当日は19時に待ち合わせた。
19時まで仕事なのにと思ったが、午後は休んで着替えて来ると言う。
待ち合わせの場所で待っていた俺は、向こうから歩いてくる女を見て
「ええ女やなぁ~あんな女を抱きたいなぁ~」
って思って見てたが
俺の前で立ち止まって右手を肘から上げて
「久しぶり!」
とニッコリ笑うのだ
20年ぶりの美希には驚いた。
同じ歳なのに30代にしか見えない・・・
中年太りなんか微塵もなく雰囲気は井川遥っぽい
ベージュのタイトスカートに水色のニットにグレーの上着に明るい色のストールがよく似合う
佳子が撮った写真を遠藤は見ているが 俺は最近の遠藤の写真は見てない
「え?・・・遠藤?」
「うん!」
「マジかぁ・・・全然歳くってないやん! ビックリしたぁ~~!」
「えぇぇ~~そんな事ないよぉ~ でも、嬉しっ 原田君も素敵よ!」
と言って腕を組んできた・・・
悪い気はしない
というか、もう一瞬でメロメロ撃沈だ
予約した店に入ったらキョロキョロして
「うわぁ~なんかこんなトコ来んの久しぶりぃ~~」
と喜んでいる。
スモークの店なのでワインで乾杯して
お互いの近況を話した。
美希は15年ぐらい前に川崎でマンションを買い
銀行員の旦那の単身赴任は5年目だそうだ。
医療事務の資格を持っていたので下の子が中学生になってアルバイトをしている。
こちらにはあまり友達が居るわけでもなく
娘と出かける以外は食べ盛りの男の子の為に家事をこなしていると言う。
「いや・・・でも、遠藤ってなんでこんなに若くて綺麗なん?」
「うふっ・・そんな事言ってくれるのは嬉しいけど・・・逃した魚は大きかったって思ってる?」
「いやぁ~仲田にも言われたけど、振ってへんで・・・ってかなんでそんな事になるん?」
「卒業の時の飲み会で私言ったよね?「好き」って・・・」
「えっ?・・・あれは・・・クラスメイトとしての「好き」ちゃうん?」
「クラスメイトとしての「好き」ってなんなん?・・・あの時はぐらかされたから振られたって思っとったんやけど・・・違うん?」
「だって、高校生が酒量もわからずに酔っ払ってカオス状態になった みんなの前であんな軽い「好き」って・・・」
「軽くないで!佳子も知ってるけどあの日を逃したらそれっきりになるから頑張ったんやで!だからお酒の力を借りて言ったんやんかぁ~!」
「でもな・・・俺は・・1年の時に遠藤を初めて見た時に一目惚れして・・・サッカー部の奴らはみんな知ってるで・・・」
「うそ・・・私も・・・最初の日にプリントかなんかを取りに行って席に着く時に原田君と目が合って・・・その時」
「そうそう!俺もその時! えぇぇ~~!ウソみたいな話やなぁ~」
「えぇぇ~~ なんで? そのあと3年間もあったのに・・・付き合うチャンスはあったんちゃう? しかも・・卒業の時にはぐらかして・・・」
「まぁ・・・恥ずかしい話やけど・・・あの頃は童貞やったしな・・・好きな子にどう接したら良いのかわからんかってんやろな・・・」
「最悪やわ・・・私の高校3年間 返して欲しいわ・・・」
「じゃあ 今から返していこか?笑」
「えっ・・・ホンマに・・・?」
「ホンマ ホンマ 笑」
「なんか軽いなぁ~~さんまちゃんみたいやん」
そんな話をしながら あっという間に21時を過ぎてラストオーダーとなった・・・
「どうする?もう一軒行く?」
「原田君は帰らなあかんの?」
「いや・・・まだ時間あるよ」
「なんかすごく楽しい・・・ずっとこの時間が続けばイイのに・・・」
「俺も そう思う・・・」
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