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2021/02/08 13:51:07 (LCK0x5n0)
俺はいっとき少しアブナイ女と付き合っていた。アブナイにも色々種類が有るが、付き合った志保はメンタル系のアブナイ女だった。
出会いは学生時代の悪友らとの合コン。悪友の1人、俺とは1番気の合う田中の飲み友達だという女が連れて来た3人の女のうちの1人が志保だった。

志保はいわゆる男好きするさっぱりした性格のタイプの女だった。他の女性メンバーが合コンと言う事でカワイイ系のファッションの中、スラッと高い背に映える短い丈のジャケットに足の長さを強調するタイトなジーンズにヒールの高いロングブーツ。肩から使い込んだ革製のトートバッグを提げて腕にはボーイズサイズのダイバーズ。肩までの美しい栗色のボブカット。目が大きくて鼻筋の通った美人だった。

志保は女性陣の中で一番早く居酒屋に約束時間10分前に現れた。
入ってくるなり店主に俺の名前で予約してる席は何処かと尋ね、店主が俺たちのテーブルを指さすと真っ直ぐに入ってきた。

こんばんは。はじめまして佐藤志保です。今日はよろしく。まだ誰も来てないんだ?
志保は最初に気がついて手を振った俺の正面に座りテーブルの下にトートバッグを押し込みながら俺たちに尋ねる。
俺が、うん。まだ来てないけど、追々皆来るでしょと答えると志保は笑いながら、こういうのは女は遅れて来るもんだと思ってるんだよね。勿体つける程じゃ無いんだけどねー。と笑った。

早めに着いた俺たちが、すでに生ビールを頼んでいるのを見ると志保は店主に自分の分も先に出して下さいと頼んだ。
程なくして志保のビールが届き俺たちは乾杯した。美人の志保が来た事で男達ははしゃいでいる。皆が口々に矢継ぎ早に何をしている人?何処に住んでいるの?今日は誰からの誘いなの?
志保は笑いながら、そんないっぺんに答えられないわ。プロフィールの紙でも印刷して持って来れば良かったと言ったあと、ここから電車で20分程の私鉄駅近辺に住んでいる事、今日は田中の飲み友達のレイコから誘われた事。レイコが仕事の取引先でもあるので無下に断れないので今日は来た事などを話した。

話をしていると志保の解説通り他の女性メンバーが約束時間の5分遅れでバラバラと入って来た。俺たちは改めて乾杯をした。
田中の飲み友達と言う女性達は皆酒が強く、話も上手で俺たちは大いに盛り上がり、2軒目に行こうと言う流れで俺の知り合いのカラオケが歌える店に行く事になった。

2軒目ではすっかり打ち解けて、お互いの仕事などについての話になった。志保さんは何の仕事してるの?志保は笑いながらインチキなセミナーの講師と答えた。
俺たちは意外な答えに盛り上がる。何?何の講師やっているの?
だからインチキなセミナーの講師って言うか。
何、何それ?もともと俺たちは学生時代から一緒に馬鹿を繰り返して来た仲間だスタイルの良い美人、インチキなセミナー。そのキーワードは俺達を引きつけるには充分だった。

お調子ものでおっちょこちょいの俺たちの中でも、1番のおっちょこちょいである田中が、どんなセミナー?何処でやっているのと志保に食い付いている。うーん。何だろ?簡単に言うと自己啓発系かなと志保が面倒そうに答えた。

えー俺行きたい!かなり酔いの回った田中が大きな声で志保に言う。
志保はえー。良いですよ。田中さんはそんなの受けなくても全然大丈夫そう。わたしもあまり知り合いとか入れたくないし。と志保が先程までの歯切れの良さが全く無い口ぶりで答える。

