後半の部に入ってからは、あっという間に時間が過ぎてしまった、そんな感じがしました。「この学校の演奏が終わったら、 リハーサル室に行くからね」A先生が言いました。ぼくは、はっとしました。もうそんな時間なんだ、でも、そう思う、ぼくの心の中は、意外と落ち着いていました。リハーサル室は、思ったよりも広かったです。最初に、演奏する曲を2曲、通しました。ぼくが合唱団にいたのはほんの数日でしたが、今までの練習の中で、いちばんいい演奏だった、そんな感じがしました。そのあと、部分練習をして、リハーサルが終わりとなりました。長い廊下を通って、階段を上がって、ステージの袖の近くの廊下まで行きました。ステージ袖には、別の学校が待機していて、ぼくたちの学校は、その学校の次に演奏する予定なのです。廊下に1列になって座りました。ぼくは、体育座りではなくて、女の子座りをしました。女の子座りをしたのは、その時初めてでした。どうしてそういう座り方をしたのか、全然分かりませんでした。もちろん、教えてもらったこともなかったのに、そうやってしまったんです。無意識のうちにしていたのだと思います。足を横に揃えて、スカートで足全体を隠すようにしていたんです。「あら、ゆうちゃん、女の子座りね」って、向かいにいた団長さんから言われて、初めて気がついたんです。団長さんは、足を大またに開いて、パンツ丸見えの格好で座っています。「ゆうちゃんも、足を開いたら?」そう言われましたが、「今はこのままでいいです」って答えました。どうして、そう答えたかもよく分かりませんでした。「そうなのね。 ゆうちゃん、学校では、足を開いていたのに…」そうなんです、学校にいる時は、ぼくだって、パンツ丸見えの格好をしていたんです。その時は、恥ずかしくなかったけど、でも、今は、何だか恥ずかしいんです。あと、団長さんが足を開いている格好を見るのも、すごく恥ずかしかったんです。「団長さん、パンツ丸見えです」って言おうとしたけど、言えませんでした。ぼくは、その時には、何となく今までと違う、不思議な気持ちになっていました。それまでは「今日は女の子」っていう思いが、ずっとあったのですが、それがなくなっていたんです。うまくは言えませんが、最初から女の子、当たり前に女の子、そんな感じだったでしょうか。「ステージ袖に移動をお願いします」係の人が言いました。みんな立ち上がりました。ぼくも立ち上がりましたが、その時に、ぼくは、膝を立てて足を開いてしまいました。「あ、見えちゃった…」ぼくは、とっさに思いましたが、すぐには、立ち上がれませんでした。お股のところを見ると、パンツが大きく見えていました。恥ずかしいので、すぐに立ち上がろうとしましたが、立てませんでした。そしたら、係員の男の人が、手をとってくれて、立たせてくれました。「ありがとうございました」ぼくはお礼を言いました。その人は、まだ若いお兄さんでした。「うん、いいよ。何年生かな?」「5年生です…」「そうなんだね。演奏、頑張ってね」「ありがとうございます。頑張ります」お兄さんとお話できたこと、すごく嬉しかったです。優しそうな、いい感じのお兄さんでした。でも、お兄さんにパンツを見られちゃったって思って、それは、すごく恥ずかしかったです。「○○小って、女の子ばかりなんだね。 他の学校には男の子もいるのに」ってお兄さんに言われて、少しドキッとしました。ステージ袖は薄暗かったです。ステージで歌っている声が聴こえていました。さっきまでは、女の子らしくしていたのに、お兄さんにパンツを見られちゃったっていう思いと、「女の子」ってさっきお兄さんに言われて、すごく嬉しかった思いとで、また何だかドキドキしてきたぼくでした。それに、ステージ袖は薄暗いから分からないと思って、足を大股開きしてしまいました。ステージ袖は、コンクリートの壁で、ひんやりとして涼しかったです。スカートの中に、風が入ってきて、いい気持ちでした。「ここ、涼しいでしょ…」
