<<最後のH>>
俺「離婚の話だけどさ、もうチエミの意思が変わらないっていうなら、もう受理するしかないやん?それは分かってるんだけど、ただ1コ。1コだけ条件があるんよ」
チエミ「条件?こっちは特に慰謝料とか請求しないよ?」
男「金の話じゃないんだけど、、つーか、この会話録音されてる?」
チエミ「されてないと思うけど」
俺「確認してみて。録音されてるかどうか」
チエミ「ちょっと待ってて」
・・・
・・・
・・・
チエミ「録音されてないって」
俺「分かった。じゃ、録音されてないということ前提で話すわ。つまり、俺が今から話すことは後から何を言っても無効ね?」
チエミ「うん。分かったけど、条件って?」
俺「俺らさ、なんだかんだ今まで喧嘩しても最後は仲直りのHで乗り越えてきた感あるやろ?だから、今回も最後に1回だけ、、、Hをしたいんよ。それでもチエミの考えが変わらないっていう事ならば俺は潔く離婚届にサインするけど、どう??」
チエミ「それは〜〜無理やなぁ、、、
俺「何でなん?」
チエミ「Hするって気持ちの問題やろ?夫婦関係の時はその気持ちがあったけど、今はもうそれはないからさ・・・わかってよ」
俺「チエミの気持ちもわかるけど、俺の最後のたった1コの条件であるというのもわかってよ。だってな、俺らがずるずるここまで結婚生活を続けてたのも、何でも仲直りHをして問題を先送りにしてきたからなんやで?これに関してはチエミにも責任あるんちゃうん?だから、あえて俺は、、い・と・て・き・に・・!最後のHしよう。って言ってんねん。それでも気持ちが変わらんっていうならサインするやん」
チエミ「うーん・・・」
(少し揺さぶってみた)
俺「それに、離婚するってなったら離婚届だけやなくて、俺の携帯に残ってる今までのハメ撮りとかも消す必要あると思うねんけどな。このままやったら俺はずっとチエミへの未練からハメ撮り動画とか所持することなるで?それはチエミとしても問題あるんちゃうん?最後の一回で終わりにしようや」
チエミ「今までのデータも削除するってこと?」
俺「そやで。サインもする。で目の前でデータも消す。約束する」
チエミ「じゃぁ・・・今度、また代理人の人と荷物取りに行こうと思うねん。その時・・ちょっとだけ代理人さんに1時間でええかな。外で待ってもらって、その間に済ませよか・・・。絶対最後やで・・?」
俺「わかってる。約束は守る」
・・・この後にも会話はあるが、今はあえて割愛する(後述する予定だ)
こうして、俺とチエミは最後のHの約束をこじつけた。そしてチエミはどうだか知らないが、俺は・・・当然ながら録音していた。
また、なぜ俺がこうして録音したり、交渉したりしようとしたのか、それには理由があった。この頃から、俺はあの代理人を、以前にチエミが言っていた「司法予備試験」を受けるという青年。じゃないかと疑い始めたんだ。
<<邪推>>
理由はまず①声の年齢が若い ②法律に詳しい ③弁護士ではない(弁護士なら名乗るはずだ) ④警察でもない(警察は不当捜査ができない。身分を明かす必要がある) ⑤行政でもない(行政ならナントカ支援センターです、とか名乗るはず ⑥チエミと代理人との立場が近く対等に見える
そして俺は恐ろしいことを考えてしまっていた。
あの時、チエミがノーパンだった日が司法青年と最初の出会いであるのは間違いない。それはチエミの口から何度も聞いている。飲み会の場に、司法試験を受けようとしている賢い子がいた。と。
そしてその時をきっかけにチエミとの交際、要するに不倫が始まり、今となって代理人として登場したと仮定するなら、急にセックスレスになったり、今現在に起きている騒動が全て腑に落ちる展開になってくるのだ。
明らかに、今回の騒動はチエミ一人の判断でことが動いていないのは明らか。確実に裏でチエミに知恵を貸している奴はいるはずなんだ。
あの日、俺を意図的に挑発し、(書いてはいないが喧嘩の時、俺はチエミにかなり挑発された)俺を激怒させる。何も知らない俺は酒の勢いでチエミに怒号を浴びせる、その光景を全て録音などをされている。(警察が、割と具体的に夫婦喧嘩の内容を知っている素振りだった)
警察を利用してのDV立証、そして離婚。この流れを示唆している可能性として最も高いのが、司法予備試験を受けるという青年野郎なのだが、しかし証拠はなかった。
代理人が本当に青年野郎なのか・・それを確かめる方法はあるのか・・・。
<<悪魔から知恵を借りる>>
