サキという子を知っているか。サキはカナが在籍する人妻ホテヘルの同僚だ。彼女のフェイスブックを見て、カナが清水さんなのではと思った。自分は黙ったままで、なんと返事してよいのか、「これって何か起こるよね?」って思っても何も言えず沈黙が続いた。ここで、うまくを話しを持っていけば清水さんをどうにかできるかもしれないのに、何かが起こりそうなのに、何か起こるのは間違いない?というのに内気な自分はどうにもこの状況を脱することができない。清水さんは深呼吸をした。「…お茶入れよっか…」ポットに水を入れるため清水さんは洗面所へ向かった。自分は震える手でスマホのボイスレコーダを立ち上げ、録音を始めた。滅茶苦茶緊張した。「熱いからね」「ありがとうございます」かなり熱いお茶だったが、少し落ち着くことができた。「やっぱり、知ってたんやね…サキちゃんのことも、…私…のことも」「すみません…」「…ううん、ありがとう。ずっと黙ってくれてて。」「いや、そんなことは…。いっぱい調べました。気持ち悪いですよね。」サキがストーカーされておりツイッターや店のHPのアクセスログを調べることとなり、ストーカー以外にも度々閲覧してる人間がいることが分かった。それを調べるうちに、清水さんは自分がカナやサキのページを閲覧していることを疑うようになったらしい。「でもね、山崎君、会社でも私のページ見てたやろ?」どうも、通りすがりに見られていたようだった。「こんな仕事してるかもって思ったら気になるやんな。…悪いのは私やねん、人に言えへん仕事してるのは私やねん…」清水さんは、旦那さんとはうまくいっておらず、子供が中々できないことをつつかれていたらしい。休みの日でも一人で家にいるのが苦痛だが、仕事の時間数を増やすことができずに秘密のアルバイトをすることになったとのこと。慰めになるかどうかわからないが、自分はオタクでイジメられっ子だったことを初めて他人に打ち明けた。どうしても人の中に積極的に入っていくことができなくて友達ができても長続きしない、仕事での付き合いで話はできるけど、それ以上かかわっていくことができないこと。など、清水さんは黙って聞いてくれた。イジメに遭っていると、いつ死んでもいいとか、まともな精神でいられなくなる。というか、世の中を斜に構えて見てしまう。だから風俗で働く女性のことも、どこかで心に傷を負っていたり、単に小遣い稼ぎでやってるとかもあるが、そういうこともあるんとちゃう?って変な理解があった。「自分はこんなだから、彼女もできません。」「そうかな?山崎君は優しいし、顔もいいから、ちゃんとしたらモテそうやけど。きっと性格で損をしてるんやね。…彼女、ちょっとでも居たことないの?」「居ないですよ、学生の時は、ずっと女の人からは避けられてました。恥ずかしいけど初めての人はヘルスの人でしたよ。自分なんて、お金を払わないと相手してもらえないんです。」「…そうなんや…。でも、お金払うからと言って、そんなことには中々ならへんよ。その子は山崎君だったからイイかなって思ったんと違うかな?」「優しいし、かっこいいから、そんな人の初めてやったら…。その子も優しい子やったんやね。連絡先とか交換した?」「そんなことできるわけないですよ。自分にはできません。」「清水さんで、久しぶりに女の人の電話番号を登録したんですよ…。」「そっか、それは光栄やわ。…私でも、山崎君がお客さんとして来てくれたら、若くて優しくてかっこいいから嬉しいと思うで。」サラサラのストレートな髪がなびき、ふっといい匂いがした。ほっぺたに、あたたかな柔らかい感触があった。そして優しい笑顔。「ホンマにありがとう。これからも誰にも言わんといてな…お願いね。」次に柔らかく温かい感触は唇にやってきた。緊張でのどがカラカラになった。清水さんの目がキラキラして吸い込まれそうだった。「今日は山崎君がお客さんやで…」唇を重ねると別の生き物のように舌が侵入してきた。脳内に快楽物質がぶちまけられ溶けてしまいそうだった。キスがこんなに気持ちいいものだったとは…夢中になって応戦した。
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