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2003/06/14 09:54:58
(a/3xeEdq)
夢見ごこちの彼女を覚醒させるのはもうやめよう。
そう決心したのは春まだ頬刺す風の冷たい頃だった。
僕たちは永遠の愛を分かち合う事を約束して6年目になる。
去年の夏の海で彼女は彼と出会ってしまった。
互いに一目ぼれだった。
独り残された私は自暴自棄になり、ありとあらゆる手段を講じて
二人を引き裂こうと躍起になっていた。
アイツが憎い!アイツさえいなければ!
しかし、あの二人は私に対してとても優しく寛大な態度で
私を二人の中に引き込みたがっていた。
私は自分の立場がわからなくなってしまい、
何もかもがイヤになってしまいかけていた。
そんな時私を救ってくれたのが通りすがりの初老のご夫婦だった。
私の世を果敢なむ様子に見てみぬふりができなかったらしい。
彼らは非常に説得力と含蓄のある珠のような言葉の数々で
私の心を徐々に解きほぐしてくれた。
あの日以来まともに眠れない夜ばかり過ごしてきたが、
おかげでその日の夜はぐっすり眠る事が出来、目覚めたときには
自分があれほど想い悩んでいたのがまるで嘘であったかのように
心がすっきりと晴れ渡っていた。
そしてようやくこんな心境になるまで立ち直る事ができたのである。
みなさんも夫婦のことで悩まれたときは老いたる賢者の叡智に
身を任せる事がもっともいい解決法のひとつであることを
心にとどめておいてください。