今から二十数年前、高校三年生の時の話になります。
当時の彼女は一つ上で、大学進学とともに上京した。
携帯電話が普及し出したころで、パケ量がいっぱいになればメールをやめてワンギリなどでお互いの生存確認なんかしてたなぁ。
彼女は大学に通いながら、夜や休日は飲食店で仕事をしていた。
少しお高めのお店で、場所柄著名人やお金持ちがくるような店と聞いており、人材教育もしっかりしているとのことだった。
遠距離恋愛を始めて1ヶ月目くらい。
勤め先の上司が、東京案内を兼ねて歓迎会としてご飯を奢りたいと誘われた。
私は絶対に嫌だと伝えたが、「これも社会で生きていくためには必要なことだよ。心配しすぎ。」と子供のように扱われ当日を迎えた。
逐一連絡するように言っていた。
その日最後に来たメールは
「◯◯さんが財布を忘れたみたいだから、取りに帰る」だった。