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2020/03/28 00:33:57 (vfJw9GHd)
桜の花の芽吹く頃、出会いと別れの季節が始まる。

彼女と出会ったのは何年前のことだろう。

車で出勤途中、いつもの通勤経路の途中にある保育園に子供を預けにいく。

いつもの朝、いつもの時間、自転車の前後ろに二人の子供を乗せて保育園に預

けに来る母親がいた。

バイタリティーに溢れた彼女の姿が、逞しくも滑稽にも見えた。

飾り気のない小麦色に焼けた肌にいつしか、生きるエネルギーを感じていた。

仕事に悩んで心がが凹んだとき、毎朝の彼女の姿がいつしか励みになっていた。

知らぬ間に彼女に、頑張れと無言の応援歌を送っていた。

そんなある日、子供の参観日に挨拶をする機会があった。

驚くことに彼女も、私の朝の子供を預ける姿を見ていたようだった。

それがきっかけに、毎朝同じ時間に同じように、挨拶を交わすようになった。

いつもの朝、いつもの時間に子供を保育園に子供を預けにいっていた。

小雨が降りだす道すがら、いつものように彼女の自転車を見かけた。

なぜか、いつもの一心不乱な様子とは、どこか違って苦しそうだ。

よく見ると自転車が、極端に左右に揺れている。

自転車の調子が悪くて、いつものようにスピードが出ないようだ。

車を止め、彼女の来るのを待った。

雨に濡れた心細そうな彼女の顔が、何故か切なく、愛おしく思えた。

思った通り、自転車の後輪のパンクだった。

時間のないことを理由に、自転車はいったん駐輪場に止めて、彼女と子供を車

に乗せた。

保育園には何とか間に合った。

雨は降は降り続け、自転車はパンクして乗れない。

遠慮する彼女を、とりあえず車で職場まで送ることにした。

いつもは子供を保育園に預けて、そのままコンビニへ出勤しているとのこと。

働いているコンビニから保育園まで、車で5分ほどの距離だった。

お互いの自己紹介から、色々な情報を聞き出すことが出来た。

彼女の喋り方は魅力があった。

九州の南の方のイントネーションに、独特の優しがこめられていた。

気づかないまま、幼児期に経験したなつかしさが蘇ってくるようだった。

それから、何事もなくありきたりの日々が続いていた。

いつもの時間に、彼女の幼稚園の送り迎えそしてお互いへの朝の挨拶。

ある時、彼女の働くコンビニの近くを車で通ると偶然に彼女の姿を見かけた。

声をかける私の姿に、驚いたように振り向く彼女の笑顔はきれいだった。

この胸のときめきは、遠く忘れていた青春時代の甘酸っぱい息苦しさだった。

用もないのに立ち寄るコンビニ、必要のない物を買い求める私。

ある日、レジで支払うお金と一緒に、一片の紙切れを手渡した。

私の思いの丈を一行の文に書き染、紙片の隅に携帯の番号を記入していた。

レジで交わす進展のない、ありきたりの言葉に虚しさだけが残った。

やがて彼女に会う日のときめきよりも、後悔と苦しさだけが増していった。

ある日の午後休み時間が過ぎたとき、携帯のベルが鳴った。

聞き覚えのある女性の声だった。

思わず聞き入るその声に戸惑い、心が喜びに弾んだ。

私の思いには答えられないと、当然の答えだった。

他意がないことを伝え、一人の友達として付き合って欲しいとお願いした。

とりあえずメールだけならと、許可をもらうことが出来た。

季節の移り変わりなど、日常の他愛のない出来事のメールの交換が始まった。

律儀に、メールの返事は返ってきた。

差し障りのないメールの中に、彼女の性格と趣味趣向が見えてきた。

育児、食べ物、旅行の話題に興味を示した。

少しづつ打ち解けてくるメールから、時には電話で話すこともあった。

メールでは決して味わえない、優しさの魅力が私の心をときめかした。

ある時、彼女がコンビニで働く事情を質問したことがあった。

今の彼女にとって仕事は、経済的理由ではなく、生きがいを求める為でもなく、

また暇を待て余しての仕事でもなかった。

そこには夫婦間に関わる重要な理由が隠されていた。

それを知ったのは、まだ先の事だった。

ここ1カ月余りの短い期間にも、彼女の性格の良さが浮き彫りになってくる。

ますますどうしようなく好きになる自分がいた。

ある日のメールに、話題にしていた食事と店を書いて誘ってみた。

二人の子供を抱える主婦にとって、時間を作ることは至難のことだった。

自由な時間は、仕事が終わる午後の2時から4時までの時間しかなかった。

自由な2時間も仕事のシフトにより曜日が限られていた。

好きな店で好きな食事をするほどの親しさはなかった。

当然の如く、断りのメールが送られてきた。

そこには誘ってくれたお礼の言葉と、おことわりの理由が書かれていた。

また機会があったら懲りずにお誘いくださいと、彼女なりの心遣いの言葉が

添えられていた。

私の心の中で引き返せないときめきと、さざなみが揺れ動いていた。

気がつくと、彼女の働くコンビニの駐車場にいた。

仕事を終えた彼女を、偶然を装い声をかけた。

私の思い込んだ様子に驚きながらも、車の助手席に乗り込んでくれた。

人目を気にする彼女を気遣い、非礼を詫びて少し車を走らせた。

限られた時間と職場を気にする彼女を、強引に喫茶店に誘った。

コーヒーを飲みながら、メールで送った内容に重ねて自分の思いを告白した。

その後数回、決まった限られた時間に同じ場所でデートを重ねた。

話題は、育児、仕事、食事、旅行と同じ変わり映えのしない話だった。

たまには冗談半分で、下ネタを交えた話が出来るようになっていた。

少しずつ打ち解けて、笑顔の数が増える彼女に心が弾んだ。

