確かに導入部からの非性的表現?は長いけど、先行きを固める為の、謂わばプロットみたいなもので作法に適っている。さあ、続きを期待して大人しく待っていましょう。
勿論、歯科医は人間の健康や活動を維持する為の大切な仕事という事は理解するし、敬意に値する職業であるが、良く考えてみると他人の口の中に手を突っ込むという結構生理的にキツい仕事だ。可愛い女の子の口に手を突っ込むだって躊躇われる事だが、歯石まみれドブの様な悪臭漂う中年オヤジの不潔な口にも手を突っ込むのだ。良く看護師も性に解放的な女が多い等と酒の席での馬鹿話に出るが女医という職業の女も性に解放的というかかなり生理的な概念が通常とは異なる人間が多い様に思う。高収入の上に世間からはセンセイ、センセイとある種崇められ、歪んだプライドや見栄が奥底に冷たく横たわっているのだ。まして学生時代は勉強に追われて、同世代女子がお洒落や遊び、男に現をぬかしている間ずっと抑制され生きて、社会に出た途端にその大概の同世代女子よりも高い収入、社会的ステータスで逆転してくるのだから、屈折するのも無理はない。雅美はまさにその典型だった。彼女はそのプライドを隠し、わざわざ場末のスナックに来て常連客とカラオケを歌い、女医のセンセイなのに親しみ易いという評価に、普通の人々とも気さくに話せる自分に酔うのだ。雅美は店を出ると、前から行きたかったというバーに向かって歩き出す。道すがら弁護士だという離婚が成立した旦那さんの話を俺が尋ねた訳では無いのに話し出した。弁護士なんて酷い職業だ、世の中の評価ほど大した事はやっていない等と悪態をつく。どうやら一流大法学部卒で都内の大きな弁護士事務所に勤めるエリート旦那は、医者だ、女医だ、センセイだとは持ち上げないらしい。エリートとの結婚は彼女のプライドやステータスをいっとき満足させたが、日々の生活で普通の伴侶、家人として扱わられる事は彼女のプライドが満足させないばかりか傷つけられる事のようだ。俺は店に入ると彼女を雅美センセイと呼んだ。彼女は先生は辞めて等と口では言っているが満更では無いようだ。俺は彼女の言葉にはなっていない欲求を擽ることにした。女医さんと言うと近寄り難いイメージだけど雅美センセイは違う、話し易いけどやはり僕の普段周りにいる女性とは品性や知性が段違いだとか言い続けた。雅美は俺が褒め称える度に身を捩って謙遜する。雅美がそんな事無いよワタシは至って普通、平凡だし、ヤマちゃんの周りに普段居る女の子達と変わらないよ等と言う。俺は間髪入れず雅美に言った。いや全然違うよ。今やってる事だって全然違うよ。え?今やってる事?雅美がキョトンとした顔で尋ねて来る。俺は雅美の目を真っ直ぐ見つめながら答えた。そう、雅美センセイはすごい魅力的だけどやっぱりガードが固いというか、やっぱり常識の範囲が僕らとは違うよ。僕らは今を徹底的に楽しんじゃえって思って衝動的な行動に、特に雅美センセイみたいな魅力的な女の子と会った時はそうするもん。だけど今、雅美先生には衝動的な行動は取れないもの。雅美は少し顔を赤らめ、上気させながら俺に尋ねる。え?今ここで衝動的な行動って?普段なら何をするの?俺は答える。雅美先生の常識には無いもん。出来ないよ。でも今までよりもっと楽しみたい、自分を変えたいなら僕に任せてよ。任せるって言ってくれたら今、ここでいつもみたいな衝動的行動に出る。雅美は俺の顔をじっと見つめた後、不意にクスッと小さく笑って被りを振って、いいわ。分かった今日はヤマちゃんに従う。ヤマちゃんに任せるわ。俺は雅美がそのセリフを言い終わらないうちにバーカウンターの隣に座る雅美をしっかり抱いてキスをする。雅美は一瞬身体を固くしたが直ぐに俺に身を委ねて来た、俺はバーカウンター席で他人の目を憚らず雅美を抱きしめキスし、雅美の口中に舌をねじ込む、雅美はうっと声を発したが俺の舌に自らの舌を絡めて来た。俺が雅美を抱きしめた腕を解き解放すると、先程注文して氷が大分溶けてしまった水割りを口に含んだ。カウンターでコトに及んだ姿を見て真面目そうな若いバーテンダーが慌ててやって来た。お客様、店内でそういう事は困ります。他のお客様に迷惑が掛かるのでやめてください。口調は柔らかいが、だいぶ腹を立てる様子の若いバーテンダーに俺は、悪かった。ちょっと盛り上がりすぎた。幾ら?俺たちこれで帰るわと若いバーテンに言うと一杯づつですから3000円で結構ですと今直ぐ出て行ってくれと言わんばかりの口調で答える。
...省略されました。