私は凝り性だ。
ついつい、やり過ぎてしまう。
趣味の女装もそうだ。
外出してもリードされないように努力した。
髪の毛は地毛プラス部分ウィッグで、フルウィッグの不自然さをなくした。
眉と額は前髪で隠す。
口元はマスク。
首には医療用の伸縮テープを巻いて皴や弛みをなくし、喉仏を目立たなくした。
デコルテには、無理やり寄せ集めた胸の脂肪でおっぱいの膨らみをつくった。
おっぱい本体は液体封入式のシリコンバスト。
コルセットでウエストの括れをつくり。
ヒップパッドで丸くて大きなお尻をつくった。
ゴツゴツした手足はバレエ用のタイツや萌え袖にしたトップスで隠す。
これで、私から男らしい部分がなくなった。
そして、ファッションも奇抜なモノを避け、ユニクロやGUのような誰もが着ているファッションにした。
私は街を歩いても男だとバレることはなくなった。
しかし、面白くない。
露出が極端に少ない女は目立たないからだ。
と言って、流行や年齢を無視したミニスカートを穿くと、悪目立ちしてしまう。
ミニスカートが流行っていた時代が懐かしい。
その当時、私は男から性的な目で見られたりナンパされたりしていた。
そこで、私は新しい遊びを考案した。
それは、逆痴漢。
男に本物のおっぱいと同じ柔らかさの偽乳房を押し付けて、男のリアクションを楽しむ遊びだ。
人が多く集まる場所が好ましいが、電車やバスはダメだ。
逃げ道がないからだ。
通路が狭いお店…コンビニ、ドンキ、100均、本屋、アニメショップ等が最適だった。
私はスキニージーンズに胸元の空いたTシャツを着て、その上からUVカットのジップアップパーカーを羽織る。
どこにでもいる地味な女の格好だ。
そして、バッグは女物のリュックにする。
いくら狭い通路と言っても人がすれ違うことは可能だ。しかし、リュックで体の厚みが増すと狭い通路が更に狭くなり、体を密着せざるを得ない状況になる。
私はターゲットを見つけると、商品を探している振りをしながらターゲットに近づく。
ほとんどの人は、人が通れるだけの隙間を背中側に開けてくれた。
本物の女性は背中をすれ違う人に向けて通過するが、私は体の正面を男の背中に向けてすれ違う。
そして、偽乳房を男の腕や背中に密着させる。
男たちのリアクションは面白い。
それまで見向きもしなかった地味な女である私を女として意識し始める。
気持ちいい。
これが女装外出の醍醐味だ。
偽物の女に対し性的に興奮する男は、ルアーフィッシングで疑似餌に騙される魚みたいだ。
私の偽乳房の感触を知った男の中には、私をナンパしてくる男もいた。
しかし、私は男とはセックスをしない。
バス釣りをする人がバスを食べないのと同じだ。
私は、その気になった男をリリースした。
しかし、一度だけ男に逆ギレされたことがあったので、やり過ぎには注意が必要だ。
その点、アニメショップは最高だ。
二次元ヲタクの童貞はナンパをしてこないからだ。
中には三次元の女が本当に苦手な男もいて、私が二度目のアタックをしようとすると逃げていく男もいた。
しかし、そんな男に限って、顔を赤くしたり頻りにチンポジを直したりして、私の女の体の感触に過剰に反応していた。
彼らには、おっぱいを触ってしまった事に対する罪悪感があるようだ。
可愛い。
私は童貞をいたぶる遊びをやめられそうにない。