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2023/04/22 03:42:20 (3MoKkLg8)
二年前の事ですが、当事の思い出を記してみようと
思います。

医療機器メーカーの営業職に就いていた私が都内から
ある地方都市へ単身赴任し、二年目を迎えた春でした。

当時の私は48歳。支店長として或る地方都市に赴任し
ていた私には4歳年下の妻がおり、一男一女も授かって
いました。

そんな家族との暮らしも18年の歳月を経ていたせいか、
私が単身赴任する事にも特段反対や支障も無く、妻に至
っては『亭主元気で留守が良い』を、地で行く有り様で
した。

社宅扱いの1LDKのマンションで暮らしていたのです
が、世間では本格的にコロナウイルスが蔓延し始め、必
然的に自炊を余儀なくされていた事もあり、仕事帰りに
はスーパーに立ち寄り、食材を買って帰る生活を続けて
いました。

ですが、日々仕事を終える時刻は遅く、スーパーに立ち
寄ってマンションのドアを開ける頃には21:00を過
ぎ、自炊での食生活に煩わしさを覚え始めた、そんな矢
先でした。

マンションの集合ポストに投函された宅配食材のチラシ
を眼に、下調理後に真空パックされた鮮魚や肉類に加え
、サイドメニューまである内容も確かめ、電子レンジで
簡易に温め直したり、軽く煮込めば完成する手軽さも気
に入り、その週末には電話で申し込んでいました。

電話での詳細な説明を受ける中、私の住むエリアでの配
達時間が15:00前後と云う事も聞き、私の部屋のド
アの前に保冷用の発泡スチロールに入れられた状態で置
かれるのですが、疲れきって帰る私には大変有難く、ま
た助けられてもいました..。

配達は土日祝祭日を除く平日分で、夕食に伴う食材を依
頼していたのですが、私はその年のコロナウイルスの蔓
延もあり、夏季休暇にも帰省せず、赴任先での自粛生活
をする事としたのです。

そんな7連休の初日。
独身の頃からお洒落好きで、身だしなみにも気を付けて
いた私が美容院から戻った時でした。

マンション前に宅配チェーン店の名が記された車が横付
けされ、ひょっとしたら家かな?と部屋の前迄私が辿り
着くと、躰を屈め、保冷ケースを置こうとする女性の姿
があったのです。

『ご苦労さまです..』と不意に声掛けする私に驚きつつ、
被っていたキャップを慌てた手付きで外すと、ポニーテ
イルにした髪を揺らし、すっと立ち上がってみせた彼女
は『いつもありがとうございます』と爽やかな笑顔を滲
ませていました。

紺色のキャップと同色のスリムパンツを穿きこなし、
第三釦まで開けた深紅のポロシャツ姿はとても若々しく、
薄いメイクの頬に雀斑を滲ませる笑顔が、とても魅力的
に映っていたのです。

これからまだ配達されるのですか?と私が尋ねると、
私の住むマンション付近が担当エリアの最終地らしく、
50数軒の宅配を終えた後は、1時間ほど周辺マンショ
ンやアパートのポストに営業チラシを投函し、その後に
営業所に戻ると言う彼女。

『関根さん、配達先リストに記された年齢には見えない
ですね!単身赴任と聞きましたけど、どちらからですか
?』などと社交辞令も欠かさず口にし、前日に宅配され
、部屋の共有通路脇に戻す事になっている空の保冷ケー
スを手にしようと、再び彼女が躰を前屈みにした瞬間
でした。

第三釦まで開けたポロシャツに青白く浮かぶ胸の谷間を
覗かせ、左手に空の保冷ケースを抱えた彼女が身を起こ
そうとした瞬間、私は心なしか揺れ動く乳房に釘付けに
なっていました。

そして『今後とも宜しくお願いします』と背中を向けて
帰りかけていたのですが、私は冷蔵庫で冷やしていた6
本パックの缶ビールを手に、汗を滲ませる彼
女を呼び止めていました。

『ほんのご挨拶代わりなので、良ければご主人と…』と
手渡す私に『わぁ、良いんですか?』と屈託の無い笑顔
を覗かせ、聞けば彼女のご主人も昨春から東京へ単身赴
任され、今春関大に合格した一人息子も大阪で独り暮ら
しをしていると言うのです。

