若いときは、子供が独立し、夫婦二人だけの生活に戻れば、新婚のときと同
じように、いつでも好きなときに女房を抱くことができるようになるだろう
と、望みを捨てずにいた。子供もとうに独立。実際に夫婦二人きりとなってか
らここ数年。女房の相手をするのも大儀になり、せいぜい月一回がいいとこ
ろ。
　その月一回すら、女房は心ここにあらずといった風情で、余り乗り気でな
い。聞けば、私の身体が心配で、本気になれないのだと言う。私のほうも、女
房相手に腹上死するほど本気になれるわけでもなく、まあ、女房の心遣いに便
乗して、女房への義務からは疎遠になっていた。
　ところが仕事先の専務、つまり社長夫人と、ひょんなことで、仕事ばかりで
はなく、プライベートな時間まで、共有するようになってしまった。今では週
一の割合で逢っており、前から後から、時には巴、卍等、サッカーではない
が、９０分は互いに刺激しあい、出すものを出し、啜りあっている。
　女房相手には依然として奮い立たないところから、私の体力、精力が復活し
たわけではなく、不倫の味が刺激となって、飽きることなく専務の身体を楽し
むことができるようだ。
　ところが先ほど、何度かの至福の瞬間を共有し、互いに満足の吐息を漏ら
し、柔らかくはなったが、まだしっかりと専務の股間に納まっているものをそ
のままに、専務の身体をゆっくりと愛撫しながら、社長とはどうなっている
か、嫉妬交じりで聞いてみた。
　すると専務は、私に抱かれるようになってからは、ほとんど社長の相手をし
ていないと言う。最初は疲れているから、年だから、といってごまかしていた
が、いつまでも疲れてばかりいるわけにもいかない。それでこの頃は、男が射
精するのは、１００ｍを全力疾走するほどのエネルギーを消費するのと同じら
しい、仕事で疲れている社長（つまり専務にとっての夫のことですな）にそん
なことを強いるのは申し訳ないから、我慢している、といって、社長の求めを
断っているという。
　時に無理やり体を求められても、貴方のこと（つまり今専務に挿入している
私のこと）を考えて気を紛らわし、社長からの刺激を受け止めないようにして
いるわ。社長も私が社長の身体を心配して積極的でないと思っているようだ
し、私が反応しないから、面白くないらしく、この頃は私を余り求めてこなく
なった。私には貴方だけよ。といって更にもう一度長い手足を絡み付けてき
た。
　それを聞いて私も喜んで、しっかりと抱き返し、するとそれまで彼女の股間
で大人しくしていた分身がむくむくと起き上がり、もう一度専務を喘がせるこ
とになった。大きく広げた専務の両脚の間に、更に股を広げさせるように私の
腰を押し込み、根元の根元まで押し込んで、専務の膣底の無数の襞が亀頭にま
とわり付く感触を楽しむ。
　亀頭に絡みつく無数の襞の、楽しみを通り越して苦しいばかりの快楽に身を
委ねながら、私の身体に脚や手を絡みつかせ、喘いでいる専務の、激しい喘ぎ
声と、その声以上に魅惑的な喘ぎ顔の専務に見とれていると、ふと大きな疑問
がわきあがった。
　さっき専務が言っていた、疲れているから、年だから、貴方の身体が心配だ
から、という言葉を、ここ数年、私は女房から聞かされ続けている。これは、
今まで私が信じてきたように、女房が本当に私の身体を心配しているのだろう
か、それとも、すでに他所で、十分満足しているので、もう私に抱かれるのが
わずらわしくなって、専務と同じような言い訳をしている、なんてことはない
と信じたいが。

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