私の妄想は現実へと近づいていました。
私は成すすべもなくドラレコから送られてくる映像を
見守るだけでした。嫁の胸を他人に見られ、更に触られて
いる現実を受け入れるしかありませんでした。
その光景を見て興奮する私と、これ以上は何も起こらないでくれ
という思いが私の鼓動を大きくさせました。
嫁は携帯を助手席に置きました。そして男の手を掴みました。
「源さん。本当に今日は、これ以上無理だよ。お願いだから帰ろ。」
嫁は、バックミラー越しに男を見ながら説得しました。
男は静かに車から降りていきました。嫁も身なりを整えると
ゆっくりと、車を発進させました。
私はドラレコの映像を再生してもう一度確認しました。
嫁からもラインが届きましたが、見るのをやめました。
そして翌朝になりラインを確認しました。
「戻ったから。」 私もラインを見なかったので少しして
「もしかして寝た?おやすみなさい。」と通知がきていました。
私も嘘を付「おはよう。寝てしまった。」と返事を返しました。
その後、嫁からラインが来たのは昼も過ぎてでした。
そこには「今日だけど、源さんの都合が悪くなったから中止に
なりました。」と書かれていました。
「そうなのか。残念だね。」簡単な返事を返しました。
嫁との会話もそれだけでした。私は胸騒ぎを感じました。
もしかして、中止というのは嘘?本当は行くのでは?
私は車に乗り込み家まで向かいました。家の近くまで着いたのは
まだ早い時間でした。ばれない様に車の確認をしました。
そして、隠れて家の路地から嫁が出てこないか見張りました。
中止という話が嘘なら、そろそろ出て来てもおかしくない
時間になってきました。見張り続けて、約束の時間も過ぎていました。
路地から出てくる様子もありませんでした。私は少し勇気を出して
家が見える場所まで向かいました。外は暗くなっており部屋に
明かりが点いているのが確認できました。本当に中止と言うか
行くのを辞めたのだと思いました。物思いに更けながら単身先に
車を走らせました。1時間は走ったと思います。
途中のコンビニに立ち寄り、それとなく嫁にラインをしました。
「おつかれさん。今日は残念だったな。」
「おつかれさま。仕方ないよ。」
「行きたかったんだろ?」
「行きたかったって程じゃないよ。」
「本当か?むこうは残念がっているんじゃないのか?」
「どうだろ?」
「それで、次の予定は決まったのか?」
「まだ何も話してないです。」
私は、なんとかして男と飲みに行くように仕向ける
話しを嫁に続けました。ラインでのやり取りを繰り返し
そして私は
「ところで、急用だって言ってたけど、もう用事も
終わってるんじゃないのか?」
「どうかな?終わっていたって今日は、今から急に行くのは
無理だと思うよ。」
「一度、連絡ぐらいしてあげれば?」
「考えてみる。」
私は、そう促した後、再び車を走らせました。
ようやく単身先にも着きました。高速を利用しなかったので
到着したのはもう23時前でした。その間、嫁からも
ラインなどの連絡はありませんでした。
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