お一人での生活は寂しいでしょう?と言う私に、寧ろ自
分一人で暮らす日常に専業主婦で居る必要性もなくなり、
再び労働意欲に駆られ、現在の仕事を選んだと言う彼女。

ついでに尋ねた年齢が42歳だと知り、東京へ単身赴任
されたご主人も45歳と聞くと、我が家の夫婦関係にも
近しい年齢から、親近感を覚えたのは自然なことでした。

この年の夏は炎天下が続き、熱中症で倒れる人も少なく
ない中、軽やかな足取りでマンションの共有通路を進む
彼女の後ろ姿を見送ると、スラリと伸びた両脚に引き締
まったヒップラインを携え、対極に括れたウェストライ
ンが、艶めかしい色気を放っていました。

そんな好印象を私に残していた恵美子(本名)さん、私は
配達された食材を部屋の中に入れると、侘しい独りの部
屋で、自ずと彼女の事を空想していました。

便利なビデオ通話で家族間での近況報告もしていたせい
か、2年に及ぶ離ればなれの暮らしであっても、不思議
と寂しさは感じなかったのですが、妻とのセックスレス
も3年を経、男盛りの身を持て余していたのも正直なと
ころでした。

そして翌日を迎え、私が洗濯物を取り込もうとベランダ
へ出たタイミングでした。ベランダからマンション脇に
横付けされた車を望むと、彼女が操る宅配食材の車両で
、リビングの時計を一瞥すると、昨日とほぼ同じ時刻で
した。

俄かにそわそわする気分に見舞われながら、私は彼女が
近づいてくる気配を部屋内から見てみようと、インター
フォンのモニター画面をオンにし、映り込み始めた彼女
の様子をそっと伺っていたのです。
3階の角部屋が私の部屋なのですが、共有通路からゆっ
くりと近づいてくる彼女を捉えると、その一挙手一投足
をモニター画面で見守る私を他所に、部屋の前で立ち止
まり、一旦キャップを外した彼女が額と首筋の汗をハン
カチで拭うと、共有通路の脇に戻し置いた空の保冷ケー
スを小脇に抱え、立ち去って行く後ろ姿まで伺っていた
のです。

夏季休暇期間の1週間を介し、月曜と火曜だけは彼女以
外の女性によって届けられたのですが、何気なくその女
性に聞けば、月曜と火曜が彼女の公休日と知ったのです


そして夏季休暇期間中の水、木、金曜日と、私は配達で
訪れる彼女を心待ちにし、モニター越しに映る彼女の姿
にトキメキを覚えていました。

そんな淡い恋心を抱く7日間も瞬く間に過ぎ去り、過ご
し易い9月を迎えていた頃でした。

食材には配達書兼納品書が添付され、そこで彼女の名前
が小山恵美子と言うのは知っていたのですが、日に日に
彼女を想う気持ちが強くなり、何とか彼女を誘う口実を
練っていた或る日、その配達書を兼ねた納品書を手に、
名案が浮かんだのです。

よくよくその紙面を見れば、枠囲みされた空欄部分があ
り、消費者側の意見や感想に加え、宅配食材から抜いて
欲しい不得手な野菜等が書き込めるようになっていたの
ですが、私はその空欄部分に彼女に宛てたメッージを書
き込んだのです。

小山さん閉塞感漂うコロナ禍の中、何時も届けてくれて
ありがとうございます。私が手料理を振る舞うので、我
が家で気分転換に飲みませんか?ぐらいな事を書き込み、
携帯番号とEメールアドレスも添え、共有通路の脇へ戻
し置く、空の保冷ケースに入れたのです。

気持ちは駄目で元々。何のアクションも返さなかったら
諦めようぐらいな気持ちだったのですが、9月18(土)
でしたけど、私のスマホに見慣れない番号での着信が入
り、スピーカーフォンで応じた相手は紛れもなく彼女で
、別宅への配達途中ながら連絡をくれたのです。

彼女の公休日である月曜と火曜に合わせ、敬老の日と重
なる縁起の良い9月20(月)にお誘いしたのですが、2つ
返事の快諾で『私も何か持ち込みますねぇ』と明るく弾
ませる彼女の声は、私の鼓膜を擽るかのようでした。

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2
2023/04/22 04:52:11    (gBQN7YOB)
関根様のお気持ちとてもよくわかります。

