些細な事で嫁と喧嘩。時間だ経てば自然と元に戻っていた。
しかしその時は、ギクシャクした日が続き日が経つにつれ会話すら
しなくなっていた。 気付けば寝る部屋も別々になっていた。
当然なのか連休を切っ掛けに嫁が実家に出かけて行ったまま休みが明けても
帰って来なかった。連絡をすれば良かったのかも知れないが行動を起こせなかった。
暫くして連絡が有ったのは嫁の母親からだった。 「加奈の事だけど二人は話ぐらいしたの?」
心配しての連絡だった。正直、お互いが連絡すら取っていなかった。
義母からの説得もあり少しは頑固になっていたと気持ちの整理をし嫁に連絡をした。
他人行儀に「久しぶり。元気にしてるか?変わった事はないの?」そんな言葉しか掛けれなかった。
嫁が実家に出かけて行き帰って来ない日から1ヶ月は経っていた。
その日は、久しぶりの会話をした記憶だけしか残らなかった。
その後しばらくは定期的に電話とラインでの会話が続いた。
既に数ヶ月が経っていた。その頃には主にラインでのやり取りとなっていた。
義母からも長引く状態を心配してだろ。「連絡は取っていると聞いているけど、そろそろ迎えに来れば。」
その気持ちも分かっていた。しかし、一人生活と嫁との距離を置いた生活にも慣れて来ていた。
義母には「もう少しこのまま様子をみます。安心してください。」とだけ伝えた。
別居状態と言ってもおかしくない生活だった。その後も何も進展しないまま月日が経っていた。
その間も嫁とはラインだけだったが簡単な会話はしていた。久しぶりに義母からの電話だった。
「近頃、夜遅くに帰って来るようになったよ。こう太さんは知っている?」
そんな情報と思える話を聞かされた。嘘をついた「はい。知っています。時々、連絡も来ますから。」
続けて「務めていた仕事を辞めたのも知っているの?」でした。
義母からの報告に話を合わせて知っているかのように嘘をつくだけだった。
義母から聞かされた話を確かめる事にした。週末嫁に連絡をした。返事は暫くしてからだった。
あの日以来だが初めてそれらしい話を嫁にラインした。
「来週の週末は時間あるか?一度食事でもしないか?」
嫁の返事は、「分かった。」との一言だけだった。数回連絡を取り
夕食をする事になった。当日は居酒屋での食事となった。しかし、食事をする
時間において事前に嫁から言われていた。「遅くまでは無理だよ。」
結局のところ嫁とは20時過ぎに店を出た所で別れた。食事中は今の生活や義母から聞いていた
事には触れないようにした。当然だが店を出て嫁と別れてからの行動も聞かなかった。
少し距離を取り尾行するように嫁の後を追った。店を出て歩く事10分程だった。
嫁の足は飲み外のネオンが光ビル街に向かっていた。 エレベーターに乗った嫁。
3Fで停止したのを確認した。この時点で帰ろうかと考えた。
嫁と食事したのも隣町だった。嫁の実家が有る市だった。知っている店も無かった。
くじを引くように3Fに有る店に飛び込んでいた。初めに入った店には嫁の姿は無かった。
3Fフロアーには5店舗の店が有った。残る4店を廻るか?自問自答した。
3軒まで店に入ったが外れだけだった。酔いも廻っていました。時間も経っていた。