勤め先の最寄り駅から、電車で二五分の田舎町に引っ越しました。駅から3Kの分譲住宅です。ローン負担を軽くするため、残業に勤しんでいます。そのため、夜の営みは、若干疎かになっていることは確かです。田舎町ゆえ、買い物その他に車は必須で、1台限りの車は女房が使うことになり、朝晩、女房に送り迎えをしてもらっています。
電車の本数は、昼間で30分に1本、残業で遅くなる夜間は、1時間に1本です。毎日帰りの電車に乗る前、女房に電話し、駅に着く時間を知らせ、迎えに来てもらいます。しかしいつ頃からか、夕方電話しても留守のことが多く、駅についてからもう一度電話し、迎えに来てもらいますが、車が来るまで数分間、待たされます。
留守だった理由を聞いたら、昨年から婦人防火クラブのメンバーになり、消防団の訓練に、団員の士気を鼓舞するための立会いを求められ、交代で付き合うことになった、とのことでした。近所づきあいのほとんど無い私と違い、女房が地元に溶け込んでいるようで安心しました。
ところがある夜の帰宅途中の電車の中で、会議のため各地から集まったと思われる消防団幹部の、ひそひそ話が耳の入りました。消防団員の新規勧誘、退会防止に関するぼやきでしたが、その中の一人が、うちは苦労していないといって自慢しています。
要は、婦人防火クラブ有志の協力を得て、土嚢詰めや放水訓練を時々実施しているとのこと。土嚢詰めとは、防水のために積み上げる土嚢を作るため、穴を掘って、その土砂袋に詰めるわけですが、実際は、訓練に立ち会った婦人防火クラブ有志の、股間の穴にチン○コを詰めることであり、放水訓練とは、口内発射、股間発射のことだといって、おかげで団員募集には苦労しないといって笑っていました。
そんな消防団なら、私も入りたいものだと思いながら、にやにやしながら聞き流していましたが、その男は、私と同じ駅で降りました。なんとなく悪い予感がし、少し遅れて、その男に付いていきました。男は、駐車場に行こうとしていましたが、待っていた私の女房に気が付き、方向転換し、車の窓越しに女房と親しげに?、話し始めました。女房はすぐに私に気が付き、何事か男に囁きました。男は身体を起し、私に愛想笑いを浮かべながら、いつも奥さんにお世話になっています。じゃ、といって自分の車に向かいました。
女房に聞くと、消防団の団長で、会議で時々会うので、顔なじみになったとのことです。どきりとしながら、時々立ち会うといっていた消防団の訓練とはどんなことをするのかと聞いたら、土嚢詰めと放水訓練、いつも代わり映えしないわよ。どこの消防団でも同じじゃないの。と動揺したところは全く見受けられません。
でも、電車の中で立ち聞きした、土嚢詰め訓練、放水訓練の実態が、もし本当に聞いたとおりのことならば、女房は、消防団員を募集し、士気を鼓舞し、退団を引き止めるため、どのくらいの消防団員を相手にしているのか、恐ろしくなりました。本当のことを突き止めるのは、怖いです。