リビングの扉を開けると、藤本はソファーに座ってテレビを見ていた。「藤本、悪い悪い、待たせちゃったな。」「いえ、全然、大丈夫ですよ。」藤本はそう言うと、手に持っていたビールをぐいっと美味そうに飲んだ。「あれ?もう先にやってたんだ?」「はい。さっき、奥さんが食事の準備をするまで、先にビール飲んで待っていて下さいって。 奥さんにお酌してもらっちゃいました。先輩、お先にすみません。へへへ(笑」私は、最後の「へへへ」がとても気になった。「へへへ、、って何かあったか?」「いや別に、、でも先輩、やっぱり奥さんは最高ですね!!」「だから、何があったんだよ?」「別に本当に何にも無いですよ。ただ奥さんにお酌をしてもらっただけ、、それだけですよ。」と口では言ったが、あのニヤニヤした目は、それだけじゃない。と語っていた。「お酌って、、まさか、あいつ、あの格好のままでか?」「・・・はい。。へへへ。」こいつ、また見やがったのか?! でも、こんなレベルのことで嫉妬していたらこれから作戦を実行したら大変なことになる。 そんなことを考えていると、、「お待たせしました~!」明美がお盆に料理をのせてキッチンから出てきた。その明美の格好を見て、ちょっとだけホッとした。ピンクのフリースはそのままだったが、その上に、エプロンをしていたので胸のところが隠れていたからだ。「やったーー!奥さんの手料理だーー!!」藤本はまるで子供のように手をあげて喜ぶ。明美はその藤本に目をやるとニッコリ微笑み料理をソファーの前のテーブルに並べはじめた。「藤本さんのお口に合えばいいんですけど。。」「合います。合います。合わせ、ます!(笑」「藤本さんったら。(笑」藤本はハイテンションで、明美が運んできた料理を絶賛すると、明美もそれに笑顔で応えた。「じゃあ、カンパイしようか。今日は明美も少し飲んだら?」普段、あまり飲まない明美に、私はお酒を勧めた。「え?奥さん、お酒飲めないんですか?」「いえ、飲めない訳じゃないんですけど、、あんまり強くないから。。」「大丈夫ですよ。いっしょに飲みましょうよ!」「そうですね。じゃあ、せっかくだから。」ということで、珍しく明美も飲むことになり三人でカンパイをすることになった。「先輩、何にカンパイしますか?」「え?何にって、普通にカンパイ!でしょ。」「普通は良くないですよ。いつも先輩、会社で『普通」なんて最低だ!』って俺達に言ってるじゃないですか。」「じゃあ、何にカンパイするんだよ?」「決まってるじゃないですか?!奥さんのこの美味しそうな料理にですよ。」「料理に?」「先輩ね。先輩はどうか分からないですけど、こんなすごい手料理、普通は食べれないっすよ。 もっと奥さんに感謝しなくちゃ!ね、奥さん!」
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「え? 結婚式のDVDなんてあるんですか?めっちゃ見たいですっ!」藤本が作戦会議で打ち合わせしたとおりの台詞を言った。その横で、藤本に寄りかかるようにして明美も言った。「私も見たい!藤本さんと初めて会った時のDVD、私も見たいーーー!!」そうとう酒がまわっているのか、明美は藤本の腕に自分の腕を絡めると、その腕を揺すって言った。当然、藤本の腕には明美の胸が押し付けられ密着していた。藤本は私にクシャクシャの笑顔を見せ、言った。「先輩、早く見ましょうよ!!」こいつ、、どんだけ嬉しそうな顔して笑うんだ?!俺の嫁さんなんだぞ。分かってんのか??と胸ぐらを掴んで言いたいのをぐっと堪えて、私は結婚式のDVDをセットした。「見て見て、藤本さん!4年前の私!懐かしい~!」「奥さん、やっぱ綺麗っすねーー!」「ドレスが、、でしょ?(笑) でも、私、若いな~。そういう意味ではたしかに今より、綺麗かも。。」「今も全然、綺麗っすよ。っていうか、今の方がもっと綺麗ですよ!」「ホントにそう思ってます??そんなこと言ってくれるの藤本さんだけですよ!!」そう言うと、明美は藤本の腕をさらに強く抱きしめ、続けて言った。「早く、藤本さん出てこないかな!?」「もうすぐ出てくると思うよ。ほら、みんなで写真を撮ったときだよ。」私はそう言うと、少しDVDを早送りした。「あっ!いたいた。藤本さんがいた!」もうすぐ、問題のシーンだ。藤本の言っていたことが本当だとすれば、映っているはずだった。会社の仲間達が明美と私を取り囲むように周りに集まってきた。その中に藤本もいた。藤本はさりげなく明美の後ろにポジションをとった。「な~んだ、藤本さん、私の後ろにいたんだ。。全然気が付かなった。」すると、画面の中の明美がテーブルにおいてあるワインのグラスに手をかけた。その瞬間、画面の中の藤本は斜め下を向くと、明美の胸の方に目を向けた。そして、明美が友人のカメラに向かってピースをした時、藤本は少し驚いたような顔をするとあからさまに体制を斜めにし、明美の胸元を思いっきり覗きこむように見始めた。それには、さすがの明美も気がついたのか、、「もう、藤本さんったら、どこ見てるんですか?!エッチなんだから!!」そう言うと、明美は笑って藤本の太ももを軽く叩いた。「す、すみません。つい。。」藤本は頭を掻きながら、ペコペコ頭を下げた。「いいですよ。藤本さんなら許してあげるっ!」明美はそういと藤本を見てニッコリ微笑み、さっきは叩いた藤本の太ももを、優しく擦った。俺のスゥエット着てるけど、そいつは俺じゃないんだぞ?!そう叫びたくなるのを、またも我慢した。ちょうど、そのタイミングで結婚式のDVDが終わった。「そうだ、藤本、新婚旅行のDVDもあるけど、見るか?」作戦はここからが本番だった。「はい!もちろん見たいっす!綺麗な奥さんの姿、もっと見たいっす!」「明美もまだ見てなかっただろ? この前、やっとDVDにダビングしたんだ。」「新婚旅行なんて、何撮ったんだろう?ぜんぜん覚えてな
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