田中はなお食い下がる。俺行く、行く。どうやら田中は志保を狙っているらしい。セミナーに行けば、一緒に過ごす時間が増えてチャンスも増えるとでも考えているのだろう。

結局根負けする形で志保は田中とLINEを交換し、後日セミナーのパンフレット的なものや申込用紙を送ると言う事になった。
俺はそういったセミナーやら胡散臭いものが嫌いで極力関わらない様にしているので、美人の志保に興味は有ったものの、田中と志保のやり取りを冷めて見て、その日を終えた。

合コンの翌日から俺の仕事で大きなトラブルが起こり2週程仕事に追われ、俺は合コン、志保の事を忘れていた。トラブルを解決してひと息ついた頃、合コン以来会っていなかった田中から連絡があった。
お疲れ。久しぶり。今日あたり飲みに行かないか。俺は連日のトラブル対応からやっと解放された事もあり、良いね。丁度今夜あたり飲みに出たいと思っていたんだ。どこにする?と返信した。

田中は、合コンをやった馴染みの店を指定して来た。俺は承知して、仕事をこなした後、店に向かった。店に着くと田中は先に着いていて既に何杯か呑んで顔を赤くしていた。
よお。久しぶり元気かよ?田中が俺にコレ旨いぞと野菜の和え物のようなお通しを俺に勧めながら言ってくる。俺は店主に生ビールを頼み、田中お勧めの和え物を食べながら元気じゃないよ。トラブル続きで疲れちゃったよと答え、店主が運んできたビールで田中と乾杯した。

乾杯した田中は含み笑いをしている。何だよ?何が可笑しいんだ?気持ち悪いやつだなぁ俺が言うと田中はいやいや、こないだの志保ちゃんのセミナー行って来たんだよと笑いながら答える。
えっ?本当に行ったのお前。馬鹿だなぁ。と俺が言うと田中はいやいや、お前も行った方が良い。無茶苦茶笑えるぞアレ。何て言うのかなースゲーわ。人の使い方って言うかコントロールの仕方みたいの分かって面白いわ。勿論、これ以上行く気もないし、今回は体験コースで本会員だのになる気はさらさら無いがとにかく面白い体験だったと興奮気味に俺にアレコレ話した。

お調子ものの田中だが、実は地元では10軒程の飲食店や、地ビール製造所、地元野菜のネット販売などを経営するやり手だ。俺も畑は違うが自営業をやっていて、田中からは学ぶ事も多く一目置いている。
啓発セミナーに行って、内容では無くその運営方法や運営側の人間観察、受講者の影響のされ方の方を面白がっている田中はやはり視点が普通の人間とちがう。俺は楽しそうに話す田中を見てセミナーに興味を持ち、好奇心も手伝ってセミナーに参加する事を決めた。

俺は田中からセミナーの連絡先を聞き、翌週末田中が行った体験コースを受講する事にした。
俺はセミナーで受講者と講師の形で志保と再会し、志保の事情に深く関わり異常な体験をする事になる。

つづく~
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投稿者:ネギぬた
2021/02/08 16:46:06    (LCK0x5n0)
当日の朝、会場になった都内のホテルの宴会場に向かった。宴会場前のエントランスには志保のセミナーを運営会社名と今日のセミナーなタイトル、新しいリーダー像。これからの時代のリーダーシップと書いた立看板やポスターが並んでいる。

俺は会場前に大人数のスタッフが対応しているカウンターで受付参加費用三万円を支払い受付を済ませると中野と自分の名前の書いた名札を手渡されて胸につける様に指示された。

俺は言われた通りに胸に名札をつけて会場に入った。宴会場の半分はテーブルと椅子が並べられている。俺は折り畳みのテーブルのパイプ椅子に腰掛けた。講演の開始時間までまだ間があったがもう席は8割、100人近い受講者で埋め尽くされ驚いた事に受講者数や規模、全て俺の想像を遥かに超えたものだった。テーブル席の向こうには演壇がしつらえてあり、何かを投影するのだろうか演壇の背には大きなスクリーンが下がっている。

