2016/08/23 11:31:34
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その子はペコンと頭を下げてから言いました。
「晶子と申します。年は12才です。守男さん、よろしくお願いいたします」
きちんと練習してきました、みたいな感じ、もう私を除くところで、話しは決まっている、そうわかりました。
晶子のお母さんは、深々と頭を下げ、私の母は変わらず、緊張の面もちでした。
私は思わず、晶子に言葉を掛けました。
「許婚って、どうゆうことかわかるの?」
晶子ははっきりした口調で答えました。
「守男さんのお嫁さんになる、そうお母さんから教わりました」
良いも悪いもなく、外堀内堀まで埋められた感じの私は、わかりましたとしか言えません。
「よろしくお願いします」
深々と頭を下げる母娘、私はそれを見て複雑な気持ち、両親は安堵みたいな顔をしてました。
父は家を少し直し、そこに晶子母娘が住みました。
奇妙な五人での生活が始まりました。
晶子は母の手伝いをこまめにして、母も晶子を可愛がってました。
私が中学三年になる、晶子も同じ中学の一年に入学しました。
一緒に通学するのが恥ずかしくて、私は晶子に一緒に通学はしないと言ってあり、晶子はそれに従ってくれました。
でもすぐバレてしまいました。
友達が私の家に晶子が入って行くのを見て、晶子に聞いたらしいのです。
事を知った友達が、私のとこに走ってきました。
「一年の晶子って、お前の許婚なんだって?」
教室内が大騒ぎになりました。
私は答えました。
「一応は。でもだからと言って必ずそうなるとはわからないよ」
私は晶子に少し怒りを感じました。
何故しゃべったんだ。
私は帰宅後、晶子に詰め寄りました。
晶子は何故怒ってるのか、みたいな感じでした。
「いけませんでした?だって許婚ですから」
淡々とした様子の晶子に、何故か湧いた怒りはすっと落ち着いてました。
物事に動じない、家事もそつなく手伝う晶子に、女の一面を見た感じがしました。
晶子は私をどう見てるのか、それが知りたくなりました。
地元の公立高校に無事、入学しました。
晶子は中学二年に、体は女性らしく成長してました。
そこで私は晶子に、前思ったことを聞いたんです。
「お父さん(私の父)から、ぶっきらぼうだが真面目だと守男さんのことは聞いてました。その通りだなと思いました。でも最近わかったのは守男さんが、気配り出来る優しい人だとわかりました」
そしてこう続けました。