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2024/01/01 21:04:08 (8P0mn5NV)
これを読んでいる男達は、正月を何処でどんな場所で過ごしているのだろう。

正月からエロサイトを眺めているんだから、大して俺と変わらない惨めな境遇かもしれないが、俺はここで自分の不遇自慢をするつもりは無いが、俺は世の中的にも、かなり悲惨な部類になるだろう。

実際、元旦の夜に俺は帰る家も、転がり込む友人宅も無い。自業自得と言えばそれまでだが、駅前の個室ビデオ店で隣から聞こえるAV女優の大袈裟な喘ぎ声に辟易としながらコレを書いている。

俺はコロナ影響で長く勤めたあまりマトモとは言えないバーのバーテンダーをクビになった。
そんな時に、やはりマトモとは言えない常連客に誘われて福祉関係の仕事を始めた。

普通とは言えない常連客の福祉関係の仕事というのは、住所不定の人間を探し出し、生活保護を受給させ住居、飯を当てがう作業だ。詳しくは書かないが世の中、弱者の骨までしゃぶって金にする連中が居るし、またそこまで落ちてもエサのように他人から支給される三度の飯を食らって呼吸が止むのを待つ様にただ生きる人間も居る。

この仕事について2年目の夏、俺は普通の人間が来ない事務所でこの仕事のフィクサーの、でっぷり肥えた元官僚の爺さんに引き合わされた。

辟易とするほどヤニ臭い息を吐きながら、宮田と名乗る爺さんは人を馬鹿にする様な目で俺をじっと見つめて、日頃はお疲れさん、ところで君は水商売上がりなんだってねと含みのある口調で尋ねてきた。

俺がそうだと応えると、君に一軒店を面倒見て貰いたいんだと俺の目から視線を逸らさず言った。
宮田の話では、やつの女房は元銀座のホステスだったらしい。官僚時代は流石に大人しく上流夫人を演じて来たものの、天下ってから特に彼女のハレの舞台が無く、暇を持て余し、元々社交好きの派手な女で、店をやりたいと言って聞かないのだそうだ。

店は流行らなくて良い、素性が良く無い客や下手に彼女に手を出す客が出ない様に、要はお目付け役をやってくれという事だった。

俺は面倒に巻き込まれる、特に女絡みの面倒はごめん被りたく、宮田の機嫌を損なわない様に丁寧に、その話を断った。

宮田は明らかに苛つき、そうじゃない。私の説明が悪かった様だ。君が、この仕事をやるんだと伝えたんだよ。と先程より更に険しい目つきで俺をじっと見据えて低い声で言った。

沈黙を割いて事務所の玄関扉が開くと、白のパンツスーツにサングラスをした女が入ってきた。
女は俺を見やりながら、宮田にあなた、この人が言ってた人?と尋ねる。

宮田がそうだ。彼が昔、バーテンダーを長くやった経験のある男だ。と応える。
女がサングラスを外し、肩までの美しい髪をかき上げる。40を越えたぐらいだろうか、流石に銀座のホステスから高級官僚夫人の座を掴んだ女だ。

自信に溢れた美しい瞳は、人を惹きつける。
若い頃は女優なみの美しさだったろうと思わせる女の表情は40を越えて少し怖さを感じさせるくらいの妖艶さを持っていた。

俺はこの女に関わった事で、正月に垢じみた個室ビデオ店の狭い部屋で、人目を憚かるように過ごさなければならない羽目になった。





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7
投稿者:(無名)
2024/01/04 21:25:34    (ApRQlnnX)
当分セックス描写は無いんですか?それは困ったなぁ!ここまで読んだのに(T-T)では推理小説ですか?
6
投稿者:(無名)
2024/01/04 16:55:50    (19tBlpQ0)
当分セックス描写は無さそうだね。
5
投稿者:(無名)
2024/01/03 00:36:47    (tY5/Iz3C)
そるから?
4
投稿者:けんじ
2024/01/02 03:32:08    (plZMkXnk)
蛇の様な陰湿な宮田と、やり取りを交わしたあの日から俺は宮田の女房である美佐子の運転手兼、彼女の店舗マネージャーをやる事になった。

