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2013/11/13 22:47:14 (N7DfPFGm)
バイトの予定が、急遽、変更になったので、倉田さんにメールしてみる。
『バイトの予定、変更になりました。一緒に帰ります?』
『いいよ』
早っ、一分も経たずに倉田さんのメール。
いつものことだけど、倉田さんは、メールの返信が早い。


喫茶室で、ミルクティーを飲んでたら、倉田さんがやってきた。
「お待たせ」
どうして、この人が、僕と付き合う気になったのか、今でも不思議だ。


「急にメールしちゃって、すみません」
「いいの、いいの、それよりバイトどうしちゃったの?」
「シホちゃん、風邪ひいちゃったらしくって、明後日に変えてくれって」
シホちゃんは、僕の教え子で、毎週、数学を教えている。


「へぇ、大変だ。田中くんも気を付けてね」
僕を気遣ってくれる言葉が、嬉しい。


「倉田さんって、メールの返事、早いですよね」
「そうかな、早すぎる?」
「いや、そういうわけじゃないんですけど、いつもメールチェックしてるんですか?」
「ううん、田中くんのだけ」
倉田さんは、そういうと、ぺロっと舌を出して見せた。
「だって、田中くんに心配かけるの、ヤだもん」
倉田さんは、いつだって、こんな感じだ。

お互いに時間割は、完全に把握しているけれど、休講になった時なんかも、倉田さんは、
小まめに、知らせてくれる。
僕が、余計な心配をしないで済むように、いろいろと気を使ってくれる。



ある時、倉田さんちのキッチンで、食事の支度を手伝っていたら、たくさんの紅茶の箱
が並んでいるのに気が付いた。
ダージリン、オレンジペコ、アールグレイ・・・。
「倉田さん、紅茶、好きだったんですか?」
そう尋ねると、
「ううん、私は、もともとコーヒー。でも、カフェティエーラも捨てちゃった」


えっ?つまり、僕と付き合って紅茶派に宗旨替えしたってこと?
それに、カフェティエーラって何? それとも誰?
そう言えば、倉田さんは、いつの間にか煙草も吸わなくなった。小さいころ、僕が小児
ぜんそくだったと言ったからかもしれない。
僕は、全然、平気なのに。煙草を吸う倉田さんは、様になっていて、格好良かったのに。

えっ?えっ?
ツ○ヤで借りてくるDVDが、ホラーとコメディが多いのって、僕のせい?
いつだったか、倉田さんに尋ねたことがあった。

「倉田さんは、どんな音楽が好きなんですか?」
「田中くんとおんなじ」

僕が不思議そうな顔をしていると、倉田さんは、小さな子供に教えるように、

「あのねぇ、女は好きな男の好きなものが、好きになるの。わかりまちたか?」

倉田さん、感激です!一生ついていきます!



上海旅行で、本当の「臭い仲」になってしまった僕と倉田さん。
でも、僕には、まだ、倉田さんにどうしても知られたくない秘密があった。
しかし、その全てが明るみに出る時がやってきた。

上海からの帰り、銀翼に揺られる中、予兆はもう始まっていた。
あの悪夢のような、否、悪夢そのものの、屋台の洗礼が、僕の身体を確実に蝕んでいた。


「あー、これは、もう、切らないとダメですねぇ」
軽い感じで、医者が言う。
『え゛―っ! 僕にも、心の準備ってものが必要なんですけど・・・。』
そんな風に思いながらも、ささやかな抵抗を試みる。
「薬で何とかならないですかね?」
「でも、相当、痛むでしょう? 辛いものでも食べて、ひどい下痢、しました? 完治す
るには、切るしかないですねぇ」
「・・・」

あっと言う間に手術の日程が決まり、僕は入院することになった。

「もしもし、倉田さん? 僕、ちょっと、手術が必要になっちゃいまして・・・」
「あ、いや、大したことないですから・・・」
「え? お見舞い? いえ、いえ、ホントに大したことないですから・・・、え? その、
何って・・・」
「えっと・・・、も、盲腸です・・・、はい」

やっとの思いで凌いだ、と思い込んでいた僕が甘かった。倉田探偵を侮ってはいけない。
どうやって、探り当てたのかわからないけれど、手術の翌日、倉田さんは入院先を突き止
めて、見舞いにやってきた。

そして、ベッドでうつ伏せになっている僕を見た瞬間、倉田さんは全てを理解した。

懸命に笑いを堪えながら、
「ふぅん、盲腸ねぇ。田中くんの盲腸って、お尻についてたんだぁ」
そう言って、シーツの上から、僕の臀部をつんつんと軽くつついた。

倉田さんには、絶対に知られたくなかった僕の秘密。僕は、恥ずかしさで真っ赤になって、
枕に顔をうずめると、倉田さんは、後ろから僕の肩をそっと抱いて、
「田中くん、私が知らないとでも思ってた? 私、田中くんのパンツ洗ってるんだよ」
そう言うと、僕の耳元で、チュッという音がした。


退院した後、初めてのセックスは凄かった。
倉田さんが、愛おしくて、愛おしくて、僕はツキまくった(お尻はまだ、ちょっと痛かった
けど、性欲が勝った・・・)。
倉田さんも『禁断症状に、狂いそうだった』と言って、存分に応えてくれた。


抱き合って、眠りに落ちる寸前、
「痛いのが、前じゃなくて、うしろでよかった・・・」
そう囁くと、倉田さんは、スースーと寝息を立て始めた。

好きだけど、時々、ちょっとコワい。
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5
投稿者:レオ
2013/11/16 00:20:09    (i6QmOv20)
いいな~

倉田さんの様な人欲し~い
4
投稿者:(無名)
2013/11/14 07:14:54    (yiNHZ.xj)
シリーズを通して色々と矛盾点が出てきたな
デビューできない自称小説家の原稿だと思って楽しませてもらってるよ(編集作業的な意味で)
3
投稿者:enzzob   enzzob
2013/11/14 00:25:37    (R56AxTtG)
田中君お帰り。君の奥さんすげえなあと感心する。うちの奥さんに読ませたいよ。本当。
2
投稿者:(無名)
2013/11/13 23:32:36    (3fI8WngP)
いつ読んでも毎回ぐっときます。
青春時代の回顧のみならず、現在の、そして、未来の二人が、幸せになっていてほしい、との強い願いを抱かせる何かを感じます。
裏切らないでくださいね。
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