一緒に飲まれた時の体験談もお聞かせ頂けると嬉しいです。

よろしくお願いします。
3
投稿者:オレンジ
2023/04/22 05:01:17    (CRwpoeF3)
久々に心地良い文章で、続きが楽しみです。体験団お待ちしてますm(_ _)m
4
2023/04/22 06:18:47    (3s4Sd/M9)
楽しみです。
続きを、お願いします。
5
2023/04/22 14:53:11    (3MoKkLg8)
土曜、日曜、祝祭日の夕食に至っては、宅配食材
に頼らずに自炊をしていたのですが、以前妻から
好評を貰えた豚の角煮を振る舞う事に決め、前夜
には圧力鍋で作り終えていました。

宴は17:00からと連絡を重ねていたのですが、
彼女が私の部屋のインターフォンを押したのは1
6:00を少し周った時刻で、玄関先で望む彼女
の姿は配達時の印象とは打って変わり、肩先まで
下した髪型に明らかにいつもとは異なる薄化粧を
施し、白い麻のブラウス越しに黒いキャミソール
を透過させると、サブリナパンツから覗く素足が、
夏の終わりを惜しむかのようでした。

そんな彼女をリビングへと招き入れると、男性の
住まいに入るのは大学生の頃以来だと言い、私の
書棚を興味深そうに伺ったり、ベランダからの下
界を展望したりで、女学生のように振る舞う彼女
の姿を尻目に、キッチンで小松菜のサラダの用意
をしていた私の傍らに添うと、
『わぁっ関根さん、私小松菜のサラダ大好物…』
と顔を綻ばせ、ツナとざく切りにしたトマトを和
えようとする私に『私がやりますね!』と横に並
ぶ彼女からは、甘いフローラルなコロンが香って
いたのです。

そんな彼女の持つ明るさに癒しを覚えると、彼女
の住まいは隣町にあり、私のマンションまで徒歩
20分の近さだと聞くと『これ、美味しいんです
よ』と持ち寄った地産品の牛タンを食器棚の小皿
に盛り分けた彼女。

そうこうしながら、リビングのローテーブルにお
酒のアテを運ぶ一面さえ見せると、二人だけの、
ささやかな宴を始めていたのです。

お互いに既婚者同志で在る事を意識する様に、私
の妻や彼女の夫の話題には触れず、お互いの子供
達の話題や、学生時代の思い出を応酬させる中、
中学、高校と陸上部に所属し、ハードル競争が得
意種目で、夢中になって練習したと言うだけあっ
て、今も見せる無駄の無い均整の取れたスタイル
が、何よりそれを物語っていました。

17:00を周る位から飲み始め、空になったビ
ールの大瓶が6本目となっていたのですが、少し
だけ頬を赤らめる彼女がトートバッグから小さな
バスケットを取り出すと、ひじきの炊き込みご飯
で握ったお結びや、塩昆布を塗したもの、それに
加えて梅としらす干しで握ったものなどが、保冷
材に挟まれながら、綺麗に詰め込まれていたので
す。

『これ、お腹が空いた時にでも…』と背中を見せ
る彼女がキッチンに向かうと、酔い覚ましにお茶
を入れると言うのです。

時刻も20時を過ぎた頃でしたけど、キッチンに
立つ彼女の立ち姿を横目にしながら、東京に残し
た妻や家族の事なども忘れ、以前から知り合って
いたかの様な、不思議な感覚にも見舞われ、お茶
の準備を始める気の利く彼女の横顔を眼に、かぶ
りつくお手製のお結びに彼女の愛情すら感じると
『小山さん、お結び凄く旨いよ…』と思わず声を
挙げていたのです。

そんな私の反応を耳に、急須と湯飲みを手にした
彼女がリビングに戻ると『良かったぁ~』と満面
の笑みを滲ませ、お互いにお腹一杯だったにも係
わらず、食べ終わりの食器類まで下げようとする
ので、私は慌てて彼女を制していました。

