昨年四月、長男小学校入学式の時でした。
校門のとこで記念撮影をしようと、妻がシャッターをお願いしようとした、たまたま近くにいた同じく入学式にきた人を見て驚きました。
快く引き受けてくれた女性、私はすぐわかりました。
私21才の時、母校の文化祭を見学に行った際に知り合い交際した、当時高校一年の成美だったんです。
そう、成美の初体験の相手は、この私でした。
カメラを構えた成美は、私を見た一瞬、あ、という顔をしました。
成美もすぐわかったようでした。
長男、妻、私を撮ってもらい、すると成美のご主人が、私達もお願い出来ますかとこられたので、私がカメラを構えたました。
成美、ご主人、娘さん、成美の表情にぎこちなさを感じた私でした。
成美とは、成美が高校卒業するまでの約二年ちょっと付き合いました。
成美が他県の学校に進学、それで別れました。
別れてからの接点は一切なしです。
16年ぶりの再会です。
入学式の時は、写真を撮り合う、それだけで終わりでした。
数日後でした。
私が近所に出来たマンションの前を歩いていたら、そのマンションから成美が偶然出てきたんです。
成美は、あっ、そんな顔をしながらペコリとお辞儀、この前はどうもと、私もペコリとお辞儀、成美は去ろうとしました。
『成美さん』
私は咄嗟に声をかけてました。
ビクッとしたように立ち止まった成美は、ゆっくり振り返りました。
『弘道さん』
やはりわかってました。
処女卒業から20年近くたってるとはいえ、忘れるわけがない、そう思ってました。
私も処女の女の子との経験は成美一人、緊張したし、成美は凄い痛がるし、出血も私の想像をはるかに超えて、シーツは血の海でした。
あのことを成美が忘れるわけないし、その後約二年、ほとんど毎週セックスしてました。
『久しぶりだね』
私がそう声をかけると、成美もお久しぶり、そう返しました。
34才になっていた成美、10年前に結婚、長男と入学式で見た娘さんとご主人の四人で、そのマンションに住んでました。
私は成美と付き合ってた当時は実家住まい、兄が結婚、私も結婚、私は現在の地に建て売り住宅を購入、成美とご近所さんになったのは、まさしく偶然以外、何物でもありません。
スーパーに買い物に行く途中だった成美と、しばし立ち話をして、近況を語り合いました。
『幸せそうでなにより』
それに対してきた返事。
『え?うん、まぁ』
歯切れの悪いものでした。