2026/02/20 18:25:55
(zucPx24Q)
僕は心臓をバクバクさせながら男湯へ入り、教えられた通り「真ん中の島」へと泳いで向かった。湯気に煙る向こう側、彼女が待っているはずの「秘密の連結スポット」へ……。
しかし、島にたどり着いた僕を待っていたのは、しどけない美女ではなく、信じられない光景だった。
「……あれ?」
連結していると言われた場所には、確かに小さな隙間があった。しかし、そこは人間が通れるサイズではない。せいぜい**「石鹸の貸し借り」**ができる程度の、絶妙に狭いスリットだったのだ。
「おーい、考古学の学生さーん、こっちよー」
反対側から彼女の声がする。
「狭すぎて通れません!」
「あら、コツがあるのよ。**『ぬるぬる』**になればいけるわ!」
必死に隙間を抜けようと格闘する僕。しかし、ふと指先がその「隙間」の岩肌に触れた瞬間、僕の脳内に電撃が走った。
「……待てよ。この岩の削り方、この堆積物の層……。これ、自然の造形じゃない。縄文時代後期の、極めて珍しい祭祀用の遺構(いこう)だ!!」
さっきまで下心で一杯だった頭が、一瞬で「考古学モード」に切り替わってしまった。
「大変です! この連結部分は、古代人が精霊を呼ぶための聖なる儀式場ですよ! 混浴どころじゃない、国指定重要文化財級の発見です!!」
「何言ってるのよ、早く来なさいよ!」と痺れを切らした彼女が、反対側から僕の腕を無理やり引っ張る。
「やめて! 遺跡が壊れる! 歴史を壊さないでくれー!」
その時である。
「コラーーーーッ!! 何やっとるんだーー!!」
脱衣所から響き渡る怒号。現れたのは、フロントにいた「おかみ」と、なぜか警察官。
実はここ、最近「自称・混浴の達人」という不審者が多発しており、警戒態勢の真っ最中だったのだ。
結局、僕は「遺跡を荒らそうとした不審な学生」として、彼女は「それを手伝った共犯者(?)」として、揃ってパトカーに乗る羽目になった。
僕の戦利品: 露天風呂付き客室での一泊(ただし警察署での事情聴取付き)。
彼女の正体: 実は近所のスナックのママで、単に酔っ払って「面白い隙間がある」と自慢したかっただけ。
後日談: 翌日の地元紙に**『温泉地で学生が「歴史的発見」と叫びながら隙間に挟まり御用』**という、一生消したい見出しが躍った。
考古学を専攻していて良かった。おかげで「煩悩」からは救われたが、僕の「大学生活」は完全に埋蔵(お蔵入り)することになった。