つい調子に乗って、彼女に対する自分の思いを告白することもあった。

戸惑いながらも無視する彼女の仕草が、女性らしさを引き立たせた。

不意に、彼女が働く理由を話してくれた。

突き詰めると、ご主人の女性問題だった。

仕事をする理由は、夫婦間の我慢ならない事実からの心の逃避の為だった。

経済的に恵まれた生活ゆえの、家庭を顧みない男の身勝手な行動だった。

心が傷つき、精神科への通院を余儀なくされたこともあったと聞いた。

彼女の話に、どうしょうもないむなしさと悲しさを感じてしまう。

私自身も、日常のなれあいの生活にどっぷりと浸かり生きる術を失っていた。

無意識にも私が求めていたものは、彼女からの安らぎだと気づかされた。

沈黙の中に見る彼女の表情には、抗しきれない心の葛藤が見られた。

時折見せる誘うような眼差しが、二人の行く先を導いているよう思えた。


それは、彼女の仕事の休みの日だった。

昼食お済ませた午後のひと時だった。

自分の勝手な思いが、彼女を不愉快にしたお詫び事のつもりで電話をした。

思いがけない返事が返ってきた。

正直、私のような女をそんなに思ってくれた人がいたことを嬉しく思った。

あの夜、忘れ去っていたときめきが躰を熱くし眠れない夜になったと。

時間があれば、会ってもっとお話をしたいとお誘いの言葉が返ってきた。

正直、心は舞い上がっていた。

気が付くと彼女の家の前にいた。

玄関のチャイムを鳴らす手が震えた。

驚きの声と同時に、子供たちと蔓延の微笑みで迎えてくれた。

コンビニで買ったお土産が功を奏したのか、子供たちは歓迎してくれた。

リビングのソファーで飲むコーヒは、私に久々のくつろぎを与えてくれた。

彼女の熱いまなざしが、私に語りかけてくる。

手を差し伸べる彼女の手に導かれるように、2階の寝室に案内された。

後ろ手で部屋の鍵をかける仕草が、これからの二人の行為を物語っていた。

子供たちが遊んでいる声を聴きながらも、理性がどこかへ飛び去ってしまった。

高ぶる心になすすべもなく、二人は抱き合った。

恥じらいを見せながら見つめる瞳のいじらしさが、体の震えとなって全身に伝

わってくる。

ベットに倒れこむ彼女のスカートから伸びた豊満な太ももが興奮を誘う。

スカートの中の薄いショーツまさぐると、手のひらに温かさが伝わってくる。

驚くことに情熱のしるしが、股まで伝わっていた。

剥き出しになった下半身に、ためらうことなく重ねていった。

長い間この機会を待ち望んでいたことは、二人の求める姿が表していた。

お互いの行為への気遣いと、躰の素晴らしさを切なげな言葉と吐息が表した。

高揚した心に躰が終焉を迎えようとするとき、外で子供の泣き声がした。

「おかあさん~ おかあさん~ 敬ちゃんが泣いているよ~」

寝室部屋のドアをたたいて、必死に母親を呼ぶ声がした。

今、二人はまさに終焉を迎えるときだった。

離れようとする私の体を、ホールドする彼女の両手、両足に驚かされた。

子供の声を無視して、狂ったように腰を振り乱し歓喜の声を上げる彼女、

余りの快感に目を大きく見開いたまま、鳴き声に近い声を上げて喘ぐ彼女。

私の突き上げる体の動きに応じながら、一緒に逝くことを要求してくる。

幾度も確認したが、彼女の中で終わって欲しいと何度も懇願してきた。

最後は私の精液の放出を確かめるかのように、下半身を脈動させていた。

「熱い・・・」

細い糸を引くような声と共に、二人の体は溶け合った。

抑えきれない肉体の震えは、最高に満たされた安らぎの証なのだろうか。

ベットにたたずむ彼女に、手を差し伸べて抱きしめてやった。

彼女の火照っ顔とうなじの汗が、行為の記憶を呼び覚ます。

時折、吐息と共に震えが甦る。

私は子供たちに気づかれないように裏口から出ていった。

その後、機会があればいろんな場所で逢瀬を重ねていった。

いつも障害になったのは、お互いの子供たちだった。

ある時は、遊園地に連れていって遊ばせているすきに、車の中で行為に及ぶ

こともあった。

お互い仕事と偽って、子供を預けて日替わり温泉に行くこともあった。


別れの時は意外と早く訪れた。

わずか一年の付き合いだった。

出会いと別れは背中合わせ、つかの間の出会いだった。

ご主人の転勤により、この地を離れることになった。

知り尽くしたお互いの心と体は、常に至福の喜びを与えてくれた。

不貞行為が、二人の生活に張りと活力になっていたのは事実であった。

夫婦間では言えないことも、出来ないことも、二人の間では素直に出来た。

二人にとっての不倫には、幾つかの守るべき暗黙の約束があった。

それを実行出来たことが、結果的にはウインウインの関係で終わったと思う。

遠く離れても、又、二人にとって何処かで同じような出会いがあると思う。

住み馴れたこの地を離れる前夜に、彼女から最後の別れの電話がかかってきた。

彼女の抑えきれない心の叫びは、すすり泣きにかわっていった。

彼女への感謝と愛おしさに、涙が溢れてきていた。

これ以上進めない自分の臆病さが、悲しくも悔しかった。

すれ違う二人の時の流れを恨みながらも、こうなった責任を心から誤った。

季節は廻り、今年もまた、桜の季節が始まろうとしている。






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投稿者:(無名)
2020/03/28 05:25:39    (HYritYT2)
肉体関係は無かったのでしょうか?でも詩を読んでいるようで清々しい気持ちです。
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