俺「じゃ、代理人さんに次回の荷物受け渡しの時に一緒に来て、って俺の口から言うわ。電話変わって」
チエミ「わかった」
俺「あ、もしもし、次回ですね荷物の2回目の受け渡しの時なんですけど、一応その時にサインしようかなって前提で話進めてます。それで、最後っていうのもあるんで腹割ってじゃないですけどチエミとしっかり話だけはさせて欲しいんですよ。でも、今までのパターンだと二人っきりはダメとか言いますよね?なので俺の携帯と代理人さんの携帯をラインでも何でもいいんですけど通話状態にして代理人さんはそれを聞きながら外で待ってもらうっていうのはどうですか?もし俺がなんか悪意があるならすぐ部屋に飛び込んでもらえるしカギもかけたりはしませんので。あ、ただチエミには録音してること言わないで欲しいんですよ。録音されてたら腹割っての意味ないでしょ?どうですか?あと、チエミが助けを呼ぶとか、そんな事態になれば別ですけど、まーなりませんけどw、許可なく入らないでくださいね。」
代理人「わかりました。その時サインしていただけるんですね、、わ・・・かりました。じゃご主人おっしゃる通り録音だけでも聞かせてもらえれば助かります。まぁ何か事件が起きるとかそんなことはこっちも思ってませんし、そこはご主人を信用してますので、ですが一応っていうことでご理解いただけるなら助かります。ではいつにしましょうかね?お伺いするのは?」
俺「俺はいつでもいいですよ。1日前に言ってくれたら有給取れますんで。というか、几帳面ですよね代理人さん。A型かなこれは笑」
代理人「・・w 私もA型ですけど血液と性格は関連性が立証されてないでしょう?w」
といった具合に、、、代理人がやたらと安心してるというか、やっとかと安堵してるというか、なんでお前がここまで他人の離婚騒動に感情移入してんの??って怪訝に思うくらい代理人は当初の堅苦しい姿勢を崩していた。
そして代理人は「個人情報もあるので」と言いながら、なんか「ウィーチャット」という中国のSNSアプリを俺に紹介してきた。要するにラインの中国版みたいなもんだ。そのアプリの中の友達検索みたいな画面で「中野春樹」と検索すれば自分が出てくると。そこで友達申請し一時的に連絡を取り合える状態にし、あとはラインと同じ。電話機能で通話しながら荷物受け取り作業、そして・・・最後の腹割っての話。をすればいいとのことだった。
<<作戦開始>>
俺はその日、14時に代理人、そしてチエミがくるのを家の下で待っていた。チエミにはブラックコーヒー、代理人には微糖コーヒーを持参し、とりあえず最初は代理人にも一緒に上がってもらい、缶コーヒーを飲んで世間話をすることから始めた。代理人はやはり俺の予想通り年齢は20代中盤、顔は俺なんかより遥かに知的で男前。グレーの当たり障りのないスーツを来ていたが、弁護士バッジみたいなものは何もつけてはいなかった。
缶コーヒーを飲み終わり、一通りの話が終わると代理人は「じゃ、ここに書類おいときますので。1時間ですかね?また連絡ください。」と言って去っていった。
俺は久しぶりにみるチエミに「1時間とか限定されるって、何で自分の嫁と会うのにキャバクラみたいに時間制限されなあかんねん笑」とか冗談を言って見せた。
チエミ「とりあえず書類は書けるとこは書いてるんやけど、先に荷物先もらっていくわ。」
俺「荷物って言っても全部はもたれへんやろ?どうするん?」
チエミ「残りについては落ち着いたら連絡するわ。全部捨てて、っていうかも知らんし、あるいは実家に送ってもらうかもしれへんし、今はそこまで頭回らん笑」
こんな会話を重ねていた。もちろん、登場シーンから全て代理人との間は通話状態になっている。そして俺の携帯電話は俺の胸ポケットに入っている。
それから俺は飲み終えたコーヒー缶を「丁重に」片付け、、俺は口を開いていった。
俺「じゃ、 始めよかw」
チエミ「うん。。最後やで?」
俺「わかってる」
それから俺たちは代理人からすれば、無言になったと思う。いや、無言であると同時にガサガサと服の繊維が擦れ合う音くらいはしていたかもしれない。俺はこの代理人が
「(チエミとの再婚を前提をした浮気相手なら、どこまでこの状況に耐えれるか?」
を試すために、あえてそんな代理人からすれ「え???」となる状況を作り出していった。
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