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本番のステージは、あっという間の出来事でした。それは、たった10分程度の時間でしたが、夢の世界にいるような、そんないい気分で、演奏をすることができました。みんなの歌声が、いつもよりきれいに、すごく溶け合って聞こえました。僕も、女の子の格好で、すごくいい気持ちで伴奏をすることができました。審査発表があって、僕たちは金賞に選ばれ、本選の舞台へと出場することが決まりました。去年に続く金賞で、みんなもすごく喜んでいました。僕も、まだここの学校に来て間もなかったのですが、みんなと一緒に練習を一生懸命にして、金賞が取れたこと、とても心に残りました。思わず、みんなと一緒に泣いてしまった僕でした。「上手だったよ」と、係員のお兄さんが、僕のことを抱っこしてくれました。○○先生も、「今日の学校の中では、いちばんだったよ」と仰ってくれて、すごく嬉しかったです。帰りのバスの中では、かおりちゃんやゆみちゃんと一緒に、C先生にいっぱい甘えながら帰ってきました。学校に着いて、全員が解散をしてから、「このあと、お話があるから、待っていてね」とC先生から言われました。待っている間、しばらく、かおりちゃんやゆみちゃんと遊びました。遊んでいる時、ユニフォームのスカートがめくれて、パンツがいっぱい見えてしまいました。でも、かおりちゃんもゆみちゃんも、いっぱいパンツを見せていたし、僕も、遊びに夢中になっていたから、そんなに恥ずかしくはなかったです。しばらくしてから、C先生に呼ばれました。校長先生や先生方、僕の両親とで、お話をしました。あと、合唱団で同級生の、かおりちゃんとゆみちゃんも、残るように言われたそうです。みんなで、校長室でお話をしました。僕が校長室に入るのは、転校をしてきた日以来です。女の子の格好で入るのは、この日が初めてなので、すごくどきどきしました。校長先生が、金賞を取れたこと、伴奏がうまく弾けたこと、女の子の格好で頑張ったことを、うんとうんと褒めてくれて、とっても嬉しかったです。A先生、B先生、C先生も、すごく褒めてくれて、本当に嬉しかったです。その時に、1週間後の本選に向けて、また伴奏をしてほしいと、A先生に言われました。伴奏をしていた6年生の子の入院が、もう少し長引くというのです。また、学校では、本選に向けて、壮行会が開かれ、そこで、合唱団の演奏を披露するそうなのです。その時にも伴奏をしてほしいといわれました。あと、しばらくの間、学校でも、コンクールが終わるまでの間は、女の子で過ごしてほしいと言われました。僕は、その話を聞いて、すごくどきどきしてきました。女の子の格好は、最初はすごく恥ずかしかったけど、今では大好きです。でも、僕は本当は男の子だし、女の子の格好も、もしかしたら今日限りかなって、少し残念に思っていたんです。担任のC先生が、「ゆうさん、女の子の格好はどう?」と聞きました。僕は、自分の気持ちに正直にお話をしました。「もし、冷やかされたり、いじめられたりしたら すごく嫌だけど、そういうことがなければ、 女の子の格好がいいです」って言いました。C先生は、クラスのみんなにもちゃんとお話をして、僕が辛い思いをしないようにすると、約束をしてくれました。かおりちゃんやゆみちゃんも、「もし、何かあれば私たちが、 ゆうちゃんのことを守ってあげる」って言ってくれました。僕は、C先生やかおりちゃん、ゆみちゃんの気持ちが嬉しくて、思わず涙が出ました。父や母が、今度は言いました。「ゆうは、女の子になってからは、 すごく楽しそうにしていて、 前の学校の頃とは全然違うので、 すごくびっくりしています」「ゆうは、女の子の格好の方が、 生き生きとしていますね。 今日のピアノ伴奏も、 男の子で弾いていた時とは、 出来栄えが全然違ったんですよね…」そして、できれば、この学校では、僕が、この学校を卒業するまで女の子で通わせてほしい…と、
