若干青ざめた表情で帰宅した妻、無言のまま着替えを済ませると台所に入って行く。
子供達が留守の間に私の方から口を開いた。妻の言い分は、あの時、会場の暑さと少しのリキュールで酔いが回り気分が悪くなったから近くの喫茶店で休んだとの事。
しかし色々と尋問みたいに言葉を浴びせかけて行くと、妻の応答が二転三転し始める、本来なら、少し休憩して又、会場に戻りパーティーを楽しんだ。と言えば私には、それ以上、問いただす事もなかったのに、妻は狼狽え始め次第に泪目になり最後は黙ってしまう。私達夫婦の間には、ここ数年、肌を合わせる事も無くなり妻ばかりを責めるのは酷に思えた私は話を切り上げようとした。
暫くすると妻は俯いたまま泪声で小さく、ごめんなさいと呟くように言った。
自らクリスマスパーティーの時の事を妻は認めてしまった、妻の話しだと、相手の男性は初めて見かけたそうでパーティーの時に声を掛けられダンスに誘われ踊りの上手さに、何度も踊ったらしい、踊りながら言葉や重ねた手で誘惑を受け、受け流して居るとリキュールを勧められ次第に酔いも手伝い自分を見失い始め、男性のペースに陥ってしまったとの事。
会場を抜け出し外は未だ明るい間に、少し歩いた所にあるホテルに誘い込まれたとの事。ホテルでの情事の事は具体的には語らない妻、私は相手の男性に対し激しい嫉妬を感じていた。
見慣れた妻だが、見知らぬ男性に身を任せ悶える妻を想像し、それを楽しむかのように妻を抱く男性。
写真も撮られたのか!と聞く、妻は俯いたまま答えない、答えないと言う事は撮られたと白状するようなもので、私は相手の携帯にお前の写真が保存されて居るのか!と問いただす。
妻は顔を振り、私の携帯に、と答える。
私は思わず携帯を見せるように言ってしまう、妻は泣きながら見せるのを拒む。