美佐子はやはり只者では無かった。宮田からの潤沢な資金の裏付けがあるだけでは無く、美佐子は確かにそちら方面の才覚があった。

宮田に出店を認めさせた後、彼女は直ぐに物件を見て回り条件交渉を行い出店場所を決め、事務所で会った2週間後には内装の施工業者に現場で指示を出し、内装工事作業と並行して店舗で働く女性の募集、面接を始めスタッフ確保を始めた。

俺は、夏の終わりのその頃は朝10時過ぎに宮田の所有するウォーターフロントのタワーマンションの駐車場から、宮田名義のドイツ製大型SUVをマンション正面玄関の車回しに停め、平日はほぼ毎日彼女を待った。

美佐子は、美しい容姿から近づき難い印象だが、時折見せる細やかな心遣いが見事で、普段は必要以上に話す事が無い美佐子が、毎朝必ず運転席の俺に朝食の残りだと云い手製のサンドイッチやクッキーを手渡して来た。

店の準備が着々と進み、内装工事もだいぶ進み店の全体像が見えてきた頃には、女性スタッフの面接を済ませ人員はほぼ固まり、店のオープンが10月に入った最初の金曜日に決まった。

俺もフロアマネージャーとして、スタッフミーティングや酒屋を始め取引業者との交渉や打ち合わせに開店までの日々を追われた。

オープン初日は宮田の交流の幅広さから駅前ビルのワンフロアを借り切った大型店舗のエントランスは祝い花で埋め尽くされ、入りきらない花で1階のエレベーターホールも溢れる状況だった。

初日の盛況ぶりに後押しされて店は順調な滑り出しを見せ開店後1カ月経った11月の落ち着いた頃には界隈では話題の人気店になっていた。

美佐子は人気店のやり手ママとしての手腕を発揮し、連日常連客の確保に同伴出勤、店が終われば上客に付き合い、店を俺に任せて夜の街に消えた。

俺は毎晩、売上管理を行い、フロアスタッフの清掃や酒類、備品の発注を見届けて深夜帰宅。
店舗のオープニング時には美佐子宅に連日行っていたが、その頃は夕方に店舗に出勤し、忙しい美佐子とは電話やメールでのやり取りが主流になっていた。

開店して1ヶ月経った11月でも週末には店舗に入りきれず断る客が出るほど相変わらず店は繁盛している。そんなある日、店が終わり業務を終わらせた俺の携帯が鳴った。
美佐子からの着信だった。俺は何か忘れ物でもしたのかと電話に出る。

普段は冷静沈着な美佐子の声が少し上擦っていた。けんじさん、まだお店かしら?少し困ってるの。今、自宅にタクシーで戻って来たんだけど、マンションの入り口に酒井さんが居た。こないだ帰りに様子が変だったから、このところ気をつけてたの。

酒井というのはオープニングスタッフのキャバ嬢時代からの客だという地元の総合病院で事務方の上から3番目だか4番目という触込みで、美佐子がテーブルに挨拶に行って以来、週に2、3度来ては美佐子と同伴したり、アフターを付き合わせていた小柄な大人しそうな男だ。

今、車回しにタクシーを停めようとしたらチラッと姿が見えたから、運転手さんに停めないで貰って今、時々コーヒーを買ったあのコンビニで下ろして貰ったの。

けんじさん、タクシーでコンビニで私を拾ってマンションエントランスに入るまで送って貰えないかな。

旦那さんは?面倒を避けたい俺は旦那に連絡すべきだと言ったが、女房が水商売をする事を快くは思っていない旦那にストーカーまがいな客が居る等と報告したら、今すぐ店を止めろと言い出しかねない。

お願い。けんじさん助けて。
美佐子の塩らしい声に、俺は分かりました。今向かいます。コンビニにいて下さいと応えた。

コレが俺、美佐子、宮田、酒井のそれぞれの人生を狂わせる最初の小さな出来事だった。

3
投稿者:ガマ蛙
2024/01/01 22:32:43    (A.4KWaFf)
すごく続きが気になる!

続編待ってます!
2
投稿者:のりき   janin423 Mail
2024/01/01 22:25:32    (hN5rZsMR)
思わず読み耽ってしまいました。

ぜひ続きを拝読したいです。
楽しみにしています。
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