朝9時になった。講義は9時からだとパンフや受付で貰った印刷物にも書いてある。その9時だ。何かあって開始が遅れているのだろうか。おかしいとは思うが周りは知らない者ばかりである。開始時間を確認する為にパンフを取り出したりする音だけが会場内に響いている。

9時5分を過ぎた、流石に会場内が遠慮がちにザワザワしてきた。それぞれ隣の初めて会う人間に9時5分過ぎてますよね。誰も来ないですね。100人近くの視線の先には開始時間を過ぎてもスタッフ1人出て来ない無人の演壇。

9時10分。流石に会場内がざわつき始めた。その時、会場の横の扉が開き何人かの人間が入ってきた。よく見ると入場して来たスタッフの先頭に先日の合コンの時とは全く違うスーツ姿の志保がいた。
志保はざわつく会場に入ってくると演壇に立った。ざわつく聴衆に志保の声が響く。今、何時ですか?ざわつく聴衆。志保は聴衆のざわめきぐ止むの悠然と待ち、静かになったところで今、何時ですか?ともう一度言う。

聴衆が口々に9時12分だ、13分だと言うと、開始時間は9時からになっています。貴方は今日三万円と言う大金を払って来ている。わたしは9時からずっと扉の向こう側に居ました。三万円も支払って、開始時刻になっても誰も来ない、それなのに誰一人受付に文句を言いにくる人間がいない。
貴方達は、三万円も支払っているのに誰一人立ち上がり文句を言いに行くどころか10分間もただ座って待っているだけだった!

志保は静まり帰る聴衆を見渡し、あなた方はリーダーシップを勉強する以前に自分から行動する事が出来ない、1番リーダーシップから遠い人間です!
先ずは、自分がこんな場面で多くの人間と同調して声もあげられない人間である事を自覚して下さい!と言い放った。志保は何かオーラに似た感じを出して100人近い聴衆を黙らせる迫力があった。

志保はリーダーシップについて語り、これから簡単なゲームを皆さんにやって貰いその体験から今後、自身のリーダーシップについて皆さんに考えて貰おうと思います。皆さん、テーブルに配布してある紙、筆記具を持って会場の後ろのスペースに移動して下さいと言う。

皆、筆記具を持ち会場の半分を占めるテーブルや椅子の置いていない絨毯の上に集まった。ワイヤレスマイクを持った志保が、立って待つ100人近い聴衆の前に進み出る。

それでは皆さん5人づつ組になって下さい。はいスタート。
俺は周りの人間に戸惑いながら声を掛け、近くにいたものと5人組を作った。志保は、はいそろそろ良いですか?と声を上げて、余っちゃった方いらっしゃいますかと聴衆に聞いた。
組にあぶれた方、前に出て来て貰えますか?と志保が言うと3人程が志保の前に進み出た。はい。今わたしは皆さんに5人組になって下さいと指示しました。ここにいらっしゃる3人の方は5人組に入れなかった方々です。
志保は手にしたファイルから茶封筒を取り出すと3人に手渡した。

渡し終えると聴衆に振り向き、残念ながら彼らはここで失格とさせていただきます。彼らはわたし共のセミナーを受けても、私達が効果を出せない方々どす。心苦しいのでお預かりした受講料を今、お返ししました。
では失格者の皆様お疲れ様でした。どうぞご退場下さい。
皆様、拍手でお送りしましょうと言った。

集団心理なのだろうか、それともあんな風に晒し者にされなかった安堵感なのだろうか、意地悪な気持ちも生まれていたのかもしれない。
俺も聴衆達と一緒に拍手をした。失格者と烙印を押されてた3人は複雑な顔して手には茶封筒を持ち拍手に押し出される様に退場した。

志保は、それでは選ばれた方々に先ずはおめでとうございますと申し上げます。彼らは今日たまたま5人組に入れなかった。明日やればもしかしたら彼らが入れて、組に入れず退場したのは貴方だったかもしれません。
ただはっきりしているのはチャンスを最大限活かすにはチャンスを掴む、逃してはいけないのです。明日チャンスは来ないかもしれない、常に今日のチャンスを掴める人が先ずはリーダーシップを発揮して成功する最低条件なのです!

