俺は、あ、当然だな、と思って黙って殴られていた。
その時彼の涙が俺の顔にあたった。
俺は驚いた、何故泣いてるのか、不思議に思った。彼は、
『お前、なんで勝手に色々決めつけるんだよ。なんで俺の気持ちも考えてくれないんだよ。』
泣きながら彼は叫んでいた。俺も泣いた。
そして本当の意味で初めて彼に気持ちを伝えた。
『お前が好きなんだ。でも男同士じゃん。どうしようもねーじゃん。俺はどうすりゃ良かった?普通じゃねーじゃん。』俺も何故か怒りがこみ上げ彼をひっくり返し殴った。
彼と俺は唇切れて、目も腫れていて、視界が狭まって居た。不思議と痛くはない。
それより涙が止まらない。心が痛い。その時解った。彼も心が痛かったんだ。
彼は俺を抱き締め、ごめんと呟いた。
そして頭をポンポンと撫でてくれた。
俺はひたすら泣いた。子供の様に声を上げて。
彼は大丈夫だから、俺がいるからと…
彼は俺を家まで送った。母親が驚いてたが、俺と彼の手当てをして何も聞かなかった。
久しぶりにぐっすり寝れた。目が覚めると横に彼が居た。何とも言えない気持ち、一度無くしたものが返ってきた、そんな気持ち。
ホッとしたら、急に顔が痛い、あちこち痛い、お互いの顔を見て笑った。にしても痛かったw
その日は学校をサボり彼と動物園に行った。
俺『そう言えば、話したいことって?』
彼『あー、お前に告白されて、お前をあの時追い掛けられなくてごめん。連絡しなくてごめん。俺も悩んでたんだ。俺なりにちゃんと答え出してから、お前に会いに行きたかった。』
俺『あ…俺こそごめん。何か勝手に盛り上がってただけだよなwお前の気持ち考えて無かった。ごめん。』
彼『付き合うとか、そういうのはまだアレだけど…今なら言える。俺もお前のことが好きだ。』
俺『…俺もヤマトが好き…』
彼『うんwお前と知り合えて良かった。』
俺『ありがとう。あの…さ…クリスマスどうしてる?一緒に過ごせないかな?』
彼『うん。俺も言おうとしてたんだ。クリスマス、一緒に遊びに行こう。泊まりでさ。』