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次の日は日曜日、そのも、合唱団の練習がありました。今度は、本選に向けての練習です。練習は、私服で行ってもいいのですが、僕は、その前の日からから女の子になると決めたので、この日ももちろん、迷わずスカートにしました。昨日、コンクールが終わったあと、デパートに行きました。そこで、夏用のスカートと、女の子用のパジャマ、それから、浴衣も買ってもらったんです。もう、8月の終わりなので、秋物が売られていましたが、夏物のスカートやパジャマや浴衣も、すごくかわいいのが、いっぱい安売りをされていました。「ゆうちゃん、学校でもお家でも、 毎日スカートでいい?」とママが聞いてきたので、僕は、「うん」と答えました。安売りだったので、いっぱい買ってもらいました。サイズの大きめでかわいいのもあったので、「来年、着れるかもしれないから、買っておくわね」と、ママが言いました。パジャマはピンク色で、浴衣は空色です。パジャマは、ズボンが半ズボンのタイプのものです。デパートの店員さんに、「お嬢様」とか、「女の子らしいですね」と言われて、すごく嬉しかったです。あと、ママに店員さんが、「お嬢様は何を着ても似合うタイプのお子さんですので、 すごくお得ですよね」と言っていました。僕は、嬉し恥ずかしさで、あそこが大きくなってしまいました。押さえると分かってしまうので、そのままにしていたのですが、ママは分かってしまったようで、あとから、「あの時、大きくなっていたでしょ」と、言われてしまいました。でも、気づいたのは、ママだけだったみたいです。とりあえず、夏物のスカートだけを買って、秋物は、もう少し涼しくなってから買いに来ようということになりました。その日は、家に帰ってからも、ずっとスカートをはいて過ごしました。パパには、「何だか、娘ができたみたいだな」と言われました。パパに思いきり甘えて、お口同士でそっとキスもしました。お風呂にも一緒に入りました。寝る時は、新しいパジャマでしたが、何となく半ズボンのズボンが嫌だったのでママに言うと、「いいのよ、上が長いから、半ズボンは脱いでも…」と言ってくれました。「パジャマもスカートだね」と、僕が言いました。涼しくて、すごくいい気持ちでした。その日も、朝から暑い日でした。ママが、昨日買ったばかりの水色のワンピースを出してくれました。僕は、裸になりました。昨日まではそうでもなかったけど、この日は、おちんちんがあるのが、すごく恥ずかしかったです。おちんちんがついているのが、何だかとても気になりました。すぐに、女の子用のパンツをはきました。次にスリップも着ました。コンクールの時も着たので、分かっています。そして、いよいよワンピースです。ワンピースを頭にかぶった時、すごくドキドキしました。ワンピースを着るのは、この日が初めてでした。お膝が隠れるくらいの長さの、後ろジッパー式のワンピースでした。ジッパーが届かなかったので、ママに上げてもらいました。あと、腰のリボンを後ろできれいに結びました。僕は、前からエプロンをする時に練習していたので、後ろでちょうちょ結びをするのは得意でした。お髪は、昨日はツインテールでしたが、今日は、結ばずにおろすことにしました。僕は、その時は、背中の真ん中まで髪の毛が長かったんです。そのあと、じゅうたんの上に座って、白いハイソックスをはきました。足を開いたので、パンツが丸見えになりました。「せっかくのかわいいお洋服が台無しよ」と、ママが笑っていました。ユニフォームではスカートをはきましたが、私服のスカートをはいて学校に行くのは、この日が初めてでした。着替えてから、朝ご飯を食べました。昨日もそうでしたが、何だか心配で、食べるのに少し時間がかかってしまいました。もうすぐ、かおりちゃんとゆみちゃんが、呼びに来てくれますが、すごくドキドキしていました。朝ご飯が終わって、歯磨きをして、しばらくした頃に、玄関のチャイムが鳴りました。僕は、さっとソファーから立ち上がりました。ゆみちゃんとかおりちゃんが来たのです。「おはよう、かおりちゃん、ゆみちゃん」
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