静まり返る聴衆に志保が続ける、それでは次のゲームに移りましょう。
各自、皆さんご自分の名前の名札を付けていると思います。
各組のリーダー、副リーダーを決めます。
皆さん、各々自分の組の人間を見てリーダーに相応しいと思う方の名前を書いてスタッフが今から配る紙袋に名前を書いた紙を入れて下さい。

俺の組には、上品なスーツ姿で穏やかそうな50代くらいの名札に吉田俊之と書いた男、髪をツンツン立てて自信過剰そうな30代後半の西田、人の良さそうな背の低い小太りな40代の三橋、いかにも神経質そうな俺と同世代であろう30代前半に見える痩せた富田という男と俺。

俺は、まぁここは年長者だろうなと考え吉田さんと紙に書きスタッフが持って来た紙袋に入れた。
志保が幾つかのグループを周り各組のリーダー、副リーダーを決めて行く。志保が俺たちのグループのところへ来た。
志保は俺に気づいたようだったが、特に何も触れず紙袋から紙片を取り出してスタッフに何やら指示を出している。俺もこの場面では講師が参加者に親しげに話す訳には行かない事を理解してこちらからも志保に声を掛けることを遠慮した。

志保は紙袋から取り出した紙片を持って、こちらの組は3票を集めた吉田さんがリーダー。西田さんと中野さんが1票づつ。西田さん、中野さんでじゃんけんしてください。俺は先程のチャンスは云々のくだりを聞いていたのでこのジャンケンに勝たないと何言われるか分かったものじゃ無いと勝とうとしたが俺は西田にあっさり負けて西田が副リーダーになった。
西田はじゃんけんに勝つと俺の顔をチラッと見下す様な目で俺を見た。

後から聞いたが俺は吉田さんと書き、吉田さんは俺の名を書き、西田は自分の名を書いた。リーダーには名札にこの赤い丸シールを貼って貰います。副リーダーは緑のシールです。
ここで大事な話は、お名前が無かった三橋さんと富田さんです。貴方達はお互いに何も知らない、名前と風貌や話し方、つまり外見では誰からもリーダーとして相応しいと思われなかったのです。まして自分の名前も書けない。初めて会った良く分からない人の方がリーダーに自分より相応しいとしたのです。貴方達は自分に自信が無いリーダーシップの前提条件を残念ながら今の段階で持ち合わせていない方々です。と2人に言う。
志保は今後ゲームのルール、今日のこれからの予定は基本的にリーダーに私どもからお伝えします。リーダーから副リーダーに伝えていただき、副リーダーから役の無い3人に伝えます。と言って俺をチラリと見た。

俺はどうも、だいぶ変なとこに来たらしい事にこの時に来てしまったらしい。しかしこんなものはまだ序の口に過ぎなかった。
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投稿者:大空♂   sisi.m20
2021/02/08 20:00:00    (5pBRUn82)
なかなか気になる文書
これからの展開が楽しみです
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投稿者:(無名)
2021/02/09 16:43:21    (G4u1wvIU)
続きお願いします
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投稿者:ヒロ   noguoz
2021/02/09 18:41:07    (Vve0GBmo)
志保さんとっても魅力的に描かれいて、楽しみな展開になりそうですね
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投稿者:(無名)
2021/02/09 23:34:16    (E2d3.ydU)
ネギぬたさん、
よくもこう次々と面白い設定を思い浮かびますね
脱帽です

