ナンネットID のアカウントをお持ちですか? ログイン ログイン
ナンネットID
 
1
削除依頼
2023/06/06 17:05:30 (dfCql/j6)
俺は今から16年前。32歳の時に離婚した。
今思えば酷い話だが、俺は当時は営業職の第一線で平日は3日に1度は取引先と夜の街をハシゴして午前様。金曜日は上司や部下と馴染みの店で深夜までカラオケ、深酒でうさ晴らし。

業種的には丁度、世間の不景気を横目に右肩上がりの時期で、俺は家庭を顧みずに自身の燻った20代を取り返す様に仕事に託けて夜の街を遊び尽くしていた。

当然、休日は朝から寝て過ごし家族サービス等考えてもいなかった。そんな土曜日の夜、居間で缶ビールを飲みながら深夜のくだらないテレビ番組を見ていた俺に子供を寝かしつけた家内が離婚届を突き付けてきた。

俺は事態の深刻さをまだ理解していなかった。
当然、多少の後ろめたさは感じていたが、充分な生活費にそこそこの生活環境を整えていた自負があった俺は家内の機嫌を取りやり過ごそうとしていたが、次の朝置き手紙と判が突かれた離婚届を食卓に残し子供2人を連れて家内は家を出ていった。

その日、直ぐに家内の実家に迎えに行ったが、普段は陽気な家内の両親が打って変わって、君には娘が会いたくないと言っていると家に上がる事すら許されず、近所の喫茶店で怒り心頭の義父に娘から聞いた俺の生活態度について詰問を受けた。

その日以降結局、家内が家に戻る事は無く弁護士を介して事務的に離婚が処理されていき、気がつくと俺は家を処分して1人でアパートを借りて寂しい生活をする事になった。

全て失ってから人は気付く。歌の歌詞では無いが本当にその通りだった。子育て等、まるで家内に任せきりで、逆に子供の存在が疎ましい時すらあった俺だが、何もやる事が無い休日にあてもなくふらついたショッピングモールで、子連れの同世代夫婦を見ると子供に会いたい。今、どうしてるのか気になった。

仕方なく休みのファミレスでビールを飲む。
家族連れの幸せそうな姿が眩しい。寝巻きと変わらない姿でファミレスのポテトや枝豆をつまみに昼間からビールを煽る俺を家族連れが見てはいけないものの様に視線を逸らす。

家内が出て行ってから、その事が心のどこかに影を落として呑みに出ても以前の様に楽しめない。

丁度その頃から俺の勤めてる業種も成長に翳りが出てきた。まるでタイミングを合わせる様に取引先と食事に出る機会も激減した。

子供とは月に一度会っているが、自業自得というやつだろう小学生になった娘2人は家内から何を聞かされているのか俺との食事や公園に行ってもほぼ俺とは目を合わす事もなく持ってきたタブレットで動画やゲームに興じ、俺の問いかけにも関心は示さない。

それから数年。俺は何か喪失感に付き纏われ、せめての償いで養育費を支払い娘や家内の誕生日にプレゼントを送り続けた。

そんな俺に家内から再婚するという連絡が2年前に来た。養育費の支払いも要らなくなるという事だったが俺には家族を繋ぎとめる最後の糸さえ断ち切られる様に感じた。

最後に交わした家内との電話で、幸せになってくれと搾り出した俺に、貴方も幸せになってねと返してくれたのがせめてもの救いだった。

家内と別れてから再婚はおろか女性と付き合う事も無かった。俺は家内とやり直したい、家庭を取り戻したいという思いがあったからだ。
自分のやった事を思い返すと家内には告げられ無かったが。

俺は遂に独りぼっちになってしまった。
どうしようも無い孤独感。夜中にひとり目覚めて絶望的なほど孤独を感じる日々だった。
今年の2月の夜だった。

時々連絡をくれる長女からLINEが夕方入った。

ママがかわいそう。
どうしたらいいか、分からない。

俺は居ても立っても居られず、長女にLINE電話したが出ない。
どうした?何があったの?
LINEを送る。
既読にならない。
俺は、車に飛び乗り長女から以前LINEで聞いた現住所に後先考えずに向かっていた。

