「ごめんなさい」妻は呟くように言うと二階の寝室に消えた。
泥のように眠った妻が目覚めたのは夕方を過ぎて居た。
「ごめんなさい、夕食の支度をします」
私は、その前にシャワーを勧めた。頷き浴室に入る妻、頭からシャワーを浴びる妻の姿は以前と比べ悩ましく写る。
小柄な身体でシャワーに濡れピッタリと張り付く髪、決して大きいとは言えないが、それなりの乳房、中年に成り少し弛みの出た下腹部、こんなに妻を愛しく見た事は無かった。
化粧台の前に立ち髪を拭く妻の身体には愛欲にまみれた痕跡が幾つも残されて居た。
前の部分だけでは無く背中にも、ムッチリとした臀部にも、はっきりと痕跡が残る。
少し遅めの夕食を取りながら私は妻に訪ねた「彼に出会えて良かったかな?」
妻は言葉に詰まる。
「この事を仕掛けたのは私何だから正直に答えれば良いよ、答えがどうだろうと私は怒ったりはしないから」
私が続けて言う、暫く間を置いてから。
「こんな気持ちに成ったのは初めて…」
「こんな気持ちって」
「あなた以外の男性に気持ちを奪われた事」
「彼の事が好きに成ったかな」
妻は小さく頷く。
「これからも彼に愛されたいかな」
「でも、もう終わりにしないと…じゃ無いと私…」
「私…何」
「抑え切れなく成るのが怖いの」
「それで、お前は我慢出来るのかな」
「あなたが居るから、こんな淫らな私でも今まで通りに、あなたと暮らして行きたいから」
「ちょっと前から見れば、お前は本当に綺麗に成った、これは彼のおかげかも」
無言になる妻。
「本当に、これで終わりにして良いのかな」黙って頷く妻。
その夜は妻の肩を抱き眠りに付いた。
それから妻と彼は会った気配は感じられなかった。
「最近、彼から連絡は?」
「メールは来てるけど返事は書いてないの」
「どうして?」
「だって…」
「分かった最後に、一度だけ彼に会うと良いよ、お前の言葉で別れを伝えて来なさい」
「ダメょ…会うと…」
「良いから、でもこれが最後だから」
翌日の夜に妻は私に
「明日、彼と会って来ます」
と話す私は、うんと頷くだけで後は何も言わなかった。
当日は私が仕事を終え家に帰っても妻の姿は無かった、妻が帰宅したのは時計の日付が変わる頃だった。
「お帰り、ちゃんと別れは済ませて来たのかな」
妻は無言で頷く、私は少しの嫉妬心から
「そこで服を脱いで裸になってくれないか」と言った、黙って服を脱ぎ始める妻