というわけで、エロ描写早めにお願いします笑
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投稿者:(無名)
2021/02/10 08:48:39    (Lz8/g1fO)
コレは名作の予感
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投稿者:ネギぬた
2021/02/10 15:34:11    (g/AKFm09)
人間心理とはおかしなもので、初対面の素性の分からない人間から、食事の時間や集合時間、場所を指示され、それに従う状況下に置かれるとそこにハッキリと上下関係が生まれてくる。

セミナーでは、休憩時間、昼食会場とその場所、時間が運営部から吉田リーダーへ伝達され、それを吉田から西田副リーダーに伝える。西田が俺たち役無しの残り3人に伝える形になった。

何度か伝達が有るうちに、俺たちヒラのメンバー間にも変化が起きる。人の良さそうな小太りの三橋は副リーダーの西田に対して胡麻をする様な言動が目立ち始め、若い富田は必ず西田の隣りの位置に立ち、西田に対して伝達内容にいちいち大袈裟に頷き、話を良く聞いていると言うアピールをし始めるようになった。

西田は俺にジャンケンで勝った事からなのか、明らかに俺に対して自分の方が立場が上である事を強調する言い方や態度である。

その後も幾つものミニゲームが続いた。ゲームの度に運営スタッフがサクセスポイントと言う呼び方をする得点等がスタッフが手に持つ採点表に書き込まれていった。全てのゲームが終了して参加者は再び演台前の机に着席させられた。

会場の照明が落とされ大袈裟なファンファーレが鳴り、壮大な印象の音楽が会場に流れた。演台にスポットライトが当たると大胆に胸が大きく開いた白いドレス姿に着替えた美しい志保が立っている。

それでは表彰式に移りますと志保が言う。
各チームごとの最高サクセスポイント獲得者を発表します。名前を呼ばれた方は前のステージにお越し下さいと笑顔で言う。
それでは早速、第一チームのウィナーは上田隆行さん!名前を呼んだ瞬間上田と言う男にスポットライトが当てられる。スタッフに即され立ち上がる上田と言う男。

皆さん、素晴らしい成績を収めた上田さんに拍手を!と志保が叫ぶ。会場から拍手が湧く。志保は上田さん、どうぞステージへお越し下さいと言ってステージに上がった男に、おめでとうございます!と言って派手な金メダルを上田の首に掛け、スタッフから受けた花束を恭しく上田に手渡し握手をした。

その後、12チームのそれぞれ最高得点者が表彰されていく、俺たちのチームは意外なことに吉田リーダーでは無く副リーダーの西田が最高得点者と表彰された。
12人の首からメダルを掛け、花束を手にした男達がステージに並んだ。
志保は1人1人に申し込み用紙に付いていたアンケート内容からリサーチして作ったのであろう内容を話し始める。

上田さんは、いつも仕事で色んなアイデアが浮かぶけれど自信が無くて皆に話せなかった。そんな自信を持てない貴方が今日、私達のプログラムの中で幾つかの気づき。きっかけを得て自信をつけて行きました!その結果、チームではリーダーを務め上げて最高得点。サクセスポイントを獲得していきました!
今年小学校に上がったばかりの息子さん、タカヒロくんにも自信を持って生きていく父親の背中というものを今日から見せてあげられるのでは無いですか?

驚いた事に上田と言う男は、感極まり涙ぐんで志保の言葉に頷いている。マイクを渡され涙声で有難うございます!と答える。
上田さん実はですね。今回の体験コースで最高得点者の特典で更に次の大きなステップになる本セミナーの3泊4日の集中合宿コース、エグゼクティブプログラム魁45万円の特別リーダーシップ育成セミナーが、今回30万円のお得な価格で受けられる権利が与えられるんですよ!どうしますか?更に上を目指してステップアップしませんか?参加されますかー?
上田は泣きながらはい!勿論です!と叫ぶ。
志保は会場の皆さん!上田さんは更に上のエグゼクティブプログラム受講を決意しました!さらに成功に向かう上田さんに拍手を!と叫ぶ。

