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2006/07/02 12:35:21
(uXd.Mx.E)
同じ週の金曜日に、また絹江さんは清掃にやってきた。
水曜日と金曜日に清掃会社から派遣されて、会社の始業時間の前に清掃業務
をしに来るのだ。
始業時間は9時30分で、絹江さんは朝早く来て、仕事のじゃまにならない
ように、みんなが出勤してくる前に、清掃が終えるようにしている。
いつも9時過ぎには、終わっている。
「豊村さん、いつもごくろうさま。」
そう言って声をかける。
「○○さんは、いつも早いんですね。」
絹江さんは、明るく答えてくれる。
「水曜と金曜は、豊村さんに会えるから、元気が出ていいよ。」
と言うと、
「まあ、うまいこと言って、○○さんたら、なにもでませんよ。」
と笑顔で答えながら、床を掃く手は止めず作業を続ける。
ぼくも、作業をする絹江さんを視線におきながら、自身の仕事の準備をす
る。
向こう向きに箒を使っている絹江さんの後姿が見える格好になる。
作業着に履いているズボンのヒップラインのミッシリとしたあたりが妙に目
がいってしまう。
50近くても性欲を解消させるには十分魅力的だ。
「豊村さん、この前言ったけど。」
ぼくは、そう切り出した。
「え、なにのことだっけ。」
振り返りながら、笑顔で答える。
「うん、映画だよ。この前言った、映画のことだよ。」
「はぁ、ああ○○が上映されてるって言ってましたね。」
「うん、そうなんだよ。このところ忙しくて、なかなか休みもままならない
んだが、明日の土曜日は休めるから、どうだい一緒につき合ってくれないか
い。」
ぼくは出来るだけ明るい調子でそう言った。
「それとも、予定があるの?」
「いえ、明日の予定はないけど、私なんかといいんですか。」
と、少しとまどったような表情で、しかし嬉しそうな表情で言う。
「ああ、もちろん豊村さんが、一緒に行ってくれればありがたいよ。いつも
事務所を綺麗にしてくれてお礼もしたいしね。」
「お礼だなんて、これは私の仕事ですし。」
「じゃ、つき合ってくれるんだね。ありがとう。」
ぼくはそう言って承諾を取り付けた。
映画館は、となりの街のものにした。
近くだと、誰かに知れるかもしれないと思ったからだ。
翌日の2時からの上映時間に合わせて、映画館の「後の席のあたりで」と言
って、直接映画館の席で合うことにした。
映画館の前とかで待ち合わせて、人目に付くことを避けたかったためだ。
入場券は、用意していたから
「これで入ってください。中で会おう。今から楽しみだよ。」
と言ってチケットを手渡した。
「ほんとにすみません。2時からだと、朝慌ててずにすむから、良いです
わ。」
嬉しそうにそう言って、チケットを受け取った。
お互いが50歳前後でも、女性を口説き、そしてあわよくばものにしようと
する下心があると妙にどきどきとして、興奮を憶えるものだ。
しかし、ここまでくれば、あとは大人同士だ。
明日の土曜の午後が楽しみで、その日はあっというまに仕事を終えた感じが
した。