私が女装するようになったのは高校生の頃で、その時は女装というよりコスプレにハマっていて、女性キャラのコスプレをよくしていました。
ある夏コスプレーヤーの聖地コミケに初参加!
当時人気のあったラブライの東條希ちゃんのコス着て行ったんだけど、これが結構評判良くてアマチュアカメラマンの方たちから色々な角度から撮影されてすっかり良い気分に浸っていました。
すると、一人の外人さんとも思えるような巨乳のグラマラスな美女私のところにやって来て、自分はプロのメイクアップアーティストで今コスプレーヤーを撮影するためにカメランと来ていて、よければじっくりと撮影させて欲しいと言われました。
私は、すっかり舞い上がってしまい美人のメイクさんに連れられて少し離れた所にある関係者用の駐車場に行きました。
タバコを吸いながら待っていたカメラマンさんは、私のイメージしていたカメラマンとは程遠く、短髪にサングラスをかけたイカツイ人でどう見ても怖い系の人にしか見えませんでした。
「いやだ!師匠、こんなところでタバコなんか吸って、どう見てもヤバい人にしか見えませんよ」
メイクの美人さんがゲラゲラ笑いながらカメラマンさんに話しかけると、「ヤバい人はないだろう、ユキにかかると俺もカタナシだなあ」
と笑いながら答えてから私の方を向いて
「ごめんね、こんなところまで足を運ばせてしまって、すぐに済むからちょっとだけ付き合ってくれるかな?」
と、さっきまでのイカツイ顔とは違って、とても優しい笑顔で話しかけてくれました。
私がホッとしているのを見透かしたようにユキさんが、
「さっ、じゃあちょっとメイク直させてもらおうかな?」
と言いながら私の自己流のメイクを流石プロと思わせてくれる鮮やかな手さばきで私の全然知らないコスメを次々と顔に塗ってくれました。
ユキさんに手渡された鏡を見てビックリ!
メイクだけでこんなに変わるんだ!
「本当はもっとちゃんとやってあげたいんだけどここじゃあね」
ユキさんはこれでもまだ不本意なようでしたが、私から見たら完璧なメイクでこんなに綺麗な顔が自分だなんて信じられないほどでした。
その後、カメラマンさんの撮影が始まったのですが、テンポよく切られるシャッター音と的確でわかりやすいポーズ指示で、私もいつの間にかすっかり「その気」になって撮影されていました。
時間にして30分ほどだったでしょうか、撮影を終えたカメラマンさんが無造作に私にカメラを渡してくれて背面のプレビュー画面で今撮影した画像を見てみるように言ってくれました。
想像していたよりも遥かに重くかんじたプロ用のカメラを手にして私は言われた通り背面の画面を食い入るように見つめていました。
そこには、とても自分とは思えない美しい女性のコスプレーヤーが映っていました。
「ねえ、君、次の日曜日って何か用事入ってる?」
唐突にユカさんに尋ねられました。
私は、ちょっとドギマギしながら「いいえ、特にはありませんけど」
「じゃあ良かった!師匠いやカメラmンの先生の自宅兼プライベートスタジオが山手線の駒込駅のすぐ近くにあるんだけど、今度の日曜日そこで色々な女性のコス着て撮影してみな?もちろん、私がメイクとヘアー担当してあげるからさあ」
私にとっては夢のような申し出ですぐに承諾してカメラマンの先生の名刺をいただきました。
名刺には先生のカメラマンネームと住所が載っていました。
私は、次の日曜日の約束をして二人と別れました。
思えば、これが私のその後の人生を大きく左右することになったのですが、もちろん、この時点ではそんなこと考えもつかず、ただ無邪気に次の撮影を楽しみにしている私がいました。
(つづく)