2012/03/06 22:12:18
(/GCrg8LF)
俺は犯罪者になった
そのうちお回りがそこのベニヤでできたドアをノックするんだろう
俺の女房は俺と一緒に居たいって言うのに 奴等はきっと俺に手錠をかけ
頭を押さえつけてこれ見よがしに派手な赤いランプを点けた車に押し込むんだ
恐怖で言葉も出ない女房の頭を黒い皮手袋で撫でながらこう言うんだ
「 こわかったねえ でももう大丈夫だからね 犯人は捕まえたから
安心しておうちに帰れるからね きっとお母さんが心配して待ってるから 」
夜は家に帰って寝る
弟の食事を作って持って帰るのだ
料理音痴の俺と9歳の子供で作る飯が美味いはずもないのだが「お姉さん」は懸命にフライパンを振る
夕食は俺と二人で食べる
女房が言うには「一人じゃあおいしくないでしょ?」 とか、
9歳の子供が独り者の俺を気遣ってくれるのだ
何ほどの苦労をこの幼い心に受けてきたのだろうか・・・思わず涙が溢れてしまった俺に
「 ごめんなさい・・・」 勘違いをし、脅えたように謝る彼女を抱きしめて泣きながら伝えた
「違うよ うれしくて泣いたんだよ ・・・ 優しいんだなあって思ってさ 」
俺が仕事に出ると適当な時間に弟と部屋にくるのだ
風呂に入り 適当に二人で飯を食い ごろごろして俺が帰るころには弟の姿はない
ただその痕跡だけは残っていて それと知れるだけなのだ
弟を帰すのには彼女なりの気遣いからだ
俺の女房としての務めの一つをを果たすためだ
俺は激しい欲求を抑えることができずに毎日女房を抱く
俺は醜い犯罪者だ
鉄格子の中に隔離されるべき生き物だ
どんなに俺が女房を愛しているとしても、だ 彼女を救えるヒーローは俺なんかじゃないんだ
だからいいさ、俺は壁の向こうに行くさ
だから、誰か本当のヒーローさん、どうか俺の小さな女房と、その弟を
どうか学校へ行かせてやってくれ
どうか毎日風呂へ入れてやって、汗臭くない服を着せてやってくれ
そして、どうか 俺と居るとき以上の笑顔を彼女に作らせてあげてくれ
あいつらの幸せを願いながら
明日もきっと俺は彼女の感触と快感に身悶えしながら果てるのだ
この悪魔は退治されるべきなのだ
「母親」と共に・・・・・・・・・・・