2018/04/30 09:15:38
(Wi9ui89I)
初出社したのが3年前の2月1日でした。その「会社」と呼ばれる組織がはいっている雑居ビルの一角の中に僕は先輩に連れられて入っていったら、その中には8名の20代後半から、40迄の女性が、それぞれ「何か?」をしているのです。
入った瞬間から、俺が頭の中で抱いていた「会社」とか「仕事」っていうイメージがまず、ぶっこわされました。
俺の中でのイメージは、雑居ビルの一角というのは聞いていたけど、その中にはしっかりと従業員ひとりひとりに専用の机があって、電話機があって、パソコンがあって、壁際にはホワイトボード等があって、電話が忙しく鳴っていたりして、それなりの会社としての恰好をしているものだとばかり思っていたのですが、
実際はデスクを持っているのは3名くらいで、他の人間は会議テーブルで仕事をしていたり、パソコンも数台しかなかったり、電話も家庭用電話機が1個あるだけで、なにもかも「雑」な感じの雰囲気だったのです。
ただ先輩の言う、俺が不審な顔をしている事に対し、「ま、まだ出来て1年たってない組織だからww 何もかもこれから^^;」と苦笑いしていたのが印象的でした。
そして、その仕事っていうのも、具体的な内容は決まってはおらず、その組織の実際にはなんの実績もないのに、あたかも実績があるように見せかけるパンフレット作り、寄付金を募るためのホームページ作り、法人格なんてもってないのに、「〇〇〇憲章」とか恰好だけつけて、(〇〇〇の部分にはその組織名が入る)見た目だけはしっかりした組織に見せさせようとする事。それが、ここでいう「仕事」でした。
要は、「海外の恵まれない子供を助ける活動」が、この組織の目的なのではなく、「金を持て余している社長が、海外支援をしているフリを見せかけて、そして社長の自尊心、名誉欲を満たすために、慈善活動を演出する」のが、ここでいう仕事なのでした。
その根本的に間違った目的が、そこにいる社員全員に伝染されており、社員はみな、1日5時間程度の楽な仕事でカネがもらえるという事で、社長になんでもゴマをすったり、ご機嫌を取ったりするだけで、実際には海外の子供をだれ一人助けた実績がない組織だったのです。
しかし、理想だけは一人前。まるで変な宗教みたいに、「少しでも飢餓が広がるのを止めることができたらいい」とか「戦争で苦しんでいる子供に教育を」とか、、、きれいごとだけはベラベラと口から出ていて、、まるで何かに洗脳されているかのような、そんな感じだったのです。
そして、僕は、その先輩というのとこれから一緒にやっていくものばかり思っていたのですが、それも見事に裏切られ、先輩は俺を自分の後釜に据えた後、すぐ「サヨナラ」しちゃったのでした。
先輩もこの組織の実態に嫌気がさしていたんだと思います。かといって飛ぶわけにもいかないので、俺という後釜を据えたんでしょう。そして去っていった。
入社して1カ月後の3月から、俺は一人でその8名の女たちをまとめる管理職として、「社長の自尊心を満たす仕事」の全面指揮を取らされることになったのです。
(なんかおかしいな、こんなことやってっていいのか?)と思いつつも、(こんな楽な仕事でこれだけもらえたら、まぁいいわなw)と思う自分。この2つの葛藤でした。俺の中の最低限の正義感とプライドと、本来人間が惰性に向かっていく習性との葛藤です。
こうしている間に、状況が刻々と変化していったのでした。最初から安定していない組織であり、社長の一言、そして現場のムードという、アテにならないことが、重要な展開になる組織でした。会社ルールなんてなく、あるのは「人間の欲望」だけ。
この組織では、いかに貪欲に社長に取り入れれば、自分の待遇が変わっていくという傾向が強いのです。
その中でのある女は、最初は末端で入っていったのに、とにかく社長のご機嫌を取る事には優秀で、「子供が小さくて」とか、「生活がなにかと・・・」とか、身の上の事を社長に相談という名のオネダリをし、社長から車を買ってもらったり、家賃を出してもらったり、保険を全額出してもらたりしていたのです。
そしてその女を筆頭に見てている他の社員は、「あの子、ほんとズルいよね」とか言いながらも、本音ではうやらましいのでしょう。自分も何か、恩恵をもらおうと社長に取り入ろうとする事ばかり考えているのです。
中はもうドロドロでした。
そして、その出世の窓口となる、管理職という立場にいる俺の存在を、社長と同様にこびへつらってくる女のグループと、それとは逆にこいつを叩き落したら、私が管理職という立場になれるかも。という女のグループの間に俺は挟まれてしまっていたのでした。
完全な派閥争いでした。俺の事を疎ましく思うグループからは、あらゆるデマ、中傷、陰口を社長に報告され、その俺の事を悪くいうグループに敵意をもっているグループからは、俺はいいように利用され、、、
そして、形だけでもいちおうは管理職という俺を完全に攻略し、手玉にとって自分が有利になるように組織を変えていこうと、カラダを武器に接近してくる女が現れるのは時間の問題だったのです。
続く。