開け放ったベランダのサッシから生温い夜風がレ
ースのカーテンを揺らす中、酔い覚ましのほうじ
茶を二人で啜り飲む、静寂な一時でした。

『ご主人、夏季休暇に帰省されないんですか?』
と酔った勢いに任せた私が訪ねると、私と同様で
コロナの蔓延も気にかけ、赴任地の東京で自粛し
ていると言う彼女。

そして私の意を汲んだかのように、23歳で結婚し、
翌年には関大へ進学した一人息子も授かり、19
年連れ添った夫に対しては、家族の一員としての
意識でしかないと言う彼女は、まさに私と同じ夫
婦関係である事を、端的に語っていたのです。

そして気まずく淀みかけた空気を読み、私が改め
るようにお茶を入れ直していた時でした。

『愛人/ラマン(L’Amant)お好きなんですね?』
と彼女が向ける視線の矛先を眼で追うと、書棚
に投げ置いていたDVDに向けられていたのです。

不味いモノ見られちゃったかな?と私が思うのも
無理は無く、ご覧になった方なら判るとおり、幻
想的な映像美とふんだんに盛り込まれた濡れ場シ
ーンで、話題をさらった名作だったのです。

『この原作、マルグリット・デュラスの自伝的小
説で、世界的なべストセラーだったんですよね、
私は大学1年の時に原作の小説を読んだんですけ
ど、ファンタジックで官能的な小説だったな….』
とあっさりと返す彼女に一先ず胸を撫で下ろして
いると『関根さんDVD観せて貰っても構いませ
んか?』と言葉を続けたのです。

『実はこれ、妻が乾物と合わせて送り届けて来た
んですよ、映画自体の配給は1992年ですけど、
これは2000年に再販された無修正版のDVD
なんだけど、大丈夫ですか?』
と一応は彼女に尋ねてみる私に、是非見させて欲
しいと言う彼女。

116分に及ぶ配信を静観する彼女を他所に、私
はシンクに溜め置いた食器類を洗いながら、時折
りリビングのソファでDVDを見入る彼女に視線
を送ると、口許を両手で被い、時にその身を捩っ
て見せる後ろ姿は、明らかに感じ入ってる様子を
標榜とさせていたのです。

このまま抱き付いてしまおうか…。私はそんな衝
動にも駆られていたのですが、自制心がまさり、
そんな行動に移せる度胸もなかったのです。

DVDを見終えた彼女を横目に捉えてもいたので
すが、少し放心した面持ちを見せながらも『映像
も凄く素敵ですね..』と満足気な笑みを溢すと、
そろそろお暇しますね?とソファから立ちあがっ
た彼女。

『良かったら小山さんに差し上げますよ,,,』とケ
ースに戻し入れたDVDを差し出すと『でもそれ
は奥様に…』と拒む仕草を見せ『妻が私をからか
い半分で送って来たものですし、もう何度も鑑賞
してますから…』とトートバッグの中へ入れて差
し上げたのです。

夏らしいウエッジソールのサンダルを履き、玄関
を後にし、駅に向かい遠ざかる彼女の後姿をエン
トランスの外で見守っていたのですが、時折り振
り向き様に手を振る姿が堪らなく愛しく、私は彼
女の姿が視界から消えるまで、意味も無く見送っ
ていました。

6
投稿者:(無名)
2023/04/23 00:30:19    (D7ZmhIM4)
続きないの?
7
投稿者:take   take_engine640
2023/04/23 03:29:26    (pURR3LpR)
ラマン、懐かしいですね。無修正版があるなんて知りませんでした。探してみようかな。

この後の展開、とても楽しみです。
8
投稿者:関根基司
2023/04/23 06:18:36    (Ki7mVkK9)
7のtakeさん、

愛人/ラマンで検索すれば、中古品でもヒットする
かもしれませんよ。
9
2023/04/23 06:35:03    (Ki7mVkK9)
そして完全に私の視界から消えた彼女を見届ける
と、電車なら5分と聞いていた自宅までの所要時
間を鯖読み、私は彼女に宛てたメールを送ったの
です。

『小山さん、今日はとても楽しかったし、高価な
牛タンや手作りのお結びも大変美味でした。明日
もお休みでしょうから、ゆっくりと躰を休めて下
さいね? 関根 』

とメールを送信し終えた私は温めに張ったバスタ
ブに躰を預けていたのですが、小山恵美子と過ご
した6時間余りで、久しぶりに覚える高揚感を、
湯水の中で弓形に模らせていたのです。

