面白い・・・

そう思った俺は、そのまま何人もにカメラを向けた。

総務部のお局で知られるババァの最終性交日が昨日？
パートナーは営業部の新入社員？

受付嬢のパートナーは今年で５０歳になるセクハラ課長で、趣味は課長が集めた男達への肉便器奉仕？？

そうやって何人もにカメラを向けてから、ふと気がついた。

これ、マジじゃないか？

まず思ったのは身長や体重だった。
見た目でも判断できるソレは、画面に表示される数字と合っているような気がした。
そして社内のサーバーに保存されている社員名簿を確認すると、年齢がぴったりと合致していた。

そんな事があるだろうか？

俺は、てっきりギャグだと思っていた。
作成者が用意した趣味の悪い数字や単語がランダムに表示されるだけのアプリだと思っていた。
しかし年齢、身体、体重、、、なにより名前が正確に表示されている。
こんなの、偶然であるはずがない。
本当に写真に撮った相手のプロフィールが表示されているとしか思えない。

しかし・・・

なら、このアプリの説明にあった『書き換え』は・・・
追記、攻略は・・・
思い通りの人間を作る？

まさかな・・・

俺はそう思いながらも、目の前の画面に表示された吉川奈緒美とゆう名の人妻のプロフィールにある『性的関心度』を『高』に書き換えた。

次に吉川奈緒美を見れたのは２日後だった。
やはり主婦が洗濯物を干す時間に居合わせるのは　なかなか難しい。
そんな事を思いながら撮影すると、画面には先日と同じプロフィールの下に『備考』が追加されていた。

『昨夜、誘ったのに旦那は応えてくれなかった』

よく見ると欲求不満指数が２４まで上がっていた。
そうか、性的関心度が俺の手で『高』に書き換えられたから、意識がセックスに向いたのか。
だから旦那を求めたのに応えてくれなかった。
なんて良い進行だろうか。
しかし、これで週末にでも旦那が求めてきて欲求不満がゼロにでもなったらたまらない。
そう思って、俺はアプリの『追記』のボタンを押した。

『もう旦那を誘うのはやめよう。求められても絶対に応えてやらない。』

土曜日は朝から裏のマンションを観察し続けた。
昼前にようやく吉川奈緒美がベランダに出てくると、俺はすぐにアプリを起動した。
性的な関心度は高いまま、欲求不満度は３６にまで上がっている。

『昨夜、旦那が求めてきたのに断ってしまった。こんなにシタイのに、どうして断ってしまったのだろう。やっぱり私から誘った方がいいのかもしれない。』

おいおい、どうした？

ダメだよ、自分から誘うなんて・・・

旦那にはもう求めない、求められても断る・・・そう書いておいただろう？

ちゃんと・・・ちゃんと書き換えておかないとな・・・

『昨夜、旦那が求めてきたから断ってやった。こんなにシタイのに、どうして裏のアパートに住む山崎浩二は私を犯してくれないのだろう。やっぱり私から誘った方がいいのかもしれない。』

確定のボタンを押した瞬間、吉川奈緒美の手が止まった。
洗濯物を持ったまま固まっている。
視線はそのままに、裏のアパートの窓から覗いている俺を意識しているのが伝わってくる。

俺は、アプリのルールである『１日に一回だけ』とゆう縛りにモヤモヤしながらも、触らなくても射精してしまいそうなほど興奮していた。

吉川奈緒美が俺を意識し始めてからは簡単だった。
毎日、俺が帰宅するのを待ってから洗濯物を干し始めるようになったから写真なんて取り放題で、毎日のように『書き換え』ができた。
もちろん備考に便利な言葉があれば、それを使って『追記』もする。

毎日のようにアプリを使って新たに分かった事は指数の変化は他の要因の影響が大きいって事だった。
性的関心度みたいに『低』とか書かれている項目は　いきなり『高』に書き換えられる。
しかしアブノーマル度の３のように数値で表されているものは、上げようと書き換えるのは１０までしか無理らしい。
確かにあの日、俺が『旦那から誘われても断る』と書いていなければ、もしも旦那に抱かれていれば、欲求不満度はゼロになっていたかもしれない。
そうやって理解を深めた俺は、アブノーマル度を２３まで上げた後は、他の方法で数値を上げる事にした。

まず最初にしたのは趣味の欄への追記だった。
映画鑑賞とカフェ巡りの後ろに『羞恥露出』を追記した。
すると次の日にはアブノーマル度が４８にまで上がり、備考には嬉しい言葉が並んでいた。

『どうしよう、見られてる。ダメなのにドキドキしてしまう。』

『どうしよう、山崎浩二にもっと恥ずかしい姿を見てほしい。ダメなのにこのままオナニーしたらどう思われるか想像しただけでドキドキしてしまう。』

アブノーマル度６４

『恥ずかしい。また私を見てる。私って変態なのかな。旦那には昨日も断ってしまったのに。』

『恥ずかしいのに感じてしまう。私って変態なんだわ。旦那には絶対に言えないけど山崎浩二にもっと見られたい。』

アブノーマル度７１

『見られたい。私って変態なのかも。』

『山崎浩二様に全部を見られたい。私って山崎浩二様に飼ってもらわなくちゃ生きていけない変態なんだわ。』

アブノーマル度が８０を超えたあたりからは全てが思い通りだった。
より変態なマゾになるように書き換えるネタを自分から提供してくれる。

欲求不満度が７０を超えないのも面白かった。
毎日、いったい何回オナニーしているのか、、、
あんなに清楚で真面目そうな見た目のまま、愛する旦那の求めを断り続けながら醜い中年男の俺の名を呼びながらクリトリスを弄る姿を想像しながら何回も射精した。

ここまできて手を出さないでいるのは、さすがに我ながら情けないとは思う。
しかし、やはり確信が持てないでいた。
そうだろう？
信じられるか？
携帯のアプリで人の意識が変わるなんて。
けれど、とうとうその日はやってくる。

『やっぱりダメよね。旦那は裏切れない。娘を愛してるからしかたないの。耐えなきゃ。ガマンしなきゃ。』

『やっぱり私から誘わなきゃダメよね。旦那なんてどうでもいいけど自分の気持ちは裏切れない。娘を愛してるけどどうしようもないの。耐えられない。もうガマンできない。』

俺の住むボロアパートのチャイムが鳴ったのは、その書き換えから１５分後だった。