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2006/09/03 19:39:37
(KN6UxA6D)
「しかたがないねぇ。」
ふたりは、あきらめて駐車場まで来た。
駐車場には私の車と、中山ルミの車が停まっている。
彼女だけをこんな暗い駐車場においたまま、一人だけが帰ってしまうのは、
上司の立場からも気が引けた。
少し思案したが
「どうだろう、酔いが醒めるまで、すこしぼくの車で走ってみないかい。」
と誘ってみる。
正直言ってその時まで、まだ彼女を女性としての対象ではなかった。
業務が忙しく、事務所でもそう言う気分には至っていなかった。
辞めた人の後が埋まってよかった。早く仕事を憶えて欲しい。そんな気持が
優先して、彼女に食指が向かう対象とするには、余裕がなかったのだ。
しかし、男女の関係はふとしたきっかけで、新しい展開を見せることがある
のだ。
「そうね。少しの時間なら。」
「そうしましょう。その方が良い。飲酒運転は罰金もすごいし、会社の名前
にもね。」
そう言いながら、助手席のドアを開けて乗せる。
「良い車ですね。」
山中さんが言う。
ポケットからガムを差し出して
「これを噛むと良い。」
と勧めた。
酒気の臭いだけでも消去した方が良い。
助手席に乗せて走っていると、48歳の妻、最近知り合った47歳の女性と
は違った30代半ばの若さを感じる。
36歳と言うともしかすれば、女性の一番良いときかも知れない。
そのときまで、女性と言う対象でなく、同じ職場の社員とだけしか思ってい
なかったのだが、自分の中の男の本能というか、欲望を感じられた。
しかし職場に来て一週間あまりだ。性急にことを進めるのは良くない。