私は二年前、会社勤めをリタイヤして、生まれ育った故郷に一人移り住んだ。
妻はまだ仕事してるため、私一人。
祖父は大工として働きながら、田畑を耕し、祖母は田畑の面倒を見ていて、私はよく手伝わされた。
父の代になると、一部を残し田畑を売り払い、私達家族は都会へと出てきた。
いつかあの地へ帰りたい、そう思い続けていた。
定年するとき、私は妻に私の考えを話す、妻は賛成してくれた。
一部何故父は残したのか、今となっては不明だが、その残された農地を私は耕すことにした。
家は廃屋を改修した。
小学校時代まで過ごした地といえ、50年近くが過ぎていて、周りに住む人々はほとんど変わっていたが、唯一、私より二学年下の後輩が、農業していて、私はその後輩、白石を頼りにした。
都会での生活、メタボ、高血圧、私には農作業がほんときつかった。
子供の頃は遊び半分、祖母の手伝いをしただけ。
でも白石始め、周りの人々から温かくされた。
地区のお祭り後の集まりに誘われた。
一緒に酒を呑むのは初めてだった。
田舎のおとっちゃんの会話はシモネタばかり。
私が単身きてることを、散々いじられた。
『離れて暮らすってことは、かあちゃんに乗っかってないんだろ』
『やんなきゃダメだって』
『俺は今だって週に一回はおかあちゃんに乗ってんだ』
みんな私とそう年の変わらない人々である。
『なんなら俺のおかあちゃん貸すか』
『あらあんた!あんたが許してくれるんなら、私今晩、平山さんとこ夜這いにいくよ?いいのかい?』
そんな感じだ。
もうセックスなんか10年くらいしていない。
メタボ、高血圧、その他、もう勃たないと思っていたし、事実、50過ぎてからは出来ないことが増えて、自然となくなっていった。
越してきて半年たった頃だった。
町の医者に高血圧の薬処方してもらうために、病院へ。
80kgオーバーだった体重が、70kg代に減っていた。
お腹周りも少し減っていて、血圧もやや下がり目。
一人になり粗食、さらに農作業、それか幸いしたようだ。
次に病院行ったときには、もっと劇的だった。
体重は越してきた時より、-10kg、血圧もまずまず、お腹も10cmくらいスリムになり、ズボンがかなり緩くなっていた。
妻はそれまで二回ほど来ていたのと、私は私で二回ほど自宅へ帰っていた。
正月前、私のとこに妻がきた。
一回り小さくなった私に妻は驚いていた。