その日は、私のパートナーが参加するサークルのコンテスト。
日頃、女性の悦ばせ方を手ほどきして来たM男さんが、メンバーの見ている前で、初対面の相手とセックスをする。
「頑張ってね」
優しく声をかけて、首輪からリード(手綱)を外し送り出す。
相手は30代から50代の女性で、SやMに関係なく、経験豊富な人達ばかり。
そんな中で、彼が選んだのは、見た目で親子に見えるような相手。
彼はロープで女の手首を縛ると、天井から吊るされた鎖に繋いで、クレーンを巻き上げた。
垂直に吊り上げられた女は、かろうじて突いた爪先で床に足を着けていた。
手首に食い込むロープが痛いのか、女は苦悶の表情で彼を睨み付けていた。
彼が顔を近づけると、女は拒むように顔を振った。
「ガシャン、ガシャン」
暴れる度に金属音が、会場内に響いた。
抵抗している女にキスをすると、最初は固く閉じた唇を徐々に開き始めた。
「クチャ、クチャ」
と音を鳴らして濃厚なキスに、女は魅了されたように応え始めた。
彼は、女の肘が曲がる高さまで下げると、更に激しく唇を重ね、同時に両腕の内側を上下に撫で始めた。
興奮した女が、喘ごうとするたび口を塞がれ、女は窒息するように苦しがっていた。
失神寸前になって、彼が唇を話すと、女は口からヨダレを垂らし、
「ゲホ、ゲホ、」
と噎せながら、息を荒くした。
彼は項垂れた彼女の背後に回り、足ゆびや足裏を指先で撫で始めた。
「あん、いやぁ」
くすぐったいのか、女は激しく抵抗した。
それでも責めは、拷問するように続いた。
カカトから膝の裏側まで、丁寧に舐めながら、両手でスネや膝を撫でて行き、太ももに達しようとした時、
「ぷぅ、」
と間の抜けた音が響いた。
会場内に一瞬の沈黙があった後、メンバーの嘲笑と、女を蔑む言葉が小声で広まった。
「いやぁ、もうヤメて、縄を外して」
涙声で泣き叫ぶ女を、容赦なく責め続ける彼は、前に回り膝から尻を撫でながら、女の股間に顔を埋めた。
彼は、女の下着の上から唇を付けて、熱い吐息を勢いよく吹き掛けた。
「いやぁん、いやぁん、」
身をよじり、猫のような声で女は喘ぎ、最後は立ったまま失禁した。
彼の衣装は、女のオシッコに汚され、会場内にアンモニア臭が漂った。
私が汚れた衣装を回収していると、女の関係者と思われる男性が、女のロープを解き、服を脱がせると、丁寧に身体をタオルで拭き始めた。
「どうでした?」
彼は、子供みたいな笑顔で私を見ていた。
「前戯は良かったわね」
と誉めると、嬉しそうな顔で喜んだ。
しばらく休憩に入り、体力の回復した彼は、裸でもうろうとしている彼女のもとへ向かった。
その後ろ姿は、いつもより頼もしく見えた。