2024/06/02 16:48:04
(bHmiNxYQ)
「先生…謝んないで…失礼な事たくさんしたのは…わたしの方だから…」
(拘束を解かれた四葉。無理して暴れたからか、手首には赤い筋がついてしまいます。まずは先生に謝り、そしてギターにさわり、一通りの運指を…)
「よかった…筋痛めてない…
そうとう混乱してると思いますよね?実はわたしもでした。
先生が倒れられたあの日、いつはもまた、そのショックで寝込んだんです。佐倉さんの指示で睦月さんが保健室に連れて行ってくれて…如月さんがわたしのところに教えにきてくれました。」
(自分を落ち着かせるように指慣らしの曲を弾きながら四葉は話します。落ち着いた澄んだ音。これが本来の四葉なのでしょうか?少なくとも来た当初の噛み付くような雰囲気ではありません)
「目を覚ましてからのいつはは、不思議なことを言うようになりました。『長谷川先生が身体の中にいる』って…そこからのいつはの体調はとても良くて、あの子自身がびっくりするくらいでした。
そして、たぶん睦月さんたちがこの部屋に呼ばれ出してからでしょうね?身体の中の熱いものは先生の心の欠片、いずれは返さなきゃって、話し出したんです…」
(弾き語っていた手が止まります。のそのそと動き、先生の隣にぴとっ…とくっついて…手、にぎって?と差し出します。柔らかい手じゃなくてごめんなさい…と弱々しく笑うと…また話を)
「…返すって…先生まだ昏睡なんでしょ?しかもそんな確証のないものをどうやって…?」
『わかるの。もうすぐ順番がくるんだ。あたしがこれを先生に返すお部屋に招かれる順番が。このカケラのおかげで元気な時間を体感できたんだ…あたしはもうそれだけで満足してるから、いつでも大丈夫…』
「いつは…」
『よつばちゃん…そんな顔しないで?ただ、次のライブまで、その順番が回ってこないと…いいなぁ…一度見てみたいの、生でよつばちゃんのかっこいいところ…』
「…あの子たちには感謝してます。いつはを助けてくれたようなものですから…
部屋に呼ばれて帰ってきたんでしょうね?睦月さんは明るく、如月さんは柔らかく、佐倉さんは女らしくなって。仲良さそうにしている3人をみて、いいなと思いつつもそのおかげでいつはの番が…と思うと憎らしくもなり…あの子たちを疎ましく思うようになりました。
だから、バチがあたったんでしょうか?こんなに早くいつはの番が回ってきました。今朝、わたしの目の前で眠るように、いってくるねって…思わず手を握って抱きしめて、行かないで!って叫んでたんです。
次の瞬間、わたしもこの部屋に…』
(四葉は欠片を持っていませんでした。持つのは五葉の方。しかも受けたカケラが大きく、及ぼす力も強すぎたせいで月詠なしでも全てを理解していまいた。
そして、双子ならではの共感と五葉への強すぎる想いで四葉まで…先生は事の次第を全て理解します。)
「あの欠片をうしなったら、いつははまたもとの身体に戻っちゃう!せっかく元気になれたのに!ライブに来たいっていってくれたのに!
なによりもまた…いつは自身が苦しい目に遭っちゃう…なんでわたしだけはこんなに元気なのに、あの子だけに…欠片が想いの強さなら、わたしに宿ってなくても、いつはと繋がってるなら、それを使ってあの子を守れる…ホントは帰れないってわかってた!でもせめて…
そう思って…いつはを知るみんなの記憶から、いつはの事を…消すように必死に願いました。もともと一続きだった部屋も作り替え、どうしても残ったこの扉を機材で隠して…欠片持ちはわたしだって嘘ついて振る舞って…
ごめんなさい!先生を煽るような事言って…失礼な態度たくさんとって…いつはを守りたかった…守る力が欲しかった…このまま永遠に帰らなくてもいい。そのかわりあの子だけは…帰してほしいって強く願い続けて…
ごめんなさい…もともと先生の心なのに…ごめんなさい、ごめんなさい…」
『…謝るのは…あたしです…ごめんね?よつばちゃん…知らない間に…深く悩ませて…自分を傷付けてまで…』
「いつは…いつはああああっ!うわあああっ…」
(項垂れて泣き始める四葉。抱きしめようと先生が手を伸ばすと、開いた扉のすぐそばで五葉が笑って立っていました。四葉は駆け寄り五葉にだきつきます。勢い余ってぬいぐるみの中に飛び込む2人。泣きじゃくる四葉をあやしながら、五葉は先生にその優しい顔を向けて…)
『よつばちゃんのお話の通りです。あたしはもう十分満足しました。この欠片…あたしとよつばちゃん、2人分…いつでもお返しできますよ?』
「やだ!わたしは満足してない!納得してない!先生には悪いけど…わたしここに残るから!いつはは帰るの!」
(抱き締める力を強めます。やはり双子。本質は同じ…抱きしめてからすぐに間の壁やスタジオの風景は消えて、柔らかく暖かい部屋が広がります。ぬいぐるみの群れの中に、おもちゃのピアノやドラム、ギターなどが散らばる中、一本だけ…四葉の紫のギターだけが柔らかいぬいぐるみに抱かれるように置かれていました。まるで…2人を象徴するように…)
『…ですって、先生。どうしましょうね?よつばちゃん満足させてあげないと…欠片、返せなくなっちゃいました。むつきさんたちの想いも…感じられてたんです。だからどうやって欠片を返していたかも…』
(顔を赤くして、その顔を見られたくないと、四葉をぎゅっと抱きしめて…)
『ねぇ先生?3人みんなで…「満足」して…いっしょに…帰りましょうか?』