 
1 2 3
レスの削除依頼は、レス番号をクリックして下さい
13
投稿者:(無名)
2023/06/09 14:02:32    (z1z1l4AV)
是非とも続きをお願いします。
12
投稿者:(無名)
2023/06/08 19:16:04    (yEaDxlCj)
いい話なのに、途中で辞めるの
もったいないな~

11
投稿者:(無名)
2023/06/07 21:52:17    (C5.A2Fya)
続き待ってます
10
投稿者:健人
2023/06/07 20:58:28    (LO1XUdU4)
読み易くて引き込まれます。
次の展開も気になります。

ドラマのような話しですが、「24時間戦えますか」の世代としては、ハッピーエンドであって欲しい、、
9
投稿者:タケ
2023/06/07 19:55:14    (3JZPSoMu)
義之さん こんばんは。
何だか良い雰囲気な様な感じですが。
良い結果祈ってますよ。

8
投稿者:義之
2023/06/07 17:48:56    (Spzv7Kml)
昼に家内からLINEの返信があった。

ありがとう。では来週水曜18時にQ'sで。
Q'sというのは、俺たち夫婦が結婚前によく行った老舗のレストランバー。
結婚前の楽しかった思い出がある店を家内が指定して来た事が俺には嬉しかった。

俺はその日から次の水曜日が来るのを一日千秋の思いで待った。水曜日は生憎、朝から雨が降っていた。天気予報では夜半には止むという事だったが会社を久しぶりに定時に上がって、駅からQ'sへ向かう間、雨脚は強くなっていた。

俺はびしょ濡れになったコートを脱いで店内に入る。テーブル席を超えた奥の長いカウンター席に家内が座っているのが見える。

まだ付き合っている時分、デートの待ち合わせはいつもこの店だった。家内はテーブル席よりもカウンター席を好み、いつも長いカウンター席の端に座って営業職で待ち合わせ時刻にいつも遅刻する俺を待っていてくれていた。

カウンター席の後ろ姿の家内の名を呼ぶと、笑顔で家内は俺に手を振った。
家内の笑顔を見るのは何年ぶりいや十何年振りだろう。俺は交際期間中の家内のことを思い出していた。

いつもは混雑している店内が、今夜は雨模様で客もまばらだ。俺は家内に手を振り返したあと、隣に座った。

悪い。待ったか?ごめん。これでも急いで来たんだけど。俺が笑顔の家内に言うと、家内は笑いながら

全然待ってないわ。嘘みたい。あの遅刻魔の貴方が約束の時間前に来るなんて。貴方もヤキが回ったのね。と言ってクスクス笑う。

そんな事、言ったらクノだって何も飲んでない、食べてないで待ってるなんて、ヤキが回ってんじゃないのか?

クノ。結婚してからお前と呼んでいた家内の名前だ。家内の名前は久乃、ヒサノ。友達からはクノというあだ名で呼ばれていた。
交際期間中は、家内を俺はあだ名のクノと呼んでいた。

交際期間中によく来た店の、いつもと同じカウンター、いつものシチュエーションに俺は自然と家内をクノと懐かしい呼び名で呼んでいた。
クノ。久しぶりに声に出すと愛しさが込み上げた。

残念でした。もう飲みものも食べ物も、先に自分のは頼んじゃいました。とクノが笑う。
笑ったそばから、彼女がオーダーしたジントニックとクラブハウスサンドが運ばれてきた。

クノはグラスを受け取ると
では、いつも通りお先にと笑いながらジントニックのグラスを煽って、クラブハウスサンドを一口齧って微笑んだ。

懐かしい光景だった。クノは毎回遅刻する俺を待ちきれず、いつもジントニックと彼女の大好物のこの店のクラブハウスサンドを美味しそうに頬張って俺を待ってくれていた。
クノは結婚前はとても陽気な明るい娘だった。ショートカットに大きな瞳が印象的な元気印の女の子だった。このカウンターで楽しげに笑っていた印象が思い出される。

