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あやめの記憶 ~天空の城~
カテゴリ: 官能小説の館    掲示板名:人妻熟女 官能小説   
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1:あやめの記憶 ~天空の城~
投稿者: ロンド
ロクシタンのグリーンティーのせいだろうか、
複数の背の高い観葉植物が生い茂った南国風の空間に、
和のテイストが仄かに漂う。
5月の澄んだ青空に、一際高く突き出た高層ホテル40階に存在するそのスパは、
六本木の喧騒を無かった事にする程の静寂に包まれている。

利恵(としえ)はここを初めて訪れる。
エレベーターを降りた途端、敷き詰められた大理石ゆえに、
一歩一歩、ゆっくりと、ヒールの刻む足音が高い天井に反響し、
ホールクロックが刻む振り子の音と絶妙なハーモニーを奏でている。
あたかも、これから始まる快楽へのカウントダウンを、自ら演出しているかの如く…

この日のゲストは、後にも先にも、利恵ただ一人。
大型連休を終えたこの時期とあっては、さほど珍しい事ではない。
ただ一つ珍しいのは、このスパのオーナーが、自らゲストを招き入れようとしている事。
普段は顔を見せない彼が、利恵に至高の奉仕をするためにここに存在し、
近づいてくるハーモニーを堪能している。

2人の間にそびえる観葉植物で、お互い姿は見えないものの、
理人(まさと)は確実に、利恵の放つエスティーローダーを嗅ぎ分け、
そして一言、声を発した。

「いらっしゃいませ、水城様」

「お久しぶりです。」
 
2016/05/25 12:06:11(mag76hJF)
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