本当に景子さんの携帯に着信音が鳴りました。
携帯を取りスピーカーモードに切り替えてくれました。
こちらの声と音が漏れない様に気を配り耳を凝らしました。
間違いなく真由美ちゃんの声が聞こえてきました。
「健さんどうしよう?母さんに怒られるよ。」
一番に、その言葉が聞こえてきました。それでもまだ既読に
ならない私のメールでした。
「2人の秘密にすればいいよ。真由美さんは約束守れる?」
2人の秘密?今、どこまで進んでるんだ?
「約束は守れる。」
私と景子さん。それぞれが思ったはずです。
そもそも秘密な事でも無い。ただ、景子さん達と違うのは
私は真由美ちゃんに嘘をつかれている事です。
私も仕向けて、真由美ちゃんも分かった上で行っているのに
現実の事を私には何も連絡してこない。
私は紙とペンを準備しました。
「景子さん。このまま本当にそうなってもいいの?」
「いいです。」
「このまま、電話で話を聞きます?」
「もう少し聞きます。」
「分かりました。」
「大家さんこそ、本当にいいのですか?」
いいです。」
「大家さん。試しに真由美に電話鳴らしてみて。」
「今ですか?」
「電話に出るか確認してみて。」
「電話に出たら何って話をするんですか?」
「正直に聞いて良いと思う。真由美が何て言うかは別だけど。」
私は勇気を持って電話を掛けようとしましが、かける寸前に
気付きました。向こうに着信音んがなったら景子さんの携帯からも
音が伝わる。危ないとこでした。
私は家の外に出て電話をかけました。何度呼び出し音が鳴っても
電話には出ませんでした。部屋に戻り景子さんに確認すると
真由美ちゃんの携帯の着信音が聞こえたと言われました。
それにしても、実の娘の失態を再婚相手だとはいえ、男に差し出した
時の声を聞けるものなのか?と思いました。その思いは正しかった。
景子さんは一旦電話を切ったかと思うと、景子さんから電話を掛け
直しました。数回呼び出しをしたでしょう。ご主人は電話に出ました。
「遅くにごめんね。明日帰るからね。またメールするから。」
何でもない言葉で終わらせました。そしてメールを直ぐに
送りました。「やっぱり今日はやめて。」そして、私にも
「大家さん。ごめんなさい。やっぱり無理だった。」
私は後先を考えずに行動に移っていました。
「景子さん。今から行って来ます。」
「どこに?」
「景子さんの家です。」
「飲んでるから車は。」
「タクシーを呼びます。」
「けど、今から行っても1時間は先の事だよ。」
「その間、ご主人と何でもいいから電話なりメールなりで
時間稼ぎしてくれますか?私もついたらメールします。」
とにかく行動に移しました。結局、家に着いた時には
深夜1時を過ぎてました。直ぐに景子さんにメールをしました。
数分前まで何とか話はしていたと返事をもらいました。
急いで、家までの階段を上がりました。
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