俺は圧倒された。志保はステージに上がった12人を褒め称え会場を煽り、結果全ての男達に30万の受講料を支払わせる流れを作りきった。
合計360万。つまり今日100人近くから3万づつ合計300万よりも多い売り上げだ。

はなから俺たちの様に次、来るか来ないか分からない奴らなど相手にしていなかったのだ。ゲームを繰り返し自尊心が高いやつ、見栄張りなやつ、依存体質の人間を探しより金の取れる人材を選択していたのだった。

それが証拠に終了後、志保は最高得点者では無いが成績優秀者と称して何人かの男に、結果は残念でしたが貴方は資質が備わっている。最高得点者同様に45万を30万の特別割引を致しますのでご参加下さいと胸の開いたドレスで声を掛け書類にサインさせていた。

成る程、田中の言う通り非常に勉強になった。ある意味商売の真髄のひとつがここにある。俺は勿論エグゼクティブだの更に上のコースだのには興味は無いが楽しめたので満足して会場を後にしようとした。

受付で名札を返して、クロークに預けた上着を受取ると中田さん、お待ち下さい。本日ナビゲーターを勤めた佐藤が中田様をこちらにご案内するようにと申し聞いております。こちらへどうぞと案内を始める。
俺は訳も分からずクロークの男について行くと控室3と書いた紙が貼られた部屋に通された。

クロークの男が扉をノックして中田さんがお見えです。と声を掛けると中からはい。どうぞ。と志保の声が聞こえた。クロークの男が扉を開けてくれる。俺はクロークの男に軽く頭を下げ、部屋に入ると先程の白いドレス姿の志保が笑顔で俺を出迎えた。
ビックリしたでしょ?セミナーの時とは別人の様に親しみやすい笑顔で話しかけて来る。俺はええ。びっくりしました。色々とと答える。

志保は実はもう一度、中田さんに会いたいなって思ってたの。
だから中田さんを会場で見た時は嬉しかったの。座ってと俺に部屋の中央にある応接セットに自ら座りながら俺に言う。
俺が志保の反対に座ると志保は俺を真っ直ぐに見つめて言った。
私のこと、今日見てどう思った?

志保という異世界に足を踏み込んだ瞬間だった。
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投稿者:ネギぬた
2021/02/10 22:02:25    (n0SoF5/a)
私のこと、今日見てどう思った?
志保は俺を品定めする様な目をして尋ねてきた。俺は戸惑いながら、貴方は分析のプロらしい。そんな貴方に何か答えると、まるで自分を裸にされる様で答えづらいです。率直に言えば感心しました。貴方は実に巧みに高額なセミナーの受講者を獲得していった。驚きました。と俺は答えた。

志保は少し間をおいて、そう。そんな風に見えた。と俺に言う。
志保が寂しそうに見える。俺は何か傷つける様な事を言ったのかと少し慌てて、あとはこないだの印象とはまたうって変わって自信に溢れた大人の女性だって感じました。と付け加えた。

志保は少し笑みを浮かべて有難うと答え、私ね本当は女優を目指してたの。だけど色々やってみたけど上手く行かなくて。悩んでた時にウチのセミナーに友達が誘ってくれて、セミナーを受けたの。
当時はこのセミナーの主催者、私の今は旦那が今日の私の役割をやっていて、私は実はセミナーにはあまりピンと来なかったんだけど、会場で旦那に声を掛けられてスタッフとしてやってみないかって言われて。

そうなんですか。旦那さんは今日来てなかったですよね?と俺が尋ねると志保はええ、旦那は今日は大阪で来週のイベントの打ち合わせと答えた。
結婚されてたんですか。合コンに参加されてたからてっきり未婚の方だとばかり思っていましたと俺が言うと、そうよね。既婚者が合コンなんか行っちゃ駄目よね。わたしもそう言って一度は断ったんだけど気晴らしにって半ば強引にと志保は笑いながら答えた。

