2015/02/06 11:10:17
(NQrxJRa0)
二月、双方の親兄弟に挨拶し、妻は住んでいたマンションを更新しないことを不動産屋に通達。
契約が切れる三月末のはるか前の、三月第一週には引っ越し、引き渡し準備が完了した。
四月の俺の誕生日に籍を入れ、会社に扶養手続き。
そのとき、上司に呼ばれた。
会社には結婚休暇制度があった。
結婚式の前日、当日、翌日の三日間と、旅行等の七日間、計十日間休めると。
俺は式も挙げないし、旅行の予定もなかったので、辞退を申し出た。
「七日間の方なら、いつでも取れる。奥さんと相談してからにしたら」
そう言われ、それに従った。
妻はその時点で、パートの仕事についていた。
俺は妻に、その七日間休暇のことを話した。
すると妻。
「私、東京に行ってみたいな」
俺だって東京、数回行ったことあるのに、妻は一度もないと言われ、驚いた。
「じゃあ行くか」
「うん」
GWは込むし、すでに間近だったので、五月半ばに俺は休暇を申請、妻もパート先に、四日だけ休みをもらえ、二泊三日の予定をたてた。
スカイツリー、東京タワー、浅草、上野界隈、銀座、お台場、ちょっと足のばし横浜方面も。
新幹線、ホテルも予約し、ちょっとした新婚旅行となった。
妻は子供のように、はしゃぎ回った。
渋谷のギャル見ては口をあんぐり、銀座のセレブっぽい女性見てもあんぐり。
田舎者丸出し。
高いとこ苦手な私を気遣い、スカイツリーと東京タワーは、近くで見ただけ。
でも妻は感激していた。
ホテルは少し奮発した。
予算と熟年夫婦旅行を話し、あとはお任せしますとお願いしたホテル。
シックな装いの部屋に、大人四人は寝れるだろうのデカいベッド。
「こんなとことったの~」
目を丸くする妻。
予感と旅行内容を話し、お任せをした俺だって予想外だった。
しかもルームサービスのディナーまでついていた。
ホテルの人が料理を運び、内容を説明するも、緊張で耳に入らない俺達。
ワインも告がれ、とりあえずディナー。
緊張で味もわからない。
用があったらフロントに電話して下さいと、ホテルの人が去って、やや緊張が取れた。
東京の夜景がキラキラしていた。
「こんな日が来るとは、去年の今頃、全然思っていなかった」
「俺も」
入浴を済ませ、妻を飲み直しにバーラウンジに誘おうと思うと、妻はベッドでスースー寝ていた。
早朝から新幹線乗るために起き、都内見学に歩き回って、かなり疲れたのだろう。