やがて入浴を終えた私は再びリビングに戻ってい
たのですが、スマホの画面に灯る着信メールのア
イコンを見覚えると、小山恵美子からのメールだ
ったのです。

Re
『関根さん、私の方こそ凄く楽しかったです。手
作りの角煮も凄く美味しくって、おまけに大好き
な小松菜のサラダにも在りつけ、厚かましくもD
VDまで鑑賞させて頂き、今更ながら恐縮してい
ます。ちなみに明日は通常どおりの勤務ですか?
小山』

Re.Re
『明日は仕事には変わりないんですけど、新規で
顧客になって頂けた歯科医院に最新の医療機器を
納めるんですけど、搬入業者に立ち会う現場管理
だけで、14:00過ぎには帰宅してると思いま
す。 関根』


Re.Re.Re
『関根さん、明日は私の代わりの担当が日替わり
メニューの食材を届ける事になっていますけど、
内容が夏野菜の残りを使った中華メニューで、あ
まり美味しくは無いと思うんです。なので私がそ
れとは別に鰤の照り焼きと高野豆腐を使った美味
しい煮物を用意しますので、DVDのお礼も兼ね、明日も
関根さんのお宅にお邪魔させて貰って良いですか
? 小山』

Re,Re.Re.Re
『正直、私も中華料理はあまり好まないので、そ
れはありがたいです。それに小山さんなら何時で
も大歓迎ですよ!成城〇井のカマンベールと棒サ
ラミも買っておきますから、明日のトゥワイライ
トタイムはタリスカーのハイボールでも愉しみま
しょうよ?』

Re.Re.Re,Re,Re
『うわぁ、凄く嬉しぃです。私も腕に依りを掛け
て作りますね!日暮れ時の16:00にはお邪魔
しますから  小山』

Re,Re.Re.Re.Re.Re
『了解です!それでは明日、楽しみにしています
。 関根』

軽やかに弾むメールを小山恵美子と応酬させると、
既に私の心は明日の16:00に向かって浮足立
っていました。

そして迎えた9月21(火)の当日。
この日は猛暑に戻ったような好天に恵まれ、少し
歩くだけでも汗の滲む陽気に包まれていたのです。

そんな中で新規の顧客先で最新の医療機器を無事
納品し終え、自宅マンションに戻ってみれば14
:30を周ろうとしていました。

彼女が訪ねて来るにもまだ早く、自宅から着込ん
でいた作業用の制服を脱ぎ終えると、ひょっとし
たら今日は彼女と…。と独り善がりな期待が胸の
中を駆け抜けると、早々に浴室に向かっていた私
は全身の隅々まで丹念に洗い清めたのです。

そして汗の退いた素肌にヘンリーネックのTシャ
ツとセットのラウンジパンツに着替え、薄くスラ
イスした棒サラミと食べ易い大きさに切り揃えた
カマンベールを冷蔵庫に納めると、タイミング良
くドア付近で宅配食材が届けられた気配を耳にし、真空パック詰めされた食材を冷凍室に納め、
戻しの保冷ケースも速やかに共有通路の脇へと戻
し置いていました。

南東向きのベランダからリビングに射し込める黄
金色の夕陽を傍観するさなか、昨夜は興奮の余り
ベッドに潜ったのが25:00過ぎだったせいか、
私は束の間の転寝をしてしまっていたのです。

そんな薄らぐ意識の中、突然鳴動したインターフ
ォンに飛び起きると、モニター越しに映るその姿
は、時間どおりに訪れた小山恵美子の姿でした。

『今日も熱い一日でしたね…』玄関のドアを開け
るなり、開口一番に発した彼女。

スポーティーな装いを見せた昨日とは異なり、清
楚なパフスリーブから細長い腕を覗かせ、大胆に
とられたVラインの胸元に青白く浮かぶ静脈を覗
かせると、その胸元を留める前釦はワンピースの
裾口まで続き、リンドウの花柄が散りばめられた
その姿は、より一層彼女の魅力を引き立てていま
した。

10
投稿者:こう   peace-happy
2023/04/23 19:13:16    (twIbPbyJ)
恵美子さん、完全に期待しちゃってますね
最高の展開じゃないですか~
続きが楽しみです
11
投稿者:(無名)
2023/04/24 00:10:09    (FVzqoS0s)
関根様、続編をひたすらお待ちします。
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