志保は、ねぇ。この後予定あるの?と聞いてくる。俺が特にはと答えると、じゃあ呑みに行こうと誘ってきた。
俺が別に良いですけど、良いんですか?旦那さんは?と聞くと志保は笑いながら、あら?旦那にバレちゃマズイ事でもするの?と返してくる。

俺がいや旦那さんにバレてマズイ事なんかしないですけどと答えると、志保は、じゃあ良いじゃない?と俺を試すような瞳で言ってきた。
ねぇ、背中、下げてくれると志保が背を向ける。
白いドレスからのぞく志保の背中は眩いばかりの白さだ。俺は言われた通りにドレスの繊細なジッパーを慎重に下げる。白く滑らかな肌の背があらわになる。その美しさに俺は息を飲んだ。

腰までジッパーを下げ切ると、落ち掛けるドレスを胸に押し付けながら俺に振り返っていたずらな笑顔で有難う。て言った。
今、着替えちゃうから今度はあっちを見ていてと志保が言う。俺が出ていきますよと言うと、あっという間に着替えちゃうから一緒に出ましょ。だからあっち見ててと繰り返す。

俺は仕方なく大袈裟にターンして後ろを向いた。ドレスが床に落ちる軽い音がする。衣ずれの音をさせながら志保が着替えている。カチャカチャと音を立ててベルトをしたらしい。志保ははい。出来ましたと明るい声を出す。

俺が振り返ると濃いグレーのパンツスーツ姿の志保が微笑んでいた。
行こう!と俺の肩をポンと叩く。最近見つけた美味しい居酒屋さんがあるのと前を進む。俺は志保の後ろをついて行く。先程のクロークのスタッフを見つけてお疲れ様。後はよろしくと声を掛ける。クロークの男は俺にチラッと視線を投げた後、志保を見やり承知しました。お疲れ様でしたと頭を下げた。

少し遠いんだ。タクシー乗って行こう。志保はホテル前の車回しに進みボーイが開けるタクシーのドアからタクシーに乗り込む。俺も続けて乗り込むと志保は俺の腕に腕を絡ませてきた。
俺がいやまずいでしょと軽く絡めてきた腕を押さえて嗜めると志保は俺を覗き込んで、そういうの気にする人なんだ。と拗ねたような態度を取る。

そりゃそうでしょ。貴女は人の奥さんだし、まして公演先で誰に見られてるか分からないじゃないですかと俺が答えると分かりましたと拗ねた仕草で俺の腕から手を離しぷいっと横を向いて外を眺めて黙り込む。

暫く2人とも黙り込んだが沈黙に負けて俺が少しくらいなら許されるんじゃないでしょうか?と言うとぷっと志保は吹き出して少しくらいなら?と少女の様な悪戯な笑顔を見せて、これくらい?と指先を少し俺の腕につけてこれくらいなら許される?と聞いてくる。

俺がそれくらいは許されるんじゃないですかと答えると、じゃあこれくらいは?と聞いて今度は腕を掴んでくる。俺はそれくらいならと答える。
志保はクスクス笑いながら、じゃあこれは?と抱きついてきた。俺が慌てて駄目、駄目許されない、許されないと志保の身体を押しやると難しいなぁ、加減が難しいと笑う。俺もつられて笑う。志保はこれぐらいは今日は許されて頂戴とはしゃいで腕を絡めてきた。駄目?と俺を覗きこむ志保はどきりとするほど妖艶だった。

これで俺の流転の運命が決まっていった。
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投稿者:(無名)
2021/02/11 03:58:44    (AHtlsqN5)
ワクワクが止まりません
志保さんに恋しそうです(汗)
11
投稿者:大空♂   sisi.m20
2021/02/11 18:31:41    (YPxQcCXJ)
男と女の出会い
いいですね!
駆け引きではないけど、お互いにひかれあう
そんな出会いがいいですね
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