今夜の彼女は、憔悴し切っていた先日の様子から一変して何か吹っ切れた様子で、まるで昔の様な明るい魅力を携えて微笑んでいた。

俺は何という馬鹿だったんだろう。
こんな素敵で魅力的な女性を傷つけて、追い込み、自ら手放した。

俺がオーダーしたウォッカソーダが届いた。
クノと乾杯する。クノはグラスを煽り、少し話し辛そうな仕草を見せたあと口を開いた。

こないだはごめんなさい。
貴方が突然現れて驚いてしまって。
でも、後から少し嬉しくなって…。

7
投稿者:タケ
2023/06/06 20:32:53    (2L639A5G)
義之さん 初めまして 今奥さん助けてやってください。
奥さんは2回リハーサルしてます。
今度は完璧な結婚生活でくますよ。
会ったら引き戻す様に お話進めてください。私なら絶対に連れ戻します。
6
投稿者:義之
2023/06/06 19:59:39    (fyN3/OiZ)
俺が近づくと、人の気配を感じた家内が顔を上げた。泣き腫らした目を見開いて驚いている。

貴方…
家内は驚いた様子でうわずった声を出した。

俺は娘から夕方、心配なLINEを受け取り矢も盾もたまらず来た事、家から飛び出した家内を見て心配になり思わずついて来てしまった事を告げた。

家内は黙っていた。
俺は家内から間を空けてベンチの端に腰掛けた。
10分以上、そのまま2人とも黙っていたと思う。

家内から口を開いた。
久しぶりね。元気にしてるの?

ああ。まぁぼちぼちやってるよ。俺は答えた。
大丈夫か?何があったんだ?聞きたい事は山ほどあるが家内の顔は憔悴し切っていて、問い詰める事は躊躇われた。

家内は娘の名前を口にして、まさかあの子が貴方に連絡するなんてと小さな声を絞り出す。

ああ。時々、報告程度の近況はLINEくれてるんだ。
そんな俺に連絡寄越すくらいだから、よっぽどの事があったのかと心配になってさ。
俺は俯いている家内に話しかけた。

家内は少しの間をおいて、大きく息を吸うと小さな溜息をついて、私ってなんだろ?なんだか色々と上手くいかないな。私が悪いのかなと呟いた。

少なくとも俺との離婚に関しては君は全く悪く無い。完全に俺のせいだ。完全に俺が悪い。
俺は誰に答えるとも無しに言う。

そうなのかな。最近思うけど、貴方はずっと仕事して忙しくしてて、でも生活は支えてくれてた。
私が世間に踊らされて、優しい旦那だの、家事、子育てに協力的なパパだの絵空事を思い描いただけなんじゃないかしら。

そんな事ない。理想じゃなくても最低限の事すら何も出来てなくて、お前ばかりに負担がいってたから。俺は家内が出て行く前の晩に言わなければならなかった事を言った。

家内はそうかな…と言って押し黙った。
暫くすると顔をすっと上げて、私、戻らなきゃ。
と正面を見据えて自分に言い聞かせる様に呟いてベンチから立ち上がった。

そして、俺に向き直るとごめんなさいね。
何か心配させて、良くある家庭内のゴタゴタだったの。わざわざ来てくれて有難う。
大丈夫だから。わたし、家に戻るわ。
大丈夫だから貴方も帰ってね。

足早に立ち去る。
少し行ったところで振り返ると、久しぶり顔見れて良かったわ。元気そうね。仕事、頑張ってね。
と告げると公園から出て行ってしまった。

俺は家内を見送った後、暫くベンチに座って放心していたが、ここに居ても何も起きない事を悟ると立ち上がり車に戻って帰宅の途についた。

その次の朝だった。
そんな事が有りなかなか寝つけず、いつもより少し起床が遅くなり慌ただしく出勤の支度をし、なんとかいつもの電車に滑りこみ、スマホを確認すると5分前に家内からLINEが入っていた。

養育費の払い込み、入金確認に使っていた家内とのLINEだったので養育費が無くなってから1年以上放置されていたLINEだ。俺は混雑する通勤電車の中で慌てて、内容を確認した。

昨夜はお騒がせしてごめんなさい。
心配して来てくれたのに、あんな態度でごめんなさい。来週、時間作れないですか。
貴方とは話さなきゃいけない事が有る様に思えます。検討してみてください。

俺は駅に降り立つと直ぐに返信を送った。

僕も同じ事を思っていました。
君と話さなければならない事が沢山ある。
来週いつでも良いです。
そちらの都合の良い日時を指定してください。

5
投稿者:(無名)
2023/06/06 19:25:32    (Aa5t2kUC)
気になる展開・・・。

続きをお願いしますm(__)m。
4
投稿者:義之
2023/06/06 18:57:22    (fyN3/OiZ)
長女から聞いていた住所に着いた。
閑静な住宅街の立派な一軒家。勿論、俺はこの時初めて家内の住む家を訪ねた。何度もどんな暮らしをしているのか気になり、俺の住むアパートから車で小一時間のこの場所には何度か行こうと思った事はあったが、その行為は虚しく、その度に思い直し止まっていた。

俺は、一軒家の前で暫く様子を伺った。勢いで来たもののどうすれば良いのか分からない。
俺は今一度、既読になっていない娘とのLINEにメッセージを打ち込む。

大丈夫か?何かあったのか?
心配です。返信ください。

一軒家の様子は外から見る限り、一階の電気がつき人が居る気配は感じるものの、静まりかえっている。娘にLINEをしてから20分が過ぎてもいっこうに俺のメッセージは既読になる気配が無い。

俺は何度も車から降りて、一軒家の方に歩き出しては、その度に思い直し車に戻る。
娘から心配なLINEが来たからといって夜8時近くに別れた女房宅に突然行けるものでは無い。

俺は結局、車に留まりジリジリとした気持ちで他人の家を眺めるしか出来なかった。
娘のLINEは最初のメッセージから1時間過ぎても既読にはならなかった。

いくら閑静な住宅街とはいえ、帰宅する人が俺の車の横を通り過ぎる。逆に閑静な住宅街だからこそ路上駐車で中にはくたびれた中年男が乗った車は通行人の目を引いた。

一度車の横を通り過ぎた中年女性が、不審そうな視線を俺に投げかけながら戻って来て、ナンバーを見るような仕草と車の中を伺う様にゆっくりと歩き去って行った。

どうやらここにはこれ以上居られないようだ。俺は今一度、既読にならないLINEを確認して仕方なく立ち去る為に車のエンジンを掛けた。

その時だった一軒家の門扉がガチャンと音を立てて、家内が出てきた。直ぐに旦那と思しき男が出てきて、この時間に何処へ行こうって言うんだ。と少し興奮した声を発する。

家内は男に向き直るとひとりにして!と俺の車の進行方向にむけて早足で歩き去っていく。
男は話が終わっていないぞ!と家内の後ろ姿に言葉を投げかけたが、暫くするとかぶりを振って家の中に戻っていった。

俺は早足で歩く家内の後を車で追った。
家内は暫く歩くと小さな公園に入って行った。俺は車から降りて家内の後を追う。
家内は公園の中ほどのベンチに腰掛けた。
俯いてじっと動かない家内。

俺は暫く家内の様子を見ていたが、家内の肩が小刻みに震えて泣いていることを見てとった時にしぜんと身体が家内の方に動いていた。
1 2 3
レス投稿フォーム
名前
トリップ[]
E-mail
※任意
本文

投稿文に自動改行は行われません、適宜改行を行ってください。 # タグ使用不可
「sage」
※投稿を上げない
画像認証

上に表示されている文字を半角英数字で入力してください。
動画掲示板
画像で見せたい女
その他の新着投稿
人気の話題・ネタ
ナンネット人気カテゴリ
information

ご支援ありがとうございます。ナンネットはプレミアム会員様のご支援に支えられております。