2012/07/19 12:32:53
(abc8GrEX)
ある日、僕は営業所で残業をしていました。
営業所には山田所長、一番ベテランの門倉さん、所長の腰巾着的な五十嵐さん、そして、僕に一番歳が近い堤さんがいました。
美代子は基本定時をメドに帰ることが多いので、その時ももう帰っていませんでした。
美代子は職場では「ミヨリン」と呼ばれていました。
山田所長が名付け親です。
僕が提出が遅れていた報告書を早く出すように所長に怒られて、パソコンに向かっていた時、「ミヨリン」という名前が耳に飛び込んできました…。
「最近、ミヨリン、つき合い悪いですよねぇ」
そう所長に言ったのは、五十嵐さんです。五十嵐さんはよく所長席の前で所長と冗談を言い合っています。
「そやねん。最近、前みたいに一緒に飲みに行ってくれんようになったわ」
山田所長は、関西出身。元ラガーマンで体がごつく、見るからにオシの強そうなタイプです。
「なんかアレらしいわ。ミヨリン、最近、彼氏できたっぽいわ」
所長が言うと、堤さんが口を挟みました。
「マジっすか?俺、狙ってたのに」
「お前、嫁さんいるじゃねぇか」
すかさず五十嵐さんが突っ込みます。
「嫁いても関係ないですよ。ね、所長?」
「何が言いたいねん?」
堤さんが所長の方を向いて、
「いや、前から思ってたんですけど、所長、ミヨリンとデキてんじゃないですか?」
(え…!?)
僕は堤さんの発言に思わずパソコンを打つ手を止めました。
「そうそう、俺も前から思ってたんですよ。所長とミヨリン怪しいなって。よく一緒に昼飯行ったり飲み行ったり、めちゃめちゃ仲いいじゃないですか」
五十嵐さんまでもが堤さんの話に乗ってきます。
僕は3人の会話を聞いて腹が立ってきました。
僕と美代子がつき合ってることを知らないとはいえ、よくそんな冗談が言えるもんだと思いました。
2人の質問に山田所長はニヤニヤしています。
「本当のところどうなんですか?」
五十嵐さんはしつこく聞きます。
すると、所長がニヤニヤ笑いを崩さずに口を開きました。
「俺とミヨリンか…?…オメコしたで」
